2010年5月31日月曜日

ゲン@ 劇場:『コララインとボタンの魔女(3D字幕版)』

ゲンです。
今年初の劇場2回鑑賞作品はこの作品になりました!

~~~~~~~~~~~~~~~

『コララインとボタンの魔女(3D字幕版)』
@TOHOシネマズ 六本木(2/23・3/1鑑賞)

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の鬼才、ヘンリー・セリック監督が手掛けるダークで幻想的なアニメーション。
世界中で愛されている同名のファンタジー小説を映画化し、パラレルワールドに迷い込むヒロインの冒険と成長を生き生きと描く。

『ナイトメア~』のヘンリー・セリック監督が久々に手がける長編ストップモーションアニメって事ですが、前作に負けないくらいにダークな世界観で激しく期待しておりました。

史上最強&最怖のストップモーションアニメ、ここに完成!!!

これは・・・ホントにヤバいぞ・・・マジでヤバいぞ・・・
元々ストップモーションアニメは大好きな人間ですが、2005年に年間一位を獲得したティム・バートン監督『コープス・ブライド』を超える衝撃を味わうとは!



ストーリーはというと・・・

11歳の少女:コララインは両親とともに田舎のアパートに引越してくる。
新しい街には友達もいないし、両親は仕事で忙しく全然構ってもらえない。
仕方なく新しい家を探索していると、壁紙に隠された小さなドアを発見する。
しかし壁紙を破って開けてみるも、ドアの先はレンガで閉ざされていた。

その夜、ふと目が覚めたコララインがネズミを追いかけていくと、例の小さなドアの隙間に消えていく。
不思議に思ってドアを開けると、そこには昼間にはなかったトンネルが。
トンネルを抜けると、そこは今出てきたはずの家の中。
でも、何かが違う・・・

仕事で忙しかったはずのママは鼻歌まじりで手料理を、パパは明るくピアノを弾いて歌っている。
明るく楽しい雰囲気と、美味しい料理でご機嫌のコララインだったが、どうしても拭えない違和感に気づく。
パパとママの目がボタンだ!
そんな両親に戸惑いながらも「別の世界」の両親からは優しくされ、コララインはまんざらでもない様子。

だがベットに目覚めると、現実の世界に戻っている。
両親は相変わらず忙しく、誰もコララインに構ってくれない。
夜になり、再びトンネルを抜けて「別の世界」に向かうコラライン。
温かく迎えてくれるパパとママ。
楽しさのあまり現実の世界がどんどん遠のいていくコララインに、ママが笑顔で提案する。

ここにいたければ、ずっといてのいいのよ・・・

あなたの目もボタンに変えれば・・・




たまに間違われている方が多いですが、ストップモーションアニメの傑作『ナイトメア~』のティム・バートンは製作でして、監督は今作のヘンリー・セリックが手がけていました。
個人的には、その後のバートンが監督した『コープス~』の方がよりバートンらしい世界観が現れていると思ってるのですが、今回の『コラライン』の原作者であるニール・ゲイマンは、子供が怖がるような世界観のお話を多く書いてるそうです。

で、この『コラライン』ですが、もーホントに怖いw
勿論「ホラー」という意味での怖さではなく、子どもが泣き叫ぶほど恐ろしいという意味でもないんですが、可愛らしいキャラクタの中に一瞬垣間見える大人でも背筋がゾワッとする感覚。

現実の世界に嫌気がさし、明るく楽しい別の世界に心魅かれるようになったコララインですが、いくらママに優しくされてもどこか素直に受け入れられません。
その理由は「ボタンの目」
口とか眉とか、人の感情を表すものは顔にはいくつかありますが、最もその力が強いのは、やはり目でしょう。
目さえ見れれば、相手の感情は大体受け取れます。
その感情の肝である目がボタンとなっている人達が、いくら口で笑い、楽しく優しいセリフを話していても、どうしても不気味で「怖い」という印象が拭えないのですよ。
この何とも言えない怖さが、最高に快感を覚えます!w

その怖さは「ボタンの目」だけには止まりません。
コララインがボタンの目になることを拒否したことにより、今まで明るく楽しかった「別の世界」は一変し、悪夢のような恐ろしい世界へと変貌します。
優しかったママは恐ろしい「ボタンの魔女」へと変身し、鮮やかだった庭の花も毒々しい色になり、可愛らしかった虫や動物たちも悪魔のようにコララインへ纏わりつく。
グロまでは行きませんが、あのおどろおどろしさたるや、まさに悪夢!
小さい頃に観てたら、トラウマになりますよw
でも恐ろしいとは言え、どこかユニークで不思議な魅力を感じてしまうのが、ヘンリー・セリックだからこそ成せる業なのでしょう。

普通の世界よりも、変貌を遂げた世界の方がさらに魅力的です♪



本作は3D撮られておりますが、手間のかかるストップモーションアニメで、3D撮影が本格的に行われたのはこの作品が初。
(『ナイトメア~』の3D Ver.は撮影後に無理やり3D版に編集したので・・・)
今までのCGや実写の3D作品とは違い、ストップモーションアニメの3Dはまた独特の映像世界になっています。
実際に立体物を使って撮影しているワケですから、より一層作品に深みが出て、作り手の愛情が感じられました。
3D的な演出としても、過去に例を見ない数多くの多才な演出が入れられていて、ストーリーや世界観にハマれるより効果的なモノになっていると思いました。



そして声を担当したキャストの素晴らしい!
ほとんどの劇場が吹き替え版での上映をしていますが、都内で唯一字幕版を上映している六本木ヒルズに2週連続で行ってきましたw

主人公:コララインの声を演じているのは、成長した天才子役のダコタ・ファニング!
撮影より先に声を収録し、ダコタんの声に合わせて表情を作ったと言うだけあり、生意気な表情と声はまさにダコタん!
やっぱり、ダコタん! 最高だ!



芸能人が吹き替えを担当し、また子ども向けに宣伝されてますが、大人が観ても充分に楽しめる超良作!

『ナイトメア~』『コープス~』を超えるダークな世界観!

ストップモーションアニメの天才が作り上げた最強&最怖の作品!

劇場でゾクゾク感を体験すべし!!!


~~~~~~~~~~~~~~~

そんな感じですが、2周連続で六本木まで観に行きました。

1回目に観た時にあまりの衝撃を受けてしまい全くレポが書けず、2回目でやっと落ち着いて鑑賞、レポもそれなりに書けました。

重ねて言いますが、これを字幕で観ないのは勿体無い!
ダコタん、やっぱりイイっすわー♪
生意気な感じがコララインのキャラクタにピッタリで、最高のキャスティングだと思います。

個人的にストップモーションアニメは『コープス~』が一番だと思っていたのだけど、今作の出現でその地位は危ういですね。
バートンとは違うダークさを持ってる作品で、比べられないよ・・・

2010年5月30日日曜日

梅太@ DVD:『BRICK ブリック』

この記事は その映像に思わずゾッとさせられた 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


●少女の死に纏わる、謎の記号:『BRICK』
監督は、ライアン・ジョンソン。
出演は、恋を夢見る男性の代弁役:ジョセフ・ゴードン=レビット。(以下、JGL)

-----------------------------


 ストーリーは。

 オープニング。
 トンネルの入り口で、少女の死体を眺める青年:ブレンダン。
 場面はいきなり、その事件の二日前に切り替わる。
 そこからは記号に次ぐ記号、少女の死に纏わる様々な記号が一気に登場する。
 BRICK、PIN、TUG、矢印の描かれた煙草、腕輪・・・・

 一つ一つの単語の意味を読み取り、それらの意味を徐々に繋げていく。
 少女の死、たどり着いた真相は・・・?

▼▼▼▼▼▼

 本作は、『ブラザーズ・ブルーム』(最後に紹介)の監督:ライアン・ジョンソンの長編初監督作品。
 『500日のサマー』で、下手したらデシャネルよりも萌え要素の強かったJGL主演。

↓↓↓ 予告編 ↓↓↓


 予告編を見る限りだと、もっと深遠なミステリーの印象を受けたのだけれど、真相は現実的。

 ただ、冒頭を見せられてしまうと、アイテムの一つ一つ、画面の隅々まで、何か記号があるのではないか・・・?と思わされてしまう。
 ラストで真相が明かされた後も、自分なりの想像でいくらでも深く深く掘り下げることが出来る。
逆に、読み取らないとただのクライム・サスペンスとなってしまう。

 かなり隙が無い。
 あるいは隙があったとしても、それを感じさせない。
 この辺は、『ブラザーズ・ブルーム』を作るだけのことはあるなと思った。

▼▼▼▼▼▼

 僕が何より好きだったのは、作品全体に漂う、強烈でゾクっとしてしまうけれど、不思議と綺麗に思える、色、雰囲気。
 何故だか惹き付けられるその魅力に支えられ、110分があっと言う間に過ぎてしまった感じだ。

 先述した通り、真相は大したことないのだが、それだけで片付けられない魅力がある。

 恐らくはフィルム・ノワールというジャンルに分類されるであろう本作。
 まだそのジャンルを研究したことがない自分の頭をグルグルと回してみると、『ブラック・ダリア』に行き着いた。

 『ブラック・ダリア』は、観た後ちょっとブルーになってしまったのだけれど、鑑賞中は不思議と惹き付けられたことを良く覚えている。
 本作は、あの感触に似ていたことに気付く。

 このジャンル、ちょっと手を出してみたくなった。


▼▼▼▼▼▼

 ちなみに本作のJGLには、一切萌え要素はありません。
 しかし相変わらずの優男っぷりは堪らない。

----------------------

 さて、本作を観たきっかけとして。

 今週末6/4は、いよいよ『ブラザーズ・ブルーム』という日本未公開作品のDVDが発売になります。
 2010年2月からレンタルが開始されましたが、このとき発売の情報は一切無く。
 「まさかレンタルスルーか?」と不安になりましたが、4ヶ月遅れてやっとDVD発売です。
 (最近は、レンタルスルーが十分にありえる。『ぼくたちの奉仕活動』とか)

 ずっとチェックしていた作品で、2月当時は発売される保証もなかったため、即レンタルしましたが・・・

 2010年度、未公開作品No.1は、『ブラザーズ・ブルーム』で恐らく確定です!

 今年は未公開作品を多くチェックしていて、年末にランキングにしてご紹介しようと思っていますが、ダントツで面白いです。
 その気になる内容は、DVD発売後にご紹介いたします。

 「こんな作品、誰が作ったん!?」と調べ、『BRICK』に行き着いた。
 フィルム・ノワールに手を出してみるか・・・とキッカケを与えてくれたことに感謝したい。

ゲン@ 劇場:『ローラーガールズ・ダイアリー』

ゲンです。
ちょっと肌寒いですが、これくらいの陽気の方がすごし易くて好きです。

~~~~~~~~~~~~~~~

『ローラーガールズ・ダイアリー』
@TOHOシネマズ シャンテ(5/28鑑賞)


テキサスの田舎町で退屈な日々を送る女子高生が、ワイルドなスポーツのローラーゲームに魅了され、猛練習をこなしながら成長していく姿を描くガールズ・ムービー。
女優のドリュー・バリモアが念願の初監督を勤める。
主演は『JUNO/ジュノ』の演技派若手女優エレン・ペイジ。

ドリュー・バリモアの初監督作ってコトで注目してましたが、主演がエレン・ペイジなので、余計に期待してました!

パンクでキュートなエレン・ペイジが光る、青春キズだらけムービー!

ストレートな作品ではあったけど、なかなか面白い作品でした。

ドリュー・バリモアは監督自体は今回が初めてですが、4歳で子役でデビューして以来、長年映画界に携わっています。
『チャーリーズ・エンジェル』シリーズや『ドニー・ダーコ』、最近では『そんな彼なら捨てちゃえば?』など数多くの映画の製作を手がけ、その手腕もかなり高く評価されていたので、実際に監督するとどんな作品になるのかと期待してましたが、ガールズ青春モノで爽やかさもありながら、「ローラーゲーム」を題材にしているので同時にロックで危険な雰囲気もあり、バランスの取れた美味しい作品になったのではないかと思います。


ストーリーはというと・・・
小さな田舎町で暮らす17歳の女子高生:ブリス(エレン・ペイジ)は、献身的な母親の強い意向で美人コンテストに出場を続けさせられるも、自分にはそんな環境は似合わないと違和感を感じていた。

そんなある日、親友と出かけた街で、これまでに想像もしえなかったモノを目の当たりにする。
それは「女性らしさ」なんて気にせずにワイルドにぶつかり合う、個性的でガールズパワーのみなぎる「ローラーゲーム」の世界だった。


ガールズ青春モノ、そしてスポーツを扱ったモノって、今まで結構綺麗に描かれている作品が多い印象だったので、生傷や骨折の絶えない「ローラーゲーム」が題材になってるってだけでも、凄く新鮮でした。

「女性らしさ」を競うコトに全て捧げられていた主人公にとっては対極にあるモノですが、初めはボロボロでも徐々にその才能を開花させ、実力を身につけてスター選手になっていく様子はホントにカッコイイ♪
そこに青春モノの王道である両親との確執や、ボーイフレンドの恋愛なんかも上手く絡めて、キチンとまとまっている素晴らしい脚本でした。

またこの作品の見せ場である「ローラーゲーム」のシーンも、役者の顔がハッキリと分かるカットで撮られ、実際に体当たりで演じているのを観ると、ハラハラするのと同時に、役者魂も感じられ余計に興奮しました。


キャストですが、主演のエレン・ペイジはやっぱり素晴らしい!
『JUNO』の印象からだけど、パンクで小生意気なイメージが強い彼女なので、今回の主人公の役はホントにハマり役でした!
今現在、リアルな10代を演じさせたら、彼女の右に出る女優はいないと思いますねぇー
これからの活躍が大きく期待される、若手女優の一人です!

主人公のチームメイトを演じるゾーイ・ベル『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタント担当で一躍注目され、その後もタランティーノ監督『デス・プルーフ in グラインドハウス』で主演も務めましたが、今回もスタント経験を活かした激しいアクションで圧倒されました!

またドリュー・バリモアもチームメイト役で出演し、自らもアクションをしているのですが、監督をしながらこの役を演じていたのかと思うと、その苦労はかなりのものだったと思いました。


初監督作ながら、スポーツ青春モノを単純なハッピーエンドに仕上げず、ストレートながらも個性的な作品に仕上げたのは、子役でデビューし挫折や離婚を経験したドリュー・バリモアらしいとも言えると思います!

エレン・ペイジの魅力もたっぷりで、おなかいっぱいになれました!


~~~~~~~~~~~~~~~

そんな感じですが、エレン・ペイジはずっとこれくらいの年齢でいて欲しいですね。
あの小生意気な感じはずっと観てたいw

次回作は『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督作『インセプション』ですが、新しい予告編が解禁されてその全貌が徐々に明らかになってきましたね!

エレン・ペイジもだけど、ジョセフ・ゴードン=レヴィットにも激しく期待♪

先行上映にも参加できそうだし、本当に楽しみです!

梅太@ 弐口メモ:2010.5.29

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

台詞:気持ち良いテンポ 
 
 さて、本年に限って言えば、デシャネルよりもトキめいているキャリー・マリガン主演『17歳の肖像』(感想はコチラ)のインタビューを観ていて、収穫があったのでご報告。

 主人公:ジェニー(キャリー・マリガン)は、恋人:ディビットとの関係が深みにはまりだし、それを見かねた校長が彼女を呼び出す。
 「確かに勉強は退屈だけれど・・・・」というさり気ない一言に、ジェニーが噛み付き、反論をするシーン。

↓↓↓ take look this(1:00あたり) ↓↓↓



 このシーンでは、

 「教育するならその意義も教えてください。私のような生徒は、また必ず現れる」

 という、僕が劇中一番インスピレーションを与えられた台詞があり、元々大好きなシーンではあったのですが、台詞をよく聞いていると、その構成の良さに痺れた。


 Studying is hard and boring.
 Teaching is hard and boring.
 So you’re telling me to be bored, and then bored,
 and then finally bored again, this time for the rest of my life. 

 キャリー・マリガンに合わせて、リーディングしてみると良い。
 このテンポの良さに惚れ惚れするはずだ。

 「えと、この意味は?」
 と思われる方もいるかとは思いますが、まずは意味なんて考えず、よく聞き、暗記・音読してみると良いと思う。
 僕も、この文の訳を”正確に”行え!と言われるとちょっと自信はない。
 でもフレーズさえ覚えておけば、意味はあとからついてくる。
 これは幼少の頃、僕達が”日本語”を覚えたプロセスと同じである。
 「ママ」という言葉が、自分の母親を意味するということなど、恐らく1、2歳を過ぎてみないとわかっていなかったはずだ。
 勿論ながら1,2歳のころの記憶なんて覚えていないので、確証はないけれど。


 ・・・・これ、英語の授業だっけ?
 すいません。

▼▼▼▼▼▼

 他にも、真似して言ってみると気持ちいい台詞と言うのは色々ある。

 例えばタランティーノで言うと、一般的に「Fワード連発」とか「汚い言葉」という印象があるかもしれないが、よくよく聞いてみると言葉の中の「Fワード」の配置など、全体のリズムを崩さず、かなり適切な場所に置かれていると思う。
 連発はしているけれど、ただ連発しているわけではなく、実は、ものすごく考えて作っているのではないか?と、最近思う。
 もし考えていないのであれば、彼の中に元々そういうリズムが刻み込まれているのだろう。



▼▼▼▼▼▼

 僕は、リズムのいい言葉というのが好きである。
 だから、詩が好きなのだ。
 国語の授業なんかでは、意味はそっちのけで、リズムを追っていた記憶がある。

 金子みすずは特に大好きだ。
 何であんな気持ちいい言葉を作れるのだろう。

 そういう風に文章が作れる才能を羨ましく思う。

 以上、別に文章の研究もしたことがない僕の、テキトーな妄想。
 ただ、映画は僕にとって教科書みたいなもので、特に英語圏の映画は、英語の勉強にことさら役立っている。

 今回紹介した様な、リズムに乗った台詞というのは、真似していると気持ちよく、英語を嫌いにならずに勉強を続けられる素である。

 そう、まさに『学校では教えてくれないこと』を、映画では学べる。


---------------------

 ・・・映画の内容については、まったく紹介できていません。
 本当に、ただ、「テンポの良い台詞っていいよね」ということを言いたかっただけの記事でした。

 が、しかし書いていたらまた観たくなってきました。
 『17歳の肖像』は、英国が生んだ宝石:キャリー・マリガン主演で、シャンテ・シネ他、全国でまだまだ上映中。
 素晴らしい作品です。
 今のところ2010年暫定 2 or 3 位。
 今年は・・・いや、今年もシャンテは強い。

↓↓↓ 予告編 ↓↓↓

2010年5月29日土曜日

ゲン@ 劇場:『処刑人Ⅱ』

ゲンです。
10年ぶりの続編が、期待以上の大傑作でした♪

~~~~~~~~~~~~~~~

『処刑人Ⅱ』
@シネマート六本木(5/27鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ


神の啓示を受けた敬けんな兄弟が、世にはびこる悪人たちを処刑するバイオレンス・アクションの続編。
1999年に製作され、今や伝説のカルトムービーとなった前作に続き、処刑人兄弟が活躍する。
前作を手掛けた監督のトロイ・ダフィーほか、主要キャストが引き続き出演。

スタイリッシュな映像と世界観に惹かれて、前作がホントに大好きな映画でしたが、昨年末に続編を作ったと聞いて大興奮!
しかも10年もブランクがありながら、監督や主要キャストのオリジナルメンバーが再集結したと聞き、公開を待ち望んでおりました!

悪人どもよ、待たせたな! さらに過激で美しく殺してやる!

もー完璧でしょ・・・ため息出ちゃう・・・
前作から10年も経っているにも関わらず、オリジナルメンバーが揃うのだけでも奇跡的なのに、世界観や映像センスが全く劣化せず、ここまでクオリティの高い作品になるなんて、もう「神作品」としか言えない!

ストーリーはいうと・・・
法で裁けぬ悪人達に、正義と怒りの銃弾を撃ち込んできた聖人:マクナマス兄弟が、開廷中の裁判所を襲撃し、イタリアン・マフィアのボスを公開処刑した事件から8年。
兄弟とその父親はアイルランドに逃亡し、郊外の牧場でひっそりと暮らしていた。

そんなある日、兄弟もよく知る一人の善良な神父が、何者かによって殺害された一報が入る。
しかもその殺害方法は、彼らの処刑を模倣したもので、死体の両目にはペニー硬貨まで置かれていた。

明らかに自分達に対する挑発だと察した彼らは、罠を承知で古巣:ボストンへと向かうのだった・・・



10年も間が空けばスタッフや出演者の都合で、協力しない人間ってのが普通は出てくるもんですが、この作品は誰一人として欠けていません。
そのおかげで、前作の流れを完全に受け継ぎ、より一層深くて広いストーリーと世界観になっています。

ストーリー上では8年後の話ですが、その経過した時間ってのが見事に脚本的な演出として効いていて、同じキャストが演じてるのがただでさえ嬉しいのに、登場人物の前作では紹介されなかったバックグラウンドが徐々に明らかになり、キャラクタがより色濃い描かれ、単にドラマとして観てももの凄く面白かったです。



それに加え、映像のセンスが前作を上回る面白さ!
監督・脚本のトロイ・ダフィーは前作から10年間、長編映画は全く撮っていなかったとのことですが、そんな事は全く感じませんでした!

前作でもおなじみだった、悪人を処刑した兄弟の犯行手口を、刑事があたかもその場に一緒にいたかのように解明していくシーンが今回もあるのですが、やっぱり今回も面白い!
しかも前作では男性刑事(ウィレム・デフォー)が演じていたパートを、今回はS気タップリの女性刑事が演じており、スローを多用した銃撃シーンも派手さと色気がハジケまくって、よりエキサイティング!



キャストですが、この作品に登場するキャラクタってのはホントに魅力的♪
処刑人の兄:コナー・マクナマスを演じるショーン・パトリック・フラナリー!
弟:マーフィー・マクナマスを演じるノーマン・リーダス!
やっぱりこの兄弟は最強で最高だよ!
悪人を処刑するとは言え、正義感がとても強く、タフでワイルドなのに映画のような派手な演出を求めてるクセにいつも失敗してしまうっつーマヌケな一面(でも処刑はいつも成功するw)もあって、10年経ってもその存在があることに嬉しくなりました♪



兄弟の父親で伝説的な殺し屋:ノア・マクナマスを演じるビリー・コノリー!
前作ではただ父親であることだけが明かされ、他の事は全て謎でしたが、今作で判明する父親の過去のエピソードが、また素晴らしかったです・・・
コートの下に着たベストに、何丁ものハンドガンを仕込んで臆す事無く敵陣に乗り込んでいくカッコ良さは異常!

兄弟の犯行手口を解明する天才的なFBI“特別”捜査官のジュリー・ベンツ!
女性であることもだけど、前作のウィレム・デフォーが演じてたスメッカー捜査官とはまた違った感じで鼻につくイヤらしさを持ったキャラクタでしたが、後半になり彼女の正体が判明した後は、もうとんでもなく魅力的な人にしか見えませんでした♪
あたかも自分が現場にいたように手口を解明するシーンは、絶対見もの!

そのほか、<ボストン・ポリス・アミーゴス>ことダメ刑事3人衆も前作から引き続きの俳優さんで演じられていたり、アイリッシュ・パブのマスターや兄弟が武器を大量に仕入れる銃砲店の店員も前作と同じ俳優さんが演じていて、本当に抜け目の無いキャスティングでした!

あ、肝心の“あの人”も・・・・♪



10年ぶりの続編で、前作もそこまで大きな規模でなかったり、カルト的な人気で熱狂的なファンも多く、その後のガンアクションにも影響を与えた作品であったりと、厳しい目で観られてもおかしくない作品。

それが、ここまでの完成度に仕上がってるのには、驚きと同時に頭が下がります。

奇跡としか言えない、超完璧な続編!

~~~~~~~~~~~~~~~

とにかく、前作を観て面白いと思った人は、絶対に観ないと損!!!

映像や世界観に加えて、コミカルでちょっと笑ってしまうような部分とかまで完全に継続されてるんで、確実に楽しめる作品です!!!

予定さえあえば、もう一度劇場まで観に行きたいなぁー

2010年5月28日金曜日

ゲン@ 劇場:『パレード』

ゲンです。
昨日今日とお休みでしたが、また映画漬けな休日でした♪
そのレポも追々で・・・

~~~~~~~~~~~~~~~

『パレード』
@シネクイント(2/23鑑賞)

表面的な人間関係で満足しながら、都内のマンションで共同生活を送る若者たちの日々を描く青春群像ドラマ。
吉田修一による第15回山本周五郎賞受賞作の原作を基に、『世界の中心で、愛をさけぶ』『遠くの空に消えた』の行定勲監督が映像化。
出演は藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介。

現代の若者らしい人との繋がり! 自分の知ってる“アイツ”って何?

前評判がそこそこ良かったので期待してましたが、脚本もキャストも見事にハマっていてなかなか面白かったです。

ストーリーはというと、都内のとあるマンションの一室で共同生活する男女5人の群像劇。
特別に仲が良いワケでも悪いワケでもなく、お互いに深くは干渉しないように生活を共にしているんですが、その繋がりの浅さってのが妙にリアル。
友達でも恋人でもなく、単なる同居人なんだけど、生活のリズムもバラバラなので、そこまで深い付き合いを楽しんでいるワケでもない。
だからと言って、ストレスを溜めてる感じでもない。

まぁ、実際にこんな風に生活してる人達なんていないだろうけど、もし20代の男女が一緒にバランス良く生活しようとしたら、きっとこんな風になるんだろうなぁって感じました。

で、一見すると何の苦労もないように見える個々だけど、実際にはそれぞれ裏に人には言えない秘密や悩みを抱えてるってのも、ちゃんと描かれている。

そして、誰もがそれを気づかれていない、他人は気にも留めていないって考えてるんだけど、実際にはクチや態度に出してないだけで、心のどこかでは分かってる。
分かってはいるんだけど、そこにはあえて触れない。

それは優しさだったり、哀れみだったり、理由はそれぞれなんだけど、その奇妙な共同生活が持ってる「心地良さ」に安心してるんだろうと。


この繋がりのバランスが、ホントに絶妙で素晴らしかったです。
序盤はこの軽薄さがどうも引っかかって、ストーリーにそこまで魅力を感じてなかったのですが、後半ではその軽い繋がりが故に保たれた人間関係のバランスにグイグイ惹き込まれました。
さらにラストでもう一押しの展開。
アレのおかげで、前半にスルーしてた部分が魅力となって一気に蘇ってきて、それはもう素晴らしいエンディングでした。


そして脚本以上に素晴らしいキャスト。
若手の実力派をよくここまで揃えたなぁって思いました。

まず藤原竜也ですよ!
この人は若者の裏と表を演じさせたら、最高に輝くよなぁー♪
映画配給会社に勤め、共同生活の仲間内ではリーダー的な存在で一番まともな人間なんだけど・・・!
いやーもーホントに最高でした。

共同生活に突如割り込んでくる謎の青年を演じる林遣都!
去年くらいから知った若手俳優ですが、濱田岳の次に注目してますw
今まで観た作品ではクリーンな役が多かっただけに、今回の影と謎のある役は新鮮でしたが、とても魅力的でした。

その他にも、先輩の彼女に恋をする大学生を演じる小出恵介!
人気俳優と密かに恋愛を続ける女の子を演じる貫地谷しほり!
イラストレーターでおかまバー常連の酔っ払いを演じる香里奈!
と、主要キャスト5人の個性が抜群に効いてて、全ての俳優がその演技力を最大限まで引き出されてて、ホントに素晴らしい配役でした。


本音と建前、秘密と隠ぺい、友情と馴れ合い・・・
不確かな関係の中にある、確かなバランスと安心感。

今しか味わえない作品なのかも知れませんね。


~~~~~~~~~~~~~~~

年代的にも自分とドンピシャな部分もありまして、青春&群像劇としてもかなり完成度の高い作品だと思います。

ただ描写が一部生々しいんで、あんまり友人とかと観に行かない方がいいかも知れませんが・・・

あと個人的に「追い込まれた藤原竜也」ってのは最高の素材だと思いますねw
「追い込まれた堺雅人」に負けないくらい魅力的だわ♪

彼の演技は舞台向きだと常々思うので、一度ナマで観たみたいなぁ・・・

2010年5月27日木曜日

ゲン@ 劇場:『川の底からこんにちは』

ゲンです。
今年は邦画もなかなか好調です!

~~~~~~~~~~~~~~~

『川の底からこんにちは』
@渋谷ユーロスペース(5/7鑑賞)

仕事も人生も妥協して生きてきたヒロインが実家に戻り、病気で倒れた父親の営むしじみ加工工場の再建に奮闘する人生応援歌。
工場の従業員には相手にされず恋人に浮気されながらも、どん底から開き直って成長していくヒロインを『愛のむきだし』の満島ひかりが熱演する。

かつて『アフタースクール』の内田けんじ監督も獲得した「ぴあ」が主催する映画祭「PFFアワード」で、2007年にグランプリを獲得した石井裕也さんが監督・脚本したという作品ですが、多くの映画サイトで絶賛されてたので楽しみに観に行って来ました。

しょうがないから、頑張るしかない! ドン詰まりの女子が見せるリアルな奮闘記!

正直、ここまで素晴らしいとは予想してませんでした!
初めに言っちゃうけど、今年の邦画一位はほぼ確定だと思います!


ストーリーはというと・・・
上京して5年目のOL:佐和子は、5つ目の職場で、5人目の彼氏とその連れ子とともに仕事にも恋愛にも「妥協」の二文字を胸に悶々とした日常をやり過ごしていた。
そんなある日、実家でしじみの加工会社を営んでいる父が病に倒れたとの連絡が入る。

佐和子にはおいそれと帰郷できない事情があったが、彼氏の強引な後押しにしぶしぶ帰る決心をする。
が、実はこのどさくさにまぎれ、先に会社を辞めていた彼氏が娘とともに佐和子の帰郷について来てしまう。

受難の続く佐和子。
それでも父の後を継ぐかたちでしじみの加工会社で働き始めるのが・・・




脚本もですが、素晴らしいのはこのリアルな空気感。
自らを「中の下」と評価する主人公:佐和子は、仕事やプライベートの全てにおいて「私なんかは、これくらいでしょうがない」と妥協を続ける毎日。
何か悲しいことや落ち込むことがあっても、「しょうがない」でやり過ごす。
それは自虐でも逃避でもなく、自分なりにただ「生きやすい場所」なだけ。
そんな先にも後にも進めない佐和子が、しょうがなく出戻ってきた地元でも、ドン詰まりを味わい続ける。

一見すると救いが無さそうな状況だが、主人公の佐和子のキャラクタのおかげなのか、どこか微笑ましく笑って観ていられる。
でも観客も、薄々気づき始める。

「どこか自分と似てるかも・・・」

そう、例え仕事を転々としていなくても、恋人が甲斐性ナシでバツイチで子持ちでなくても、田舎に出戻ってバカにされていなくても、ドン詰まりを味わい続ける佐和子の心境に共感し始める。

そして、どんな苦境でもあっけらかんとし、打ち勝つでも負けるでもなく「しょうがない」で何となく乗り切り続けている佐和子を応援したくなってくる。

そんな佐和子も父が亡くなり、会社の経営も悪くなり、彼氏にも捨てられると、今までにない表情を見せる。

「もう・・・・頑張るしかない!」

そうだ、もう頑張るしかないんだ。
しょうがないのも、ダメなのも知ってる。
別に「努力しよう!」何ていう意味じゃない。
逆ギレかも知れないし、笑われるかもしれない。
でも、とにかく頑張るしかない。

観ているコチラが応援されてるワケでも、励まされてるワケでもない。
ただ、どこか許されてる気がする。
そして、手を引っ張られてるような気がする。

笑いとともに感じる、その不思議な安心感がとても心地よく、最後の最後までスクリーンに目が釘付けでした!


キャストですが、主人公:佐和子を演じる満島ひかりが本当に素晴らしい!
『愛のむきだし』(未見)で演技力の高さを各映画雑誌で絶賛されていたので、名前は聞いた事がありましたが、確かに演技力は高いのも頷けるし、それ以上に今の若手女優の中ではあまりいないタイプの空気とキャラクタを持っていて、とっても個性的で魅力的な女優であると思いました。
恐らく、今年の各映画雑誌の邦画部門の女優賞は、彼女が掻っ攫うんじゃねぇかなぁと思います。

そして彼女の叔父を演じる岩松了さん!
三木聡作品で独特な空気を放ってて、凄く好きな俳優さんですが、この作品でもその存在感は独特の味があって、とっても笑えました。


とにかく全体的に監督のセンスが素晴らしく光ってると思いました。
若干26歳(同い年!)の若手監督ですが、脚本・映像ともに変にしがらみがなく、こ慣れた様な甘いカットが全くと言っていいほど無いので、落ち着いた空気の作品なのに油断できずにスクリーンから目が離せませんでした。

このセンスがずっと消えずに、映画を撮り続けてくれたら、どんな傑作が生まれるのか、ちょっと末恐ろしいですね・・・


若手の監督が描く、ドン詰まりのリアルな空気感!

笑えて、泣けて、安心できる傑作ドラマ♪


~~~~~~~~~~~~~~~


単館系なので爆発力って意味では弱めですが、あとからジワジワ感じるものがあったのと、自分と同い年の若手監督への賞賛と期待って意味を込めて、かなりの高評価にさせてもらいました。


東京では渋谷でしか上映してませんが、もう少し館数増やしてもらってもいいのになぁと思いました。
一般的には目立たないだろうけど、映画雑誌の今年のランキングでは確実に上位に食い込む作品だと思います。
と同時に、主演の満島ひかりの今後に期待♪
『愛のむきだし』も観たいのだけど、上映時間が6時間(1本で)と激しく長いので観る勇気がないのだよねぇ・・・w

ゲン@ 劇場:『恋するベーカリー』

ゲンです。
やっとお休みになりました! 木・金曜でまたいっぱい新作観ます!

~~~~~~~~~~~~~~~

『恋するベーカリー』
@TOHOシネマズ 錦糸町(2/22鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ


人気ベーカリーを営む女性実業家が、自分らしい人生を手に入れるために奮闘するハートウォーミング・ストーリー。
監督は『ホリデイ』の女性監督ナンシー・マイヤーズ。
主演は『プラダを着た悪魔』の名女優メリル・ストリープ。

ゴールデングローブ賞で『ジュリー&ジュリア』に並んで主演女優賞にダブル・ノミネートされたメリル・ストリープのラブコメ!ってコトで、楽しみにしておりました。

大人のラブコメ♪ それでも恋するベーカリー!w

いや、めさくさ面白かったです。
メリル・ストリープの演技が観れればいいやと思ってましたが、脚本的にも非常に素晴らしかったです。


ストーリーはというと・・・

旦那の浮気が原因で10年以上前に別れた、人気ベーカリーのオーナー:ジェーン(メリル・ストリープ)は、女手一人で3人の子どもを育て上げ、仕事も順調にこなしていたが、安定した生活の中でどこか満たされない思いを密かに持ち続けていた。
そんな時、息子の卒業パーティーで久しぶりに元旦那と再会する。
始めは敬遠していた彼女だったが、そこは元夫婦、会話は弾んで盛り上がってしまい、一夜を共にしてしまう。

愛想が尽きて分かれたはずの元旦那に再び惹かれてしまう彼女。
これって浮気? 不倫?


まず始めに言っておきますがこの作品、邦題と予告編でかなり損してます!
原題は『It's Complicated』というタイトルで、訳すなら「まぁ、複雑なのよねぇ・・・」って感じでしょうか?
少なくとも「ベーカリー」はタイトルに入れない方が良かったかと・・・

とにかく、ホントに脚本がよく出来ると思いました。
年齢を重ねた女性のラブストーリーって、今まで絶対に共感できないと思ってたんですが、脚本の面白さにグイグイ引きこまれて行きました。
年齢を重ね、様々な経験をしてきたからこそ分かる、そこから生まれる愛情や葛藤。
今は別れたとは言え、若い頃に知り合い、長年連れ添ってきた二人ともなれば、相手の手の内が分かっているので、進もうと思えばドコまでも進んでしまう。

この人と“一度”別れたのは事実・・・
でも、愛する気持ちは終わってない?

うーん、こいつは複雑だわw


キャストですが、主演のメリル・ストリープの素晴らしさ言わずもがな。
作品ごとに違った顔を見せ、とてつもない演技の幅を持ち合わせておりますが、今回は元旦那に恋をしてしまうと言う女性の役。
本人も60歳を向かえましたが、恋をするのに年齢なんて関係ないのですねw
元旦那を見つめる瞳や、女性の親友同士でぶっちゃけトークを見ていると、年齢を感じさせないエネルギーを感じました。

その元旦那を演じるアレック・ボールドウィンも50歳と結構なお歳で、体型もなかなかのメタボなのですが、メリルを完全に女性として見つめる眼差しがギラギラしてて良かったですw

そして、メリルに恋する建築家を演じるスティーブ・マーティン!
コメディ俳優としての印象が強い俳優さんだったのですが、今回はセリフが少ないながら、表情と仕草でメリルに対する想いを匂わす演技がとても自然で素敵でした。


女性監督らしい目線で描かれ、全ての女性の恋する気持ちを代弁する、とっても素敵な作品!

男性側から観ても、とっても複雑ですよ♪w


~~~~~~~~~~~~~~~

そんな感じですが、やっぱりメリル・ストリープは凄い女優だわ・・・

作品ごとに全然違うイメージでどれも恐ろしい演技力だし、全てが面白い。
出演作を観るたびに、この人の引き出しは一体いくつあるんだろうと驚かされます。

あと、この手の「大人向け恋愛映画」ってあんまり興味なかったんで、手を出したことが無かったんですが、面白い作品は面白いんだなぁー

とりあえず、この作品は劇場で観ても損しないくらい、素晴らしい作品でした!

2010年5月26日水曜日

ゲン@ 劇場:『9 ~9番目の奇妙な人形~』

ゲンです。
レポが貯まってるので出来る限り、続けて更新していこうと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~

『9 ~9番目の奇妙な人形~』
@新宿ピカデリー(5/9鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ

人類滅亡後の世界を舞台に、背番号を持つ9体の人形が巨大な機械獣と闘うダークファンタジー・アニメ。
第78回アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされたシェーン・アッカー監督による同名タイトルを、ティム・バートンのプロデュースで長編映画化。

最初に予告編を観たのが1年半くらい前で、それからずっと公開を楽しみに待っていましたが、ついに公開!

バートンも唸った圧倒的なビジュアルセンス! ダークな世界に息を呑む! 

1年半待ったかいがあったなー♪ あの世界観、タマらんわー!

ストーリーはこんな始まり・・・
古びた研究室の片隅で、麻布を縫い合わせた小さな人形が目を覚ます。
自分が何者なのか、どうしてここにいるのか、全く分からない。
ふと目を向けると、机の下には自分を作ったであろう、白衣の男が倒れている。
何が原因かは分からないが、息絶えているようだ。
薄暗い部屋に光が差し込む窓を開けてみると、荒廃した街並み。
そこは機械の反乱により、人類が絶滅した世界だった。

目覚めた時、世界は終わっていた・・・



元々はアカデミー賞の短編部門にノミネートされた作品でしたが、それを観たティム・バートン「これまでの人生で見た映像の中で、最高の11分間だった」と大絶賛し、自ら製作を買って出て今回の長編に至りました。
しかもその企画に、『ナイトウォッチ』『ウォンテッド』を監督したロシア生んだ奇才:ティムール・ベクマンベトフまで製作に加わっちゃったもんだから、期待するしかないでしょう!



何と言っても素晴らしいのは、主人公たちや敵の機械獣たちのビジュアルセンス。
ガラクタを寄せ集めたようなパーツで形成され、おぞましさや儚さと同時にどこか優しさも感じるような不思議で個性的なキャラクタばかり。
元々「荒廃した未来」って設定だけでもヨダレが垂れそうなくらい大好きなのですが、スチームパンクっぽさもあって、そのキャラクタ性に最高に惹かれました!

特に主人公たちを襲う機械獣のビジュアルは、歯車を組み合わせた様な機械むき出しのヤツばかりで、最高にカッコイイ!
アレは男子心をくすぐるわー♪
『トイ・ストーリー』の1作目で隣に住むシド(イタズラ坊主)が改造したオモチャみたいなオドロオドロシさは、興奮せざるをえないw



そして主人公の人形達もみんな個性的!
基本的に麻布とカメラのレンズのような目玉で出来ているので、同じような感じがするのですが、9体登場する人形の全てが全く違う性格で、その設定の細かさにも凄く心を揺さぶられました!

とにかく、この可愛くもない小さくて奇妙な人形と機械たちに心を奪われ、荒廃した世界観にヨダレをたらし、アクション映画的なカメラワークに興奮しまくりでした!



それと人形たちの声をなかなか豪華な俳優さんたちが吹き替えしてるのも大きな魅力!
主人公:9を演じるのは、『LOTR』イライジャ・ウッド!
弱々しくも正義感に溢れた主人公にはピッタリの配役!

勇敢で自立心の強い女戦士:7には、『そんな彼なら捨てちゃえば?』にも出演していたジェニファー・コネリー!
キャラ的にもこの7はかなりカッコ良く、大活躍するのですが、男勝りな迫力のある力強い声が良かったです。

風変わりで謎のある芸術家:6には、バートン監督の『アリス~』でハートのジャックを演じていたクリスピン・グローヴァー!
やっぱりこの人はクセのある役が似合うなぁーw



また劇中の音楽は、バートンの盟友であるダニー・エルフマンが担当し、その独特な世界観をより一層深くて味わいのあるモノにしていました。

近頃、海外のCGアニメを日本のタレントで吹き替えして、作品の世界観を捻じ曲げて公開する愚行が繁栄する中で、ここまで謙虚に公開されたことは非常に嬉しいです。



バートン好きは絶対に観なくちゃ損!!!

彼が絶賛した理由も納得できます!!!

『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』に負けないの傑作ダークファンタジー!!!

2010年5月25日火曜日

ゲン@ 劇場:『かいじゅうたちのいるところ』

ゲンです。
先日DVDが発売になりましたが、劇場鑑賞レポを今更上げてみます。
一周回って、ある意味タイムリーw

~~~~~~~~~~~~~~~

『かいじゅうたちのいるところ』
@TOHOシネマズ 錦糸町(1/16鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ

世界中で愛されている絵本「かいじゅうたちのいるところ」を実写化したファンタジー・アドベンチャー。
原作者モーリス・センダックたっての希望により、『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』のスパイク・ジョーンズがメガホンを取る。

実写化の企画の話を聞いた時からワクワクしてましたが、公開された予告編を観て大興奮!
奇才:スパイク・ジョーンズの趣味が爆発していて、もの凄く楽しみでした!

かつて少年だった全ての大人に贈る、男の子のファンタジー♪

まず断っておきますが、世間的には酷評を受けまくってますが、個人的にめさくさツボにハマりましたので、完全擁護でお送りいたします。
そりゃもう、一昨年の『スピードレーサー』ばりに守るさ!w

いや、ホントにマジで素晴らしかったです。
公開前から期待しすぎて、原作の絵本まで買っちゃったけど、その期待をさらに越えての大傑作!

上映時間101分の間、あそこまでずっと鼻水を垂れ流して泣きじゃくった映画は思い浮かびません。
ストーリーが悲しいとか感動したとかじゃなく、心臓と共鳴して泣いてしまったような感覚でした。



ストーリーはというと・・・

主人公:マックスは8歳の男の子。
両親は離婚していて、今はお母さんとお姉ちゃんと暮らしている。
でも、お姉ちゃんは友達ばかりと仲良くして、弟のマックスはのけ者扱い。
お母さんは普段は優しいけれど、仕事も忙しくてあんまり構ってもらえない。
それにお母さんは新しい恋人を見つけたみたいで、マックスが話しかけても上の空。
学校の授業じゃ、「太陽もいつか消えてなくなる」なんて話を聞かされてしまい、とっても憂鬱・・・

そんなマックスの唯一の不満の爆発方法は、オオカミの着ぐるみを着て暴れること。
お姉ちゃんの部屋もメチャクチャにして、夕飯の支度をするお母さんのそばではテーブルに乗って大暴れ。

ついに家を飛び出したマックスは、気づけば見知らぬ浜辺。
目の前にあったボートに乗り込んで、荒れ狂う並みを潜り抜けて辿り着いたのは、かいじゅうたちの住む見知らぬ島だった・・・

初めて人間の子どもを見たかいじゅうたちは、マックスを食べようとする。
とっさに作り話をするマックス。

「僕を食べちゃダメだ! 僕は王様なんだから!」

その話を信じ込んで、マックスを王様として迎えるかいじゅうたち。
マックスの命令で、かいじゅうたちは大きな城を作り始めるが・・・



原作はほんの十数ページの絵本ですから、こんなに深いバックグラウンドがあるワケではないのですが、ワガママな少年:マックスがかいじゅうたちの住む島にやってくるというのは同じです。

しかし、このバックグラウンドが抜群に素晴らしい。
マックスが雪の積もった庭で一人ぼっちで遊ぶファーストカットだけで泣き始めましたw
お姉ちゃんに冷たくされたのは分かるけど、暴れすぎたせいでお母さんにもキツく怒られ、踏んだり蹴ったり・・・

可哀想すぎるぞ・・・不憫すぎるぞ・・・マックス・・・

確かに主人公のマックスは「聞き分けの無い悪い子」なのかも知れないけど、そんなもんじゃないですか、8歳って?
しかも言葉で言えば「悪い子」だけど、その中には「自信」であったり「不安」であったり、「憂鬱」「疑い」「甘え」とか、幼いなりに複雑に詰まってると思うんですよ。
だからこその不満とかイライラだし、それが爆発した時に止まらなくっちゃうと思うの。

でもさ、それって表現の強弱はあれど、誰もが持ってた気持ちじゃないのかな?

そんなマックスが逃げてきて辿り着いたのは、かいじゅうたちの住む島。
かいじゅうたちは見た目は恐ろしいし、なにやら自分を食べようとしてるみたい・・・

とっさに

「僕は王様だ!」

とウソをつくマックス。

それを信じ込むかいじゅうたち。
一安心したマックスはかいじゅうたちと遊びはじめる。
仲良くなって話してみるととってもイイヤツばかり。

だけど、何かの拍子でそれぞれの個性が出てきちゃう。
あるヤツは根拠の無い自信があったり、あるヤツは理由の無い不安に怯えてたり・・・
楽しんでたはずが急に落ち込んだり、仲間に疑いの目を向けたり・・・

そう、それはマックスが持ってたあらゆる感情が、それぞれ強調されて出てきてるかいじゅうばかり。
そんなかいじゅうたちに、最初は仲良く遊んでたマックスも段々とイラ立ちはじめ、必死にまとめようとする。

「僕は王様だぞ! 言うことをきけ!」

恐らく、マックスにとって「王様」というのは、そういう面倒くさい感情を超越したモノだと信じていたんだろう。
漠然とした自信や不安、憂鬱なんかの全てを打ち消す、魔法のようなモノ。
それがあると、あるはずだと、無ければ大人になれないと思っていたんだろう。

ところがかいじゅうたちは、

「王様だったら何とかしてみろ!」

といい始め、どんどん険悪になる一方。
ついには仲の良かったはずのかいじゅうたちは、バラバラになってしまう。


今までの楽しさがウソのように、一気に暗くなるマックス。
そして一匹のかいじゅうにつぶやくように話しかける。

「本当は僕、王様なんかじゃないんだ」

そう告げると、再びボートに乗り込み島を出て行こうと決める。


多分ね、8歳の少年にとって、自分のついたウソを認めるって、とんでもなく勇気がいることで、もの凄い恐怖だと思うのよ。
しかも、「王様じゃない」というのはウソでもあるし、同時に自分が「ある」と信じてたモノを否定することにもなるわけだから、自分の存在が消えてなくなっちゃうくらいの怖さだと思うの。

こんなに辛いことってあるかい?


島を出て、海を渡り、気づけばまた家のそばに戻ってきたマックス。
何日も旅をしてたはずのなのに、家を出てからは不思議と時間が経っていないようで、心配していたお母さんもマックスの姿を見て優しく迎えてくれる。

お母さんの作った温かいスープを飲み、マックスは笑顔になる。



ハッキリ言ってね、こんなの子どもが観ても絶対に楽しくないですよ。
日本語吹き替えとかでバンバン上映してますけどね、意味が分からないでしょ、子どもがこれ観ても。
そもそもかいじゅうたちもビジュアル的に可愛い要素ゼロだしw

まー分かんないんですけど、これは女性も理解できないかもと・・・
色んな感情が入り混じった様子ってのは男女問わず、幼い頃に経験してきてるだろうけど、それを何か超越した「王様」っていう存在があると思ってるのは男子だけなんじゃいかな?
(違ってたらゴメンナサイ)


序盤にマックスが学校の先生から「太陽はいつか消えてなくなる」って教わるんだけど、これってもの凄い恐怖だと思うんですよ。
大人になると「想像できる怖さ」の方が怖いけど、子どもの時って「想像できない怖さ」の方が遥かに怖いと感じてました。
「太陽が消えてなくなる」なんて、大人でもなかなか想像できないけど、8歳の少年からしたらとんでもなく恐ろしいくて不安なことだと思う。

それが「王様」ってモノが無い怖さとかに繋がってくるんじゃないかと。


あとラストの話をすると、別れ方が完璧じゃないんですよね。
みんなとちゃんと仲直りして、別れられないんですよ。
「そこがダメ!」っていう意見も結構あるみたいだけど、実際に経験する別れってそんなもんじゃないですか?
お互いに分かってたり、許してるつもりでも、実際に綺麗にさっぱり別れられる事ってそうそう無いと思う。
子どものように感情が先行する年代はなお更だし、男の子ってさらに複雑ですよ、プライドとかもあるからw



とにかく、そういうありとあらゆる面でツボにハマりまくってしまい、上映時間中はずっと鼻水垂れ流しで号泣でした。
泣きすぎて隣の人に迷惑かけたかもしれないって久しぶりに思ったw

ま、あくまで僕の読み解きなんで、監督は全然違うこと思って作ったのかも・・・

それでも充分に拾える作品ではあると思います。


少なくとも僕の中では超大傑作!

今年の3本目ですが、通年でベスト3を争うのは確実な作品です!


~~~~~~~~~~~~~~~

そんな感じなんですが、またこれも書くのに時間がかかったレポでしたなw

先日書いた『(500)日のサマー』同様、普段はどんなに面白い映画を観ても、そこまで鑑賞後の生活に支障をきたす事はないのですが、あまりにツボにハマってしまうと全然レポが書けなくなってしまいます。

しかも世間的には全く評価が良くないので、それを打ち消せるように自分なりにテンション上げて臨むため、余計に時間がかかってしまうのね・・・

まぁ、別に「号泣」とまでは言わないまでも、この作品を観て同じような拾い方をしてくれた人とは朝まで飲み明かせる気がするわ♪

2010年5月24日月曜日

ゲン@ 劇場:『オーケストラ!』

ゲンです。
今年はかなりの当たり年のような気がしてます。

~~~~~~~~~~~~~~~

『オーケストラ!』
@Bunkamura ル・シネマ(5/7鑑賞)

※先に観た梅太くんのレポはコチラ


かつては一流オーケストラの天才指揮者だった中年清掃員が、急きょ出演できなくなった楽団の代わりに、昔の楽団仲間を集めてコンサートに出場しようと奮闘する感動作。
出演は『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン。

タランティーノ監督作『イングロ~』で魅了されたあのメラニー・ロランが出演ってのと、先に観た相方が絶賛してたんで、劇場まで観に行って来ました。

フランスが生んだ奇跡の協奏曲[コンチェルト]!

凄く評判が高く、平日初回ながら満席の状態だったので、前の方で首を痛めながら観たのですが、そんなことはどうでもいいくらいに素晴らしい作品でした。

ストーリーはというと・・・
モスクワのボリショイ劇場の清掃員として働く主人公:アンドレは、支配人に叱られながらも、オケの練習を聞くことを日々の楽しみとしていた。
そんなある日、彼がオフィスを掃除していると、一通のFAXが届く。
それはパリの劇場から届いた楽団への出演依頼。

アンドレはかつて、モスクワの楽団をまとめる指揮者だったが、ユダヤ系の楽団員を守るため、楽団員共々解散させられていた。
支配人に見つかる前にFAXを盗んだ彼は、ニセの楽団を結成してパリに乗り込むという無謀な計画を思いつく・・・


前半はコミカルなドタバタ劇で、テンポ良く進んでいく。
かつてのメンバーたちは点でバラバラになり、音楽から離れた生活をし、楽器すら手放している人すらいる状態。
しかし、彼の無謀とも思える計画を聞いたとたん、表情は明るくなり、口を揃えて協力しようと言ってくれる。
出演者に特に知った顔がいないので、楽団員の見せる素朴な表情に引き込まれ、前半は凄く笑わせてもらいました。

そして後半、様々な困難を乗り越え、何とかパリの劇場まで辿り着いた彼らですが、30年もの長いブランクもあってリハーサルすらまともに進まず、本番を迎えても全くまとまる気配がない。

そこで奇跡のような活躍をするのが、指揮者:アンドレが直々にゲストに指名したパリに住む人気のヴァイオリニストで、メラニー・ロラン演じるアンヌ。
彼女の演奏により、バラバラだったオーケストラが、一つにまとまって行く。

このラストの演奏シーンが良過ぎて震える!
コンサートのシーンなので台詞のやりとりはありませんが、曲調の盛り上がりや演奏する楽団員の表情から、ストーリーが一気に加速してまとまる。
演奏が終わった瞬間、スクリーンの中の観客のように、こちらも拍手をしてしまいそうな高揚感になりました!

彼女が何者なのか・・・そして何故、アンドレは彼女にこだわるのか・・・
それは劇場でのお楽しみに♪


出演者ですが、まー何と言っても素晴らしいのがメラニー・ロラン!
今最も美人な女優さんだと思いますw
『イングロ~』の時も良かったですが、今回もすんごく綺麗で見惚れてしまう!
「美女とヴァイオリン」ってのは最高の食い合わせですなw
ラストの演奏後に見せた表情で、悦に浸れまくった♪



またオーケストラの楽団員を演じる方々に知った顔はいなかったのですが、素朴なだけでなく個性的なキャラクタの俳優さんばかりで、とても惹きつけられる演技と演奏で、皆さん本当に素晴らしかったです!


オーケストラには疎い人間ですが、コミカルなドラマとして観ても非常に面白い作品!

『のだめ』なんか観ずに、こちらを観に行って!w

2010年5月23日日曜日

梅太@ 弐口メモ:2010.5.22

この記事は 父と子と精霊の御名の・・・間違えた 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 ゲンさんが10年ぶりに、父と子と精霊の御名において、悔い改めて(※)ブログ更新しました。
 (コチラ)
 本ブログ読者を差し置いて、僕が一番復帰を喜んでおります。

※:
 勿論、ネタです。
 詳しくは以下を参照。

-------------------------------

『処刑人Ⅱ』 公式サイト:http://www.boondock2.jp/
監督:トロイ・ダフィー。
出演:ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス。

 10年ぶりの続編です。
 本日初日、悔い改めてきました!

 冒頭、前作でも登場した警官3人組の前に、”あの女”がやってくる・・・というシーン。
 僕は「もしや・・・?」と期待したけれど、違ったみたいだ。
 てっきり、女装ver.のスメッカー刑事(ウィレム・デフォー)が出ると思ったのだが!・・・残念。
 今回スメッカーの後釜を務める女性捜査官:ブルーム(ジュリー・ベンツ)、最初はあまり好きじゃなかったのだけれど、段々惹き込まれていきました。

 前作で魅せた”謎解きアクション”(どう名称をつけたらいいかわからないけれど)も健在。
 謎解き役(今回はブルーム)が、現場の証拠を元に犯行の手口を明かしていくのですが、あたかも自分がその犯行現場にいたかのように、あたかも自分がやったかの様に謎を解いてみせる。
 この、
 『謎解き×アクション』
 が本作の魅せどころで大好きなのですが、しっかりと続編にも受け継がれていたのが嬉しい。
 前作のノリノリのデフォーもよかったですが、ジュリーの ”カウ・ガール”シーンも最高でした。ガン・パフォーマンスは惚れ惚れします。
 またアクション・・・というか二人の人物像という点においては、決してプロフェッショナルではない・・・という点も、僕の好きな点です。
 ドジはやるは、ジョークは好きだわ、でもカッコいいのですよね。

 続編を作るにあたり僕が一番やってほしかった、「CDプレーヤー → ipod」という時代推移ネタをやはりやってきてくれて、大爆笑。
 ただ前作からたった10年ということを考えると、電子機器市場の移り変わりの速さを伺わせます。
 CD一枚で約700MBが、今では手のひらサイズで32GBの時代ですからね。

 相変わらずの映画ネタも満載で楽しめました。

 最近、続編モノ(大手の)は不発が多い中、前作の姿勢を崩さず、そして前作以上に上質に仕上がった続編になっていたと思います。

 In Nomine Patris, et Filii, et Spiritus Sancti.
 (父と子と精霊の御名において)

『スターダスト』
監督:マシュー・ボーン。
出演:チャーリー・コックス、クレア・デインズ。

 公開当時は、ファンタジーブーム、CGブームに乗った作品だろう・・・ということでスルーしていましたが、『KICK-ASS』(コチラで紹介)が話題となっているマシュー・ボーン監督の作品という事で、予習の意味で鑑賞。
 予習と言っても、『KICK-ASS』(コチラでも紹介)が日本公開されるかどうかは未定ですけれど・・・
 (公開して!!頼む!!)

 スターダストという神秘的な題名、パッケージの明るさとは打って変わっての残酷描写がツボでした。
 動物は平気で殺すわ、首は普通に飛ぶわ。
 あぁ・・・これは、『KICK-ASS』みたいな作品を作ってもおかしくないなぁ・・・という感じでした。

 肝心の内容ですが、これがまた思っていた以上に秀作であり、嬉しい収穫でした。
 お話をしっかり追っている人はそうでもなかったかもしれませんが、僕はといえば、

 「あぁ・・クレア・デインズいいなぁ。あのちょっとキツい眼差しとか最高だ」とか、
 「”冒険”と”成長”は物を語るスタンスとして欠かせない要素だよなぁ」とか、
 「”イヴェイン”で”星”となると、やっぱり”エヴァンジェリン”だよね?」とか、
 「クライマックスのマーク・ストロングのアクションシーン、どうやってるの?」とか、

 どうにも横道に逸れてしまっていて、”王位継承”うんぬんの話をすっかり忘れていたせいで、終盤の伏線の回収に思わずウマイと唸ってしまいました。
 また僕は”舞い散るものフェチ”(ここでも言ってます)なので、クライマックスの魔女との戦闘でガラスが散っていくシーンは、観ていて惚れ惚れしてしまいました。

 そしてラスト、しっかりと”御伽噺”にまとめるあたり、全体に漂うシニカルな雰囲気とは違い、実はかなり真面目に”ファンタジー”を作っている印象を受け、かなりの高ポイント。

 あと、腑抜けたゴーストたちもポイント。

2010年5月21日金曜日

ゲン@ 劇場:『(500)日のサマー』

お久しぶりです、ゲンです。
4ヶ月以上放っておいて申し訳ありません。
いろいろあったのですが、とりあえず今日から更新を再開します。
更新が無かった間も劇場での新作鑑賞は続けていたので、鑑賞レポはそこそこ貯まっていますが、もうとっくに劇場公開が終わってDVDが発売してる作品もあるので、しばらく公開順がバラバラでレポが上がるかと思いますが、ご了承下さい。

そんなワケで相方の梅太くん、ありがとうございました!
今後ともヨロシクお願いします!

ちなみにtwitterも再開しております。
http://twitter.com/KuromakuKaeland/
映画以外のつぶやきもしておりますが、気軽にフォローして下さい♪

~~~~~~~~~~~~~~~

『(500)日のサマー』
@TOHOシネマズ シャンテ(1/10鑑賞)

※先に観てる梅太くんのレポはコチラ

運命の恋を信じる男と信じない女が繰り広げる、ちょっぴりほろ苦くてユニークな恋愛コメディー。
『セントアンナの奇跡』のジョセフ・ゴードン=レヴィットふんする男性の視点から、愛する人との異なる恋愛観に翻弄される20代の男のリアルな姿をつづる。
キュートな相手役には、『イエスマン』のズーイー・デシャネル。

今、最重要注目女優のズーイー・デシャネル最新作!
前評判もかなり良かったので期待してました!

運命の恋なんて・・・♪

いやー、マイった・・・ホントにマイった・・・
実は言うと、この作品を年明けに観てしまったが故に、1ヶ月近く経った今までレポが書けなくなってました。

今までいくつも恋愛映画は観て来ましたが、ここまでツボにハマりにハマりまくった作品は初めてです。
かつて色んな恋愛映画で「この娘は可愛いなぁ~♪」とか「この展開は素敵だなぁ~♪」とか何度も思ってきましたが、この作品はそのどれをも上回ってしまい、最終的にイヤになるくらいにハマりましたw

もうね、ドツボなんですよ、自分の恋愛感と・・・

素敵とか、憧れとかじゃなく、「コレ」なのよ・・・

あまりに自分の恋愛感とリンクしすぎて、心臓つかまれるくらいの気持ち・・・



だから、語りたくないのよ・・・もう全てが全てだったから・・・

ススメたくないのよ・・・自分の裸を見られてるような気がして・・・


まぁ、語るけどねw



ストーリーはと言うと・・・

グリーティングカード会社で働くトム(ジョセフ・ゴードン)は、運命の恋を信じる男の子。
その職場にやってくるサマー(ズーイー・デシャネル)は真実の愛なんて信じない女の子。

とびきりキュートなサマーに一目惚れしたトムは、段々と仲良くなり距離を縮めるが、「私は恋人なんていらない」と遠まわしにフラれ、「私のことが好きなら、友達になって」と言う。
その数日後、サマーはトムにキスをする。

何度もデートを重ねてドンドン仲良くなり、一緒にIKEAに行ってベットで寝そべって見つめ合ったり、新婚夫婦ごっこを楽しむ二人。
お互いの部屋を自由に出入りするような関係になるが、それでもサマーは「真剣に付き合う気はない」と言う。

果たして彼女の思惑は・・・



とにかくトムの起こす全ての行動や言動に共感せざるを得ない。

だって、あんな可愛いコがいたら、そうするべな・・・

で、そんな態度をとられたら、そうするべな・・・

で、そんな事言われたら、そるするべな・・・


の繰り替えしなんですけど、この作品の面白いのは全部がトム目線でしか描かれていないトコ。

そして彼女の気持ちは初めから変わってないという点。
どんなに仲良くなってデートを重ねても、彼女の口から「I love you」なんてセリフは一度も出てきません。
もう端っから、恋人感覚じゃないでいるんですよね。

それに気づいてるはずなのに、彼女の一挙手一投足に振り回され、悩んだり、舞い上がったりして、忙しすぎるトムw



タイトルの通り、二人の一緒に過ごした500日の話なんですが、さらにこの作品を面白いモノにしているのが、その500日の出来事を時間軸をズラシまくり、バラバラに描いてるという点です。

映画の冒頭は彼女との微妙な関係に悩んでいるシーンから始まり、「どうしてそうなったの?」って思ってると、次のシーンでは二人の出会いが描かれていたり。
デートが上手く行って凄く喜んでいるトムが、エレベーターを降りた瞬間に激しく落ち込んでたり・・・と、色んなポイントを上手く繋いでるんで、非常にテンポがよく面白いです。

肝心のクライマックスですが、僕には衝撃過ぎました。
ネタバレになるから言えませんが、男子的にあの展開はヤバいw



それと予告編や本編の冒頭で、ある言葉が語られます。

「This is not love story, It's a story about "LOVE"」

そう、これはラブストーリーじゃないんですよ。
愛についての話なの。

くそぅ・・・ドコまで生き地獄を味あわせる気なんだ・・・

まぁ、一応「ラブコメ」ってジャンルに分類できるんだけど、「くっ付いた離れた」とかいう安っぽい展開じゃなく、運命の恋を夢見る男子の心を弄ぶだけ弄んで、ドン底まで突き落として、最後にちょっと救ってくれる・・・そんな映画ですw


過去に観た恋愛映画の中で、断トツに素晴らしい最高の作品!

最高に面白いけど、最高に凹む!

自分にとってあまりにリアル過ぎて、出来ればもう観たくない作品です!


~~~~~~~~~~~~~~~

そんな感じですが、年明けから最高の幕開けでした。

・・・と言っても、これを更新してるのは5月中旬ですが・・・

いよいよDVDが7/2に発売! すんごく楽しみです♪

2010年5月20日木曜日

梅太@ 予告編:『Let the right one in』

この記事は 怪物映画大好き 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 本日ご紹介する予告編は、スウェーデン発のヴァンパイア映画:『Let the right one in』です。
 まずは予告編をどうぞ。


↓↓↓予告編↓↓↓







 ストーリーとしては。
 いじめられっ子の主人公の男の子オスカーの隣家に、少女エリが引っ越してきます。
 エリはいじめられっ子のオスカーを励まし、いつしか二人は仲を深めていくのですが・・・実はエリの正体は!!



 気付けば、この作品を知ったのって一年半前なのですね。
 特に動向をチェックせず、あっという間に今に至ってしまいました。


 そんな頭の隅にあった本作は、今年やっと日本で上映されることになりました。
 邦題は『僕のエリ、200歳の少女』だそうです。
 ・・・・まったくわからなかった。
 ”エリ”と言う名前も、監督のトーマス・アルフレッドソンと言う名前もまったく覚えてなかったので、今月に入るまで全然気付きませんでした。

 実はハリウッドリメイクが決まっているらしいですが、「作る意味が分からない」と、既に鑑賞している人の間ではそんな雰囲気みたいで。
 つまりオリジナルがそれほど素晴らしいという事ですね。
 期待は高まります。


 また、少年期のピュアな恋の香りも漂ってきて、ホラー映画としてもロマンス映画としても楽しめそうです。
 最近ヴァンパイアを題材にした例の映画もありますが、あのシリーズのように、ヴァンパイアの名前だけ借りた作品でないことを願います。
 いや、そもそもそんな作品であったなら、上記したような絶賛は得られないはずなので、これは期待していいのかも?

 なんにせよ、僕はジャンルもの大好き人間ですので、絶対に観にいきます。

 本国スウェーデンでは2年前に上映されました。
 日本では2010年7月に上映されます。
 7月はラッシュです。
 映画ファンにどれだけお金を使わせるつもりだ・・・

2010年5月19日水曜日

梅太@ DVD:『ファンボーイズ』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

A short time ago in the Yurakucho, far? far? away.

-----------------------

 1999年7月。

 あの日のことを思い出してしまった。

 中学生が活動するにはまだ早すぎる時間、確か5時台であったと思う。
 流石に、家の人は誰も起きていなかった、そんな時間。
 僕は家を出発し、210円の切符を買い、有楽町へ足を向けた。

 当時の僕は、根っからのファンと言うわけではなかった。
 しかし何故だろう、そこまでしてしまう何かを、あの日には感じていたのだと思う。(フォースか?)

▼▼▼▼▼▼

 チケットを買い、劇場に入る。
 そこにはすでに多くの人が並んでいた。

 パンフを買い、読んで、談笑している人。
 自前のライトセーバーで、誰かと戦っている人。(+それを撮るTV局のカメラ)

 なんだかすごい空間に来てしまったな。
 そう思った。

 そして、僕の、”ファン”というものに対する認識が誤っていたことに気付いた。
 これだけ早い時間に出たのに、初回には入れないとのことだ。

 仕方なく、次回の列に並ぶことになった。

 この作品、上映時間が長い。
 始まってから2時間以上も、ロビーで待たされることになった。

 流石に睡魔が襲ってくる。
 僕は体育座りの格好で寝た。
 当時は中学生だったので、体育座りなんて慣れっ子だ。
 今はもう、腰が痛くて、耐えられない。
 耐えられないといえば、列の前の人が、ものすごく汗臭かったことを覚えている。

 ・・・・暫し仮眠・・・・

▼▼▼▼▼▼

 初回上映終了後。
 鳴り止まない拍手。
 しかし流石は日本人、係員の指示があれば、律儀に劇場から出て行く。
 (出て行かない人もいる。なぜなら当時、完全入れ替え制は普及していなかったからだ)
 そして、”僕達”の番がやってくる。

 映し出される20世紀フォックスのロゴ。
 ルーカスフィルム(Ltd)のロゴ。
 沸き起こる拍手。
 そして、テーマ曲の、最初の一音。
 鳴り止まない拍手。

 133分の上映がスタートした。

▼▼▼▼▼▼


 上映が終了した。
 僕は席を立たず、そのまま座っていた。
 もう一度観たいと、思ったからだ。

 繰り返すが、僕は当時、根っからのファンと言うわけではなかった。
 しかし何故だろう、そこまでしてしまう何かを、あの日には感じていたのだと思う。(フォースか?)

 劇場を出る頃には、もう太陽は昇りきっていた。
 待ち時間を含めれば、400分以上はあの劇場にいたわけだから、当たり前だ。
 体は疲れていた。
 でも心は、なんだか晴れ晴れしていた。

▼▼▼▼▼▼

 正直に言おう、僕は今でも、根っからのファンと言うわけではない。
 ”そこそこ好き”レベルだ。
 (そんなこと言いつつ、エピソード3は先々行上映に行ったわけだが)

 だが、今は思う。
 あの”体験”は、僕の映画人生においても、かなり貴重なものであったと。
 そして、今は確信している。
 映画はその作品の出来も勿論であるが、それ以上に、”映画鑑賞”はその前後を含めた一連の”体験”であるということを。

 「駄作だったら?」
 関係ないね。

  
▼▼▼▼▼▼

 1999年7月。
 その4年と10ヵ月後。
 僕は本格的に、映画にハマり始める。
 そしてその6年後の今。
 映画は、僕にとって掛け替えの無いものとなっている。

 May the Movie be with me.


----------------------------

 ラスト、エピソード1の上映初日のシーンを観て、僕は上記した様なことを思い出し、涙が止まらなかった。

 というわけで、『ファンボーイズ』は絶賛発売中。
 品切れ故配送が送れ、今日やっと届きました。

 スターウォーズファンじゃなくても、是非観てほしい。
 スターウォーズファンなら、これ観て泣け。

2010年5月17日月曜日

梅太@ 予告編:『MACHETE』

この記事は これに燃えなきゃ何に燃えるんだ・・・な 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 本日紹介する予告編は、『MACHETE』。
 スパイなキッズのロドリゲスではなく、無法者の方のロドリゲス最新作。

 2007年に公開された大傑作『グラインドハウス』のフェイク予告編の一つとして製作された『MACHETE』を、フェイクとして終わらせず、本当に作ってしまった!それはもうフェイクではないじゃないか!と突っ込みたくなりますが、フェイク予告編ではない予告編を観ますと、これはもう観るしかない!という作品に仕上がっていそうです。

↓↓↓予告編↓↓↓



 フェイク予告編の時に、こんな豪華な映画になると誰が予想したでしょうか。
 いや、そもそもフェイクとして作られたのだから、誰も予想はしてなかったと思いますが・・・

 主人公ダニー・トレホはそのままに、ミシェル・ロドリゲス、ジェシカ・アルバ、あえてのリンジー・ローハンのチョイスもいいです。大御所でロバート・デニーロ、決して沈黙しない男スティーブン・セガールなどなど。
 勿論、”神父様”ことチーチ・マリンも登場する。

 キャストを見ただけで涎垂モノ。
 アクションとしても、『グラインドハウス』で見せたバカっぷりが健在でいいです。
 トレホVSセガール、燃える!!

 と、本編がものすごく楽しみですが、『グラインドハウス』でのフェイク予告編ですら限定公開であったため、本作が上映されるかどうかはわかりませんね。

 アメリカでは2010年9月に公開されます!

--------------------------

 しかし、”予告編”だけで言えば、フェイクの方が好きだ。

↓↓↓予告編↓↓↓



 Perfectだ。
 ノリが素晴らしすぎる。

 大好きなシーン。








「神父様、どうかご慈悲を・・・」










「神は慈悲深い・・・・」








「だが、俺は違う!」


 最高ですね。

2010年5月16日日曜日

梅太@ 劇場:『9 ~9番目の奇妙な人形~』

この記事は 是非とも短編が観たかった 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

●ラストは希望か、それとも・・・:『9 ~9番目の奇妙な人形~
監督はシェーン・アッカー。
声の出演で、イライジャ・ウッド他。

 ラストシーンで、主人公達のその後を考え始めたら、思わず涙が出てきてしまった。


------------------------

 ストーリーは。

 背中に”9”の文字を付けられた人形は、ある朝目を覚ます。
 しかし彼が目を覚ましたときには、この世界は廃墟と化していた。

 街では、”ビースト”と呼ばれる機械獣たちが蔓延っていた。
 そしてビーストと日々戦いを続けている仲間の存在を知った。

 自分は誰なのか。
 何故世界は終わったのか。
 何故自分は生まれてきたのか。
 
 仲間達とともに、その疑問を解くための戦いが、今始まる―。

▼▼▼▼▼▼

 人形達は、全員、人格を持っている。
 リーダー気質の人、ちょっとお頭の足りない人、勇敢な人、臆病な人、好奇心旺盛な人。
 何故彼らが人格を持って生まれたのか。
 しかしそれよりも、僕が面白いと思った点は”誰の人格を入れられたのか”であった。

 集団、というものを考えると、上記したような性格の人達は、その中に一人くらいはいるはずだ。
 全員前向きなら良い!全員好奇心旺盛なら素晴らしい!・・・とは思うが、集団と言うものはそうではない。
 全体を見渡してみると、±0で、うまいこと調和が取れていて、だからこそ成り立っていると思う。

 さて、”集団”という大きな枠で捉えてみたが、これは”一人の人間”という小さな枠で捉えても、同じようなことが言えるのではないかと思う。
 例えば、研究者。
 自分の専門分野に関しては卓越した知識を持ち、実験や論文も完璧にこなすような人でも、仕事をする上で必ず必要となってくる事務処理というものに関してはからっきしであったり。
 例えば、探偵。
 自分の事務所のある建物の階段の数は完璧に覚えていたり、一度会った人のことは几帳面にメモ帳に記録しておくような人物でも、私生活はてんでダメという人がいたりする。

 全てがプラス面で成り立っているわけではない。
 そのプラスを相殺するようなマイナス面が、必ず存在する。
 ”集団”という塊同様、”一人の人間”という塊も、色々な要素が組み合わさって、総じて±0で出来上がっている。
 何が欠けても、それは塊足りえないわけだ。

 ”誰の人格を入れられたのか”
 これに関してはネタバレになるので、是非とも劇場でチェックして頂きたいが、僕はその謎を知ったとき、上記した様なことを思わず考えてしまった。

 また、”みんなで一つ”というキーワードは、戦闘シーンでも意味を発揮する。
 人形一人一人では大した力を持っていないけれど、それぞれ持っている個性を最大限に発揮し、融合させることで、敵に勝つ。
 主人公が小さな人形・・・ということで、なんだか『ナイトミュージアム』を思い出してしまった。
 これは僕の大好きなパターンだ。

 この戦いは何が欠けても、誰が欠けてもダメ。
 「こんな自分でも誰かに必要とされてる」という励ましを貰えたような気がして、ちょっと元気が出てくる。

▼▼▼▼▼▼

 「目覚めると、世界は終わっていた」

 この作品は、世界の終わりから幕を開けることになる。
 こういう作品の場合、結末はどうなるの?と終了直前までドキドキが続いて、何か良い。
 なんせもう”終わっている”のだから。
 そこから何が”始まる”のか。

 ビーストとの戦いで、人形達は傷つき、倒れていく者たちもいる。
 それでも何とか獲得した勝利。
 残った人形はごくわずか。
 だが戦いを始める前とは違い、自分達が存在した意味も知り、今後の彼らに希望を持たせるようなラストになっていた。

 が、僕は悲しい気持ちで一杯になってしまった。

 彼らはこの先、何を糧にして生きていくのだろう。
 彼らは人形だ。
 新しい仲間を生み出すことは出来ない。
 そして、死ぬことも無い。(動力源は不明なので、これは多分ということにしておく)
 何の変哲も無い時間が延々と続いていくのではないか。
 そう考えると、彼らがビースト達とは違い、”人格”を持って生まれてきてしまったことは、逆に不幸なことではないか。
 変化の無い無限の時間に、人格は耐えられるものではないから。

 仮に、新しい仲間(”人格”を持った)を生み出す技術を開発したとする。

 そこには色々な思想が生まれる。
 そこには集団が出来る。社会が出来る。国が出来る。
 思想の反発が生まれる。
 戦争が起こる。
 そして未来を、新たなる希望にかけ始める・・・・

 なんだかこの作品のラストからは、負の連鎖しか想像できない。
 が、こういう作品には出会ったことが無いため、良い映画体験が出来たとも思う。

 ・・・とは言いつつも、やはり悲しい。

 やはり、9が目覚めたときには、世界は”終わっていた”のだな。


----------------------------------

 さて、オリジナルの短編の方は、どういう作品だったのだろうか。
 バートンを惚れ込ませたその短編を、是非とも観てみたいと思う。
 DVDや何かには収録されるのかな?

2010年5月15日土曜日

梅太@ 弐口メモ:2010.5.15

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

『狼男』(1941) @DVD
 そろそろ公開劇場も少なくなってきたデル・トロ版『ウルフマン』の鑑賞に併せて、ロン・チェイニーJr.版の『狼男』を観た。
 映画は編集の芸術というけれど、作中の狼男への変身シーンを見るとそれが良くわかります。
 何かを映像として見せたいとき、新しい技術を開発させていくのも大事だけれど、今あるもので最大限の効果を引き出せないかと頭を使うこと。
 その工夫は驚きを生み、そしてその努力は感動を生むのだ。

 ちょっと冷静に考えると、ロン・チェイニー、大変だったろうなぁ・・・と思わなくも無いが。

『デスレース』 @DVD
 ”2000”の方でなく、愛すべきハゲ:ジェイソン・ステイサムの方。
 ゲンさんにずっと勧められていて、2ヶ月ほど前にやっと鑑賞。

 運転のガイドになる女囚がバスから降りてくるシーンは、「きっとスローモーションで撮るんだろうなぁ」と思っていたら、案の定スローモーションで撮っていて、「やっぱりね」と。

 そんな期待通りのことが、期待通りのタイミングで、期待通りの迫力で行われる作品。
 それ以上でもそれ以下でもない。
 しかし、だからこそ気持ちが良かったりする。

 オイル缶を敵車にぶつけて「Merry Christmas, Ass Hole!!」のシーンが好き。
 バカみたいで。

 ヒロインは、ジェシカ・アルバとカット・デニングスを足した感じでツボ。

『タイタンの戦い』 @Theater
 主人公はLv.100で、ラスボスも一発で倒してしまった!という感じ。
 そしてメデューサの石化能力の高さに驚いた。

 でも王道展開は気持ちよかったし、クラーケンの大迫力は、劇場で観なければ絶対に意味が無い。
 また男心を掴む”アイテム”が満載。
 神のみが扱える剣とか、サソリの盾とか、ペガサスとか。

 ただ、キャラクターの名前が覚えにくくて、誰が誰だったか遂にわからなかった。

2010年5月14日金曜日

映画弐口MEMO コンセプト

梅太です。


 さて、この度本ブログに新たなカテゴリーを追加しました。
 その名も『映画弐口MEMO』。


 最近、私梅太は、映画のドツボにハマっているというか、映画の悪魔(天使?)に囚われているというか。

 あまりにも深く考えすぎていて、一つの作品を観ても、中々感想を纏め上げることが出来ない毎日です。
 考える毎日も、楽しいと言えば楽しい、というより楽しすぎるのですが、新しい作品は毎週のように観ているので、頭の中がゴチャゴチャしてしまうときもあります。
 ふと浮かんだ考えも、忘れてしまうことが多いです。
 一応、ネタ帳には書いているのですけどねぇ・・・追いつかない時があります。

 そこで、放出の為、もしくは一時的に頭の中から除ける為に、本カテゴリーを追加しました。
 アウトプットすることで、頭の中に隙間を作りたいと思います。
 その隙間は、恐らくすぐ埋まってしまうのでしょうが。

▼▼▼▼▼▼


 対象は、特に考えていません。
 が、主に作品鑑賞メモや、作品を通じて感じたことを、”メモ書き程度”に書こうと思います。

 ブログのコンセプトに立ち戻って、気軽に「あ~だこ~だ」言っていくつもりです。
 (今思えば、この「あ~だこ~だ」というフレーズは素晴らしいなと思う)

 「え?そもそもそういう事の為のブログじゃないの?」と言われればそうなのですが、なんだかいつの間にか「感想はしっかり書きたい」と思うようになり、そのおかげでドツボにはまっていっているというか・・・

 「あ~だこ~だ」言っていく過程で、「あ、この作品の感想は書き上げたい!」と思ったら、このメモ書きをベースにして”感想文”として昇華させていくつもりでいます。

▼▼▼▼▼▼

 名称の由来ですが、恐らく僕の性格上”一口”で済むはずがない・・・というのが一点。
 また、ゲンさんと二人で運営しているブログですので、口は二つあろう・・・というのも意味しています。

 あと、『映画好きの二人』の文字を色々削っていくと『映画二』になるので・・・という意味もあります。
 ”二”を”弐”にしたのは、かっこつけです。


 以上、よろしくお願いします。

映画弐口MEMO 記事一覧

映画2口MEMOについての記事の一覧です。

本カテゴリーで書かれる感想については、作品のあらすじを省略する場合もあります。
ご了承ください。


コンセプト紹介記事


(10/6/20 更新)

2010.5.15 『狼男』 『デスレース』 『タイタンの戦い』
2010.5.22 『処刑人Ⅱ』 『スターダスト』
2010.5.29 台詞:気持ち良いテンポ

2010年5月9日日曜日

梅太@ 劇場:『17歳の肖像』

この記事は 女性の変わりようというのはすごいものだ・・・と思う 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

●経験こそが、最高の教育:『17歳の肖像
監督はロネ・シェルフィグ。
主演は、ビックリするほど素敵になったキャリー・マリガン。

 予告編を観たとき、思わず心ときめいた。

 誰、これ?キャリー・マリガン?誰?
 調べてみたら、『プライドと偏見』の5人姉妹の、一番出番の少ない子だった。
 そんな彼女が、こんなにも・・・こういう驚きも、映画の醍醐味の一つ。


--------------------------

 ストーリーは。
 ロンドン郊外、トゥイッケナム。
 この街の高校に通うジェニーは、成績優秀、親からはオックスフォード行きを期待され、学校でも一目置かれる存在だ。

 しかし彼女の興味は別にある。
 フランスへ行き、様々な芸術に触れ、知識人と交流することを夢見ていた。

 惰性のように感じる毎日を過ごすジェニーであったが、ある日、ディビットという男性に出会う。
 紳士的な態度、教養に富んだ会話。
 彼はこれまであった全ての人と違っていた。

 彼と過ごす日々が、16歳のジェニーを大きく変えていくこととなる。

▼▼▼▼▼▼

 本作の主人公ジェニーが放つ、
 
 「教育するならその意義も教えてください。私のような生徒はまた現れる。」

 という一言は、かなりインパクトがあったし、最もであると思った。

 生きていく上で学校だけが唯一の道ではない。
 また学校教育を受ける意義も、人それぞれで違うはずだ。

 大人になると、そんなことは当然だろ、と思ってしまう。
 当たり前すぎて話題にすらしないかもしれない。
 だが大人たちのそんな態度は、いずれ子供たちにこういう疑問を生ませてしまうのだと思う。

 しかし何かしらヒントを与えてあげないと、 気付くのはなかなか難しい。
 
 だから教える側が、”教育の意義”を、自分なりの考え方でも良いからしっかり持ち、伝えていく事。
 これはとても大切なことであると思う。
 「こうしなさい」ではなく「こうなんじゃないか」という言い方でも良い。
 子供達が”自分なりの意義”を見つけるまでの指針になると思う。
 歩く道を見失った不安と言うのは、かなり大きいもの。
 とりあえずの指針でもいいから、示してあげるのが、子供以上の”経験”を積んでいる(はずの)大人の役目ではないかなと思う。

 

 ジェニーは、”自分なり”の教育の意義を見出せたが、それは上記したような優れた教育者がいたわけではない。
 彼女の場合は、周りの荒波に揉まれ・・・つまりディヴィットと出会い、様々な”経験”をし、様々な価値観に触れることがなければ、見出せなかったものだ。
 予告編で登場する「あの頃に戻っても、私は私を止めたりしない」という言葉は、それを良く表していると思う。

 「”経験”こそ、最大の教育である。」
 と、僕は思うし、この作品を観て一層そう思った。

 が、やはり道は一つではない。考え方も一つではない。
 何が絶対的に正しくて、絶対的に間違っているか・・・という問題でもない。
 なかなか難しい。

 とにかく、自分で見つけた答えはかけがえの無いものであることは事実。
 それが例えば間違っていたとしたら、それを間違いと潔く認識し、修正できる柔軟さを持っていけたらと思う。
 

▼▼▼▼▼▼

 作り方という面では、本作は人物設定が実に美事であると思う。

 ジェニー(”素敵”方面に急成長を遂げたキャリー・マリガン)は、almostオールAの成績の持ち主で、でもラテン語がちょっと苦手(そこがまたカワイイ)という優等生。
 父は、オックスフォード行きを強く望み、それ以外のことを考えない。
 母は、いまいちはっきりしない。
 先生方は、教える立場にありながら教育に対してしっかりとした答えを持っていない。
 教養はまったく無いが、それでも生きる術を持っているヘレン。
 そしてディビットの本性。

 これら全ての人物配置が、ジェニーに「教育するならその意義も教えてください。」という言葉を吐き出させるまで、そして自分なりの教育の意義を見つけるまでの物語の運びに、説得力を持たせているように感じた。

--------------------------


 非の打ち所が無く、素晴らしい作品でした。


 が、やはり本作の一番の収穫は、キャリー・マリガンでしょう。
 彼女の魅力には、抗えないものがありました。
 笑うとキュートだし、遠くを見据える視線は思わず吸い込まれる。
 エマ・トンプソンと対峙しての迫真の演技には惹き込まれました。

 『SCREEN』誌の09年No.1作品『パブリック・エネミーズ』にも実は出演していたみたいですが、まったく気付かなかった。
 彼女は世間の敵とはまったくの正反対の位置にいますしね。
 この作品をキッカケに、世界中が彼女に味方していくことでしょう。