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●”協奏”:『オーケストラ!』
監督はラデュ・ミヘイレアニュ。
出演にアレクセイ・グシュコブ、麗しきメラニー・ロラン、他。
今年度フランス映画際で最も観たかった作品ですが、都合が合わず・・・
しかし意外と早く公開になったので嬉しいです。
今年も劇場でメラニー・ロランが観れた幸せと共に、本記事をお贈りいたします。
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ストーリーは。
モスクワはボリショイ劇場で清掃員として働くアンドレイ。
掃除の合間に度々オケのリハーサルに忍び込んでは、劇場管理人に見つかり、怒られる日々。
ある日、管理人の部屋を掃除中、送られてきたファックスを偶然見てしまったアンドレイ。
その内容は、パリの劇場からの出演依頼であった。
管理人に見つかる前にファックスをくすねたアンドレイは、ニセの管弦楽団を結成し、パリへ乗り込むという無謀な作戦を友人に相談する。
反対する友人の言葉に耳を貸さず、頑なに実行しようとするのには、彼の過去に秘密があり・・・
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「協奏=コンチェルト」には、「意思を合わせる」という意味があるらしい。
そんな観点から見たとき、ラストの『ヴァイオリン協奏曲』の演出は圧巻だ。
アンドレイは昔は有名な指揮者であったが、当時の政権のユダヤ人排斥運動で、オケは解散せざるを得なくなる。
このたび舞い降りた(?)チャンスに乗じてかつてのメンバーを集めるが、みんなの”意思”はバラバラ。
リハも行わずに本番に挑むが、うまく行くはずもない。
しかし、このオケの為に呼び寄せたソリスト:アンヌ・マリー(麗しきメラニー・ロラン!!)が奏で始めた瞬間から、空気はガラっと変わる。
それは単純に、彼女の演奏の素晴らしさもあるが、かつてメンバーが共有した”とある過去”と、アンヌ・マリーとのちょっとした関係もある。
ここから全員の”意思”が、ピタリと合い始める。
(このシーンでは、劇中アンドレイが発する”ソリストの役割”に関する台詞も巧い伏線となっていて、実に良い)
曲が進むにつれて、”現在のオケ”が、「協奏」をする。
曲が進むにつれて、”とある過去”の真相が明かされていく。
そして曲がクライマックスに差し掛かり、”過去と現在”が「協奏」を始め、「コンチェルト」が頂点に達し、怒涛のフィニッシュを迎える。
この運び方といい、過去を明かしていくシークエンスのインサート具合といい、あんまりにも巣晴らしすぎて、涙々であった。
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前半はドタバタコメディとして楽しめる。
クライマックスは、素晴らしい演奏が待っている。
そして全編に渡り、メラニー・ロランファンを発狂させる要素が満載である。
レストランのシーンとか、もちろん演奏シーンも。横顔がいいよね、横顔が。
撮り方が美しすぎる。Good job、ミヘイレアニュ監督!
・・・とにかく、メラニー・ロランに限定せずとも、今年必見の一本!
『のだめ』を観た後でもいいから、是非とも!
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曲が終わった瞬間、僕は腰を浮かしそうになったけれど・・・・うん、僕も日本人だなぁと再認識してしまった。
本国フランスでは、拍手の欧州・・・間違えた、応酬であったみたいだ。
(最高に麗しきメラニー・ロラン!のインタビューより)
実際のコンサートだと、自然と拍手が沸き起こったであろうに。
映画も、そういう見方をして、良いと思うのだけれど。
でも、誰かがし始めたら、きっと乗ってくると思うのだよね。
それくらいの素晴らしさはあった。
「拍手推奨委員会」でも結成するか。
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