2010年6月14日月曜日

ゲン@ 劇場:『NINE』

ゲンです。
ジメーッとした陽気になってきましたね・・・嫌な季節です・・・

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『NINE』
@TOHOシネマズ 西新井(3/21鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ


『シカゴ』のロブ・マーシャル監督がメガホンを取り、『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ監督が脚本を手掛け、トニー賞受賞の同名ブロードウェイ・ミュージカルをオールスター・キャストで映画化。
主人公に『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のダニエル・デイ=ルイス、彼を取り巻く女たちにマリオン・コティヤールやニコール・キッドマンらアカデミー賞受賞者がきらびやかに華を添える。

企画の話を聞いた一昨年から、ずっと公開を楽しみにしてた作品が遂に公開!
ここ数年はミュージカル外れナシ伝説なので、とても期待してました♪

ゴージャス!!! 映画は男と女と愛と歌で出来ている!!!

あーもー素晴らしかったー!
これほどまでに「ゴージャス」という言葉がハマる作品は他にないでしょうw

もうOPの数分だけで、1800円置いて帰ってきてもいいくらいに震えました!


ストーリーはというと、新作の撮影を控えたかつての巨匠、今はスランプ中の映画監督が、妻やら愛人やら女優やらスタッフやら、撮影に臨むまでに出会う様々な女性と繰り広げる妄想劇って感じですかね?

スランプ中の監督が新作のストーリーを悩み続けるのが「ストーリー」なので、映画としての脚本と考えるとちょっと苦しいお話w
ただその分、女性に対する想いをすべて妄想の中に入れ込んでしまってるってのは、潔くて個人的には好きですが。

そのおかげで、ミュージカルシーンが現実世界とは離れているので、ゴージャスでより際立って演出されてるのは素晴らしい!
それにより会話の途中から急に歌い出すっていうミュージカル特有の演出が少なく、そこが苦手な人でも入りやすい作品なのかも。

別に僕は、急に歌い出すのがダメな人じゃないですが、ミュージカルパートをガッチリ囲ってしまう戦法も、これはこれでありなのかもと納得できましたね。


ただこの作品の魅力は、やはり豪華な顔ぶれでしょう!

まず主人公の映画監督:グイドを演じるダニエル・デイ=ルイス!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の渋ーいでオスカーを獲得しておりますが、今回はその渋さに加えて中年男のありえない色気が存分に放たれ、ホントに惚れ惚れしました!
巨匠のクセに自分一人じゃ何も決められない、大勢の女に目移りしてて愛想を尽かされる、とダメダメ男なんだけどドコか憎めないキャラクタのおかげで人脈には恵まれまくってるのが羨ましいw
つーか、美女にモテまくりだわよーなんだよー! キーッ!



そして、これでもかと集めに集めた美女達!

彼の妻を演じるマリオン・コティヤール!
『エディット・ピアフ』でアカデミー主演女優賞を獲得した彼女ですが、ダラしない夫をひたむきに支える姿が、奥ゆかしくて清楚なイメージが今回の役にピッタリ!
彼の愛人を演じるペネロペ・クルス!
もーペネロペ姐さん、フェロモン出過ぎ!
ドコまでサービスしてくれるのさ、あーた!
ご立派なお身体もですが、スペインなまりの彼女の口調は、いつ聞いても気持ち良いですね♪
ホント、ご馳走様でしたーw
彼を取材する記者を演じるケイト・ハドソン!
出演シーンは少ないながら、存在感は一番あったんじゃないでしょうか?
予告編でも使われてる「Cinema Italiano」の盛り上がりは異常ですよ!
あのパートはエンドレスで観てられるわー♪


彼の映画に出演する女優を演じるニコール・キッドマン!
いつ出て来るんだろうと思ったら、出演シーンが結構後半でヤキモキしてたけど、スポットが当たった瞬間のオーラが違いますねw
もーあっという間に掻っ攫ってくよー♪

彼が幼い頃に出会った娼婦を演じるファーギー!
「Be Italian」で魅せるあのギッツギツで露骨にエロい感じは何だろ、拷問に近いよw
砂とタンバリンであんなに興奮したのは初めてだしw

ダメダメな彼を優しい眼差しで支える衣装係を演じるジュディ・デンチ!
007シリーズのM役でも感じるけど、この人の恰幅のいいシャレた母性はホントに救われますね。
ただ印象には残っても華やかな役をあんまり観てこなかったので、今回のミュージカルの鮮やかさには涙モノでした!



ストーリー的には弱め、というかありそうで無い感じなので、そこまで評価できないけど、ありえない豪華な顔ぶれとゴージャスなミュージカルパートのおかげで、早くも今年4本目の満点作品になりました!

劇場で観れたことと、男に生まれたことを感謝せざるをえない素晴らしい作品!

極上エロ満足♪

2010年6月12日土曜日

梅太@ 劇場:『告白』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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●映画に全てを否定された絶望と喜び:『告白
監督は、中島哲也。
出演に、松たか子と32人の生徒達、他。


 本作は、間違うことなきエンターテインメトである。
 「笑っていいのかわからない」
 劇場を出ようとした女性客がポロっと言った感想は、以下に記す僕の感想の何倍もこの作品をよくよく表している。

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ストーリーは。

 舞台は中学。1年生の終業式の日に幕を開ける。
 春休み突入へあと一歩と浮かれた生徒達に、先生が”告白”する。

 「わたしの娘は、このクラスの生徒に殺されたんです」

 その一言は、彼らの胸に刻まれる。
 そして先生は辞職し、学校を去る。

 春休みが明ける。
 学校が始まる。
 生徒達の、生徒の母の、告白が始まる・・・

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 「告白」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
 愛の告白?
 罪の告白?

 「告白」とはなんだろうか。
 それは、他者の視点をスッパ抜いて、自分の思いを、価値観をぶつけることだと思う。
 これを知ってほしい、あれを知ってほしい・・・・と言うように。
 愛の告白であれば、あなたをどれだけ愛しているか。
 罪の懺悔であれば、わたしがどれだけ悔いているか。

 しかし自分の価値観と言うものは、他の視点で観ると、穴だらけであったりする。
 その穴を否定するか肯定するかは、人それぞれであったりする。

 僕は映画が大好きだ。
 本ブログで、僕は鑑賞した一つ一つの作品に「告白」をしているのだと思う。
 勿論ながら僕の勝手な、主観的な作品評であるから、穴だらけであることは自覚している。
 一度感想を書き上げ、その後様々な価値観に触れ、後日落ち着いて読み返してみると、「ばかばかしい」と感じてしまうこともあったりする。
 なぜ、書いているときにその「ばかばかしさ」に気付かなかったのだろうか。

 では、ある一つの「告白」をするときに、色々な視点を考慮する必要があるのだろうか。
 または、冷静に考慮することが出来るのだろうか。

 恐らくは、否であろう。
 出来たとしても、それには限界があるし、”様々な”視点を吸収したとしても、練り上げられた答えはやはり”一つ”になってしまう。
 何よりそんなことを考え始めたら、何も言えなくなる。
 やはり何かを語ろうとするとき、捨てなければいけない価値観がある事に気付く。

 全”知”全能という言葉が、人間にとって程遠いことを思い知る。

▼▼▼▼▼▼
 
 本作の主人公:悠子は、先生である。
 先生は、自分の受け持った生徒達を導いていかねばならない。
 生徒は複数人。価値観も複数ある。
 その価値観全てを、先生は、把握しなければいけないのだろうか。
 また、その価値観全てを、受け入れ、客観的に見つめ、良いことは褒め、悪いことは罰しなければいけないのだろうか。

 先生といっても、一人の人間である。
 やはり限界はある。

 本作で題材とされる”事件”は、命の重みを生徒達に考えさせるには絶好の機会であった。
 しかしその事件で被害にあった人物が、自分の身内であったなら?
 それでも冷静に、「命の重さを考えなさい?」と言えるのだろうか。

 「あなたたちの中に、犯人がいます」

 この一言をきっかけに、様々な人の価値観、様々な人の告白が交差する。
 僕達はその、一つ一つの告白を観て、考えさせられる。

・この事件は、許せないほど悲惨である。
・しかしこの犯人にも、犯行に至るまでの過去がある。理由がある。
・でも他の人から見れば、どんな過去を持っていようが、犯罪はいけないことである、と認識する。

 はてさて、観客は、このうやむやを何処へぶつければいいのだろうか。
 いくら探しても、僕には見つけられなかった。
 ぶつけるべき対象が見つからないのだ。

 恐らくは、娘を殺された先生も、同じであったのだと思う。

 いくら自分の身内を殺されたとて、「あなたは完璧に悪人です」と、言い切れなかったのではないだろうか。
 ”先生”が持つべき”多面的な”視点、”人間”としてどうしても手放せない”一つ”の視点。
 その間で、 悠子も揺れ動いていたのではないだろうか。

 黒板にわざわざ大きく書いた「命」の文字を、黒板消しで消してしまうその姿に、僕は戦慄を覚えた。

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 作品を隅から隅まで知っている人、それは作り手である。
 いわば作品の神である。

 映画の場合は監督である。
 本作は、人の数だけ物の見方があることを把握し、様々な人の告白を並べ立てる。
 そんな多面的な視点を操りつつも、監督の出した答えは”一つ”で、やはり本作も、一人の人間の主観的な「告白」なのだと思う。

 だから、穴もある。
 この作品を観た多くの人の中に、「ばかばかしい」と感じる人もいると思う。
 だけれど、肯定否定何でもいいから、僕はこの作品を観た人に考えて欲しい。

 登場人物が「告白」したこと、その思いを。
 監督が「告白」したこと、その思いを。
 「告白」することで、何をどうしたかったのかを。

 「笑っていいかわからなかった」
 観客の一人が口にしたこの言葉。
 なるほど、と思った。

 泣くとか、笑うとか、そういう安易な感動を押し売りし、エンターテインメント面している作品が如何に多いかを改めて認識した。

 色々な意味で、今、最も観るべき映画である。

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 スタッフロールが終わる。
 劇場が明るくなる。

 今見ている全ての世界。
 積み上げてきた全ての現実。
 今関わっている全ての責任。
 そして映画感。 

 「ばかばかしい・・・・」と思った。

 全てを否定されたような気がした。
 全てを投げ出したくなった。
 全てを一度リセットしたくなった。

 全てを、「どっか~ん!」と壊された。
 別に直接的に否定されたわけではないから、正確には”そんな様な気がした”。

 立つのがやっと。

 フラフラ歩いて喫茶店に入り、アイスコーヒーを頼む。

 コーヒーの黒い色を目で見て。
 氷がぶつかる音を耳で聞き。
 冷たいグラスを手で触り。
 香りを鼻で嗅ぎ。
 苦味を舌で味わう。

 五感全てを刺激して、今僕が、”現実”の中にあることを認識した。

 が、やはりまだまだ引きずっている。
 立ち直るまで、少々時間が必要かもしれない。

 しかし壊されたのなら、構成し直せば良い。
 自分の映画感が間違っていたと思うなら、正せば良い。

 それを認識すること、そこから「更正」の第一歩が始まるのです。






・・・・・・・・・なぁんてね。

ゲン@ 劇場:『運命のボタン』

ゲンです。
W杯の中継を見ようと思ったのですが、「ブーン」って音が不快で見ていられず・・・
南アフリカ特有の応援だそうですが、他の試合でもある様なら全部見れないなぁ・・・

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『運命のボタン』
@TOHOシネマズ 錦糸町(5/13鑑賞)

ボタンを押せば大金が手に入るが、代わりに見知らぬ誰かが死ぬという究極の選択を迫られた夫婦の運命を描くスリラー。
監督は『ドニー・ダーコ』のリチャード・ケリー。
出演はキャメロン・ディアス、ジェームス・マースデン。

不条理スリラーであんまり評判良くなかったですが、『ドニー・ダーコ』の監督なのと、好きな主演二人が共演ってことで劇場まで観に行って来ました。

古典スリラー+古典SF要素で映像的にもなかなか!

ホントに評判が良くなかったのでハードルを限界まで下げていきましたが、なかなか面白かったです。

ストーリーはというと、ある日突然自宅に「押すと100万ドルが手に入るが、見知らぬ誰かが死ぬ」という謎のボタンが届けられた夫婦が、段々と追いつめられていく様子を描いているのですが、スリラーとSFを融合して描く破滅的な閉塞感がタマらなかったです。

決して軽い気持ちで押したワケじゃないけど、その結果が段々と重く圧し掛かっていく様子は、米国中流家庭の悪循環ドラマのようなイヤーな空気が漂ってて、個人的には好きな展開。
最終的に迫られる「究極の決断」も、道徳的な流れで納得。


キャストですが、キャメロン・ディアス『私の中のあなた』に続いて今回も母親役。
『メリーに首ったけ』とか『チャーリーズ・エンジェル』とかキャピキャピしてた頃からファンですが、一時期は低迷してたので、また最近盛り返してきたので嬉しいですね。
元々表現力は素晴らしい女優だったけど、それが存分に活かせる役がこれからも続くといいなぁー

その夫を演じるジェームス・マースデンは、『X-MEN』のサイクロプスや『ヘアスプレー』のコーニー・コリンズ、『魔法にかけられて』のエドワード王子など、妙に印象に残る役が多い彼ですが、今回は作品が作品なだけに素敵な笑顔があまり観れなかったのはちょっと残念だったかも・・・
ですが、父親役という新しいジャンルを観れたのは良かったです。


『ドニー・ダーコ』の監督なので、映像的にも独特な雰囲気があって面白かったです。
古典スリラー特有の冷たく物静かな映像は、どこか恐怖感と不安感を煽られてドキドキしました。


大人版『ドニー・ダーコ』と言ってしまってもいいくらい、不思議な魅力を持った作品でした。

が、『運命のボタン』という邦題はちょっと的外れ・・・

原題の『THE BOX』の方が、色んな意味を含められて的確だと感じました。

2010年6月11日金曜日

梅太@ 雑記:走る

この記事は 公開初日にアイアンマン2が見れなかった 梅太 の名の下にお送りいたします

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 幸いにも、僕はこれまでの人生で、コンスタントに”子供”と付き合っている。
 最近は行ってないけれど、卒園した保育園の夏のイベントに参加させてもらったり。
 実家に帰れば、13、18歳離れたチビっ子たちがいる。

 彼らと付き合っていると、気付くことがある。

 彼らは無意味に、走る。
 とにかく走る。そしてハシャぐ。
 僕達大人みたいに、「体力の温存」というものは一切考えない。
 ただひたすらに暴れ、力尽きる。グッスリ寝る。
 お父さんに背負われ、家路に着く。

 静かになったと思いきや、次の日はまたテンションMAX。
 この回復力は欲しい、と、最近思う。

 確か斉藤孝氏の本であったと記憶しているが、次への意欲は”完全燃焼”あってこそのようだ。
 無尽蔵かと思われる体力は、日々走り、無意味に走り、完全燃焼してこそ・・・
 理論的でなく、体でそのことを知っているのかもしれない。

 さて、自分の小さい頃を思い返してみると、やはり走っていた。
 これでもか!とエネルギーを使う。
 なんで?と考えてみるが、答えはみつからなそうだ。

 なんだか凄く高揚していて。
 内包しているエネルギーをとにかく爆発させたくて。
 無性に、走らなくても良い局面なのに、走っていた。

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 宮崎駿は、常に、「”今の”子供の為に」映画を作っているようだ。
 ようだ、というか、ヨーダ、というかそうなんだと思う。
 僕は、ポニョを観たときに、そのことを認識した。
 話が長くなるから、それはまた別の機会にする。

 ジブリの作品は、大抵子供が主人公である。
 そしてその主人公達は、気持ちいいくらいに良く走る。

 恐らく宮崎駿は、「子供の為」の映画を作るために、「子供」というものをよく観察しているのだと思う。

 面白いところは、”今の”子供ということを念頭に見てみると、トトロだろうがポニョだろうが、いつの時代の子供も走っていることだ。

 時代は移ろっていくけれど、子供の内に潜むエネルギー、そしてそれを発散しようとする衝動は、変わらないみたいだ。

▼▼▼▼▼▼

 さて、何故こんな話をしたかというと、理由はこれから3行ほどに及ぶ。

 仕事を終えて帰路に着き、TSUTAYAに寄り、『かいじゅうたちのいるところ』のBlu-rayを買ったのだけれど、店を出た時「これから見ると日を越すなぁ」・・・と思い立ち、予告編だけ改めて見返してみたら、これがとんでもなく素晴らしい予告編と言うことに気付いたからである。



 予告編では、主人公:マックス君を始めとして、かいじゅうたちが兎に角走り回る。

 この、無駄に走り回る姿を見ていると、なんだかそれだけで涙が出てしまうのだ。
 「子供」というものを良く表現した美事さ、というのもあるし、作品をよくよく理解し、”そういう風”に予告編を構成したスタッフの腕前に感銘した、というのもある。
 あとやはり使用曲、Arcade Fireの『Funeral』も素晴らしい。
 (特に1:27あたり、走る後姿をポンポンポンと繋いでいく編集は圧巻)

 ただやはり一番の理由は、この無意味なエネルギーの爆発が、僕の眼に、何故だか異様に煌いて映ってしまったからだ。

 今はもう、無駄に走る、ということをしなくなったなぁ。

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 はてさて、以上のような観点からすると、子供はとても素敵な存在と思えてくるが、彼らは時に、”かいじゅう”と化す。

 こちらが気にしていること、言葉にはしたくないことを、ズケズケとハッキリ言ってくる。
 彼らは抑えるということを知らない。
 なぜなら子供は、エネルギーを爆発させる存在であるから。

 しかし彼らは、それがもたらす破壊力を知らない。
 自分ではイイコトを言っているかと思いきや、知らぬうちに他人を傷つけてしまう場合もある。
 いつの間にか恨みを買ってしまう場合だってあるかもしれない。
 子供の、いや、”かいじゅう”の破壊力と言うのは凄まじいものだ。
 それが意識してやっていることでないから、なおさら始末が悪い。

 このことを素晴らしく描いているのが平成ガメラ3部作の終章:『イリス覚醒』であるが、これもまた別の機会にしよう。

 では僕達大人は、いつ、”抑える”ということを覚えたのだろう。
 「これが相手を傷つける」と、いつ、自覚したのだろう。

 その、”いつ”、”どうやって”は、恐らくは一瞬のものであったと思う。
 自分で「認識した!」と思えないほど、一瞬のものであったと思う。

 その一瞬を、ゆっくり、そして優しく教えてくれるのが、『かいじゅうたちのいるところ』である。

 ”いつ”は、人によって違うと思う。
 ”どうやって”もそうだけれど、僕がこの作品を観て出した一つの答えとしては、「相手の立場になる」と言うことだと思う。

 「これを言われて、これをされて、相手はどう思うのだろう」

 自分を相手に置き換える。 
 それを意識し始めたとき、それこそ、大人へのスタートなのだと、この映画は教えてくれたように感じる。

 勿論、意識し始めたからと言って、全てうまくいくわけではない。

 大好きだから、ケンカしたりもする。
 近くに居るのに、見えなくなったりもする。
 相手のことをよく知っているはずなのに、時々わからなくなったりもする。

 さて、そういう時どうしたらいいだろう。
 と、考え始める。

 そうやって少しずつ、”相手”を意識して、僕達は大人になっていくのだと思う。


 坂本真綾:『走る』
 やはり菅野時代のマアヤはいいなぁ。


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 予告編の約2分間を、思いっきり引き伸ばしてみた。
 ということは本編100分を見たとき、僕はどうなってしまうのだろう。

 『かいじゅうたちのいるところ』感想↓
 ゲンさんのはコチラ
 梅太のはコチラ
 

2010年6月10日木曜日

ゲン@ 劇場:『フィリップ、きみを愛してる!』

ゲンです。
いよいよ『アイアンマン2』の公開ですが、仕事で観に行けず・・・
でも、来週の水曜に川崎IMAXまで行って来ます!

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『フィリップ、きみを愛してる!』
@新宿ピカデリー(3/15鑑賞)

刑務所内で出会った運命の相手に「愛してる」と伝えるため、詐欺と脱獄を繰り返した男の実話を基にしたドラマチックなラブストーリー。
出演はジム・キャリー、ユアン・マクレガー。

実話を元にしたゲイ映画ですが、主演のジムとユアンが恋人を演じるって事でかなり楽しみにしておりました!

それでも恋するゲイ詐欺師!

あー濃ゆい濃ゆいw
よく考えると素直に笑っていいのか分からないストーリーなんだけどw


ストーリーはというと・・・
ゲイであることを隠し続けてきたスティーブン(ジム・キャリー)がある事件をきっかけにカミングアウト!
ゲイとしてゴージャスに生活する為に詐欺師になるが、合えなく御用!
収容先の刑務所で出会ったフィリップ(ユアン・マクレガー)に一目惚れ!
彼と甘い生活のためなら、脱獄でも詐欺でもやってやる!
ありとあらゆる嘘で塗り固め、ついに二人はゴージャスな生活をはじめるが・・・


とにかく主演二人のキャスティング勝ちですね!
主人公:スティーブンを演じるジム・キャリー!
一目惚れしたフィリップのため、学歴や保険金など様々な詐欺を働くのですが、マシンガントークではったりをかます様子はジムにピッタリ!
相変わらず顔が良く動いてましたw

そんな彼がゾッコンなフィリップを演じるユアン・マクレガー!
もうユアンがゲイを演じるって聞いたときから、似合いすぎると思ってましたが完璧でしたw
あの透き通った一途な眼差しは、ゲイ以外の何者でもないよ!
ジム・キャリーもカメレオン俳優ですが、勿論ユアンの演技力も確かなものがありますから、文字通り、身体を張った演技合戦はかなりの見物でした!


映像としては所謂、BL的な腐女子さんが興奮するような美しい描かれ方はされておらず、笑える程度にナマナマしい感じw
(別にBLよく知らないので分からないけども・・・)

かと言って、ゲイをバカにしてるようなワケでもなく、むしろヒューマンドラマに近いような展開なので、脚本的にもなかなか面白い作品であると思いました。

まぁ、僕は一人で観て安心しましたけどもw

2010年6月9日水曜日

ゲン@ 劇場:『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』

ゲンです。
今日は劇場で2本連続鑑賞しましたが、どちらも精神的に辛い作品で、余計に疲れが・・・
でも両作とも面白かったので、満足は出来ました♪
その作品のレポも追々で・・・

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『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』
@MOVIX亀有(5/21鑑賞)

縦横10メートル以上もある紙の上で、音楽に合わせ書をしたためるパフォーマンスがテレビ番組で放送され、大反響を呼んだイベント「書道パフォーマンス甲子園」を映画化した青春ドラマ。
紙の生産高日本一を誇りながら不況で停滞した町の活気を取り戻そうと、「書道パフォーマンス甲子園」を開催すべく奮闘する女子高生たちの姿を描く。
主演は成海璃子。

『武士道シックスティーン』に続いて『○○道』で主演の成海璃子。
『武士道~』がちょっと弱かっただけに期待してました。

あー・・・いい話だけど、やっぱりあざとい・・・

「青春×部活」モノって結構ツボのような気がしてたんだけど、どうしても狙っていい話にしようとし過ぎて、あざとさが目立っちゃうんだよなぁ・・・
変にコミカルにして笑かそうっていう空気も好きじゃないし・・・

狙ってるにも拘らず、見せ場の書道シーンは前半はかなり地味目。
どんなに動き回ろうと半紙と筆だから、ビジュアル的には弱い。
こんなんで大会シーンはどうなるのかと思ってましたが、クライマックスではやっぱり見せ場にあるもんですね。
急にカラフルな墨汁をつかって色鮮やかな作品を書かれると、ダイナミックさが増し、若さも相まって非常に力強い空気をスクリーンから感じられました。

が、肝心な場所で寒気がするような演出。
今どき、あんな演出つけようて思うセンスが信じられない・・・
アレは流石にないだろう・・・一瞬で冷めた・・・


キャストですが、主演の成海璃子はやっぱり今が旬な女優ですね。
剣道に続いて書道ですが、「和」なオーラを持ってるので、どう転んでもハマり役になると思ってましたが、今回も良かったです。
ただ、実力的にはまだまだこんなもんじゃないだろうから、これからの活躍にさらに期待したいです。
二十歳超える前に、青春モノにトコトン出まくって欲しいw

あと高畑充希って娘の赤メガネ&髪止めが激ツボだった。
同じく、今後の活躍に期待しときます。


余計な演出はいらないから、極力地味に撮ってもらいたかった作品。

前半は抑えに抑えて、クライマックスの大会シーンで派手になったら、感動して泣いちゃったかも。

それくらいの要素はもってるだけに、あざとく狙ってくるのは残念でした。

2010年6月8日火曜日

ゲン@ 劇場:『シャーロック・ホームズ』

ゲンです。
明日・明後日とお休みですが、また映画館に入りびたりますw

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『シャーロック・ホームズ』
@TOHOシネマズ 錦糸町(3/14鑑賞)


世界一有名な探偵:シャーロック・ホームズがついにハリウッドで映画化。
監督は『ファイトクラブ』のガイ・リッチー。
出演は『アイアンマン』のロバート・ダウニーJr.、『A.I.』のジュード・ロウってことで期待しておりました。

スタイリッシュな映像としっかりとした世界観!

いやいや、期待通りの面白さでした。
相変わらず原作をよく知らない人間なので、どの程度ピッタリだとかは分かりませんが、いい意味で探偵っぽくない感じが魅力的でした。

ホームズってあんなにコミカルな人間だったですね。
ワトソンはあくまで「助手」ってイメージでしたが、もう「相棒」とか通り越してそれ以上になくてはならない存在。
一応、原作者側の意向として、ホームズとワトソンの関係が「探偵と助手」以上の描かれ方をした場合(早い話、ゲイっぽい場合)、即刻製作を中止するとキツく命令をされてたようですが、アレはギリギリセーフなのかな?w


映画的な話をすると、探偵を主人公にしてるクセにかなりのアクション映画風な感じ。
監督がガイ・リッチーなだけあってか、早いカット割りとスローを多用した編集でスピード感と緊張感を同時に描き、さらに爆破で迫力もプラスされてて、エンタメ性としては100点に近いと思う。
クラシカルで暗めの世界観のおかげで、変に行き過ぎた演出にならず、どんなに派手になってもどこか落ち着いた雰囲気を残す映像は素晴らしいです。

それでいて推理パートは推理パートで、順を追ってキチンと描いているので、アクションで盛り上がりすぎてちょっと離れてしまったストーリーにも、良いタイミングで冷静に引き戻される。

アクションシーンがスタイリッシュな上に、推理パートも見事。
この完璧な緩急を味わえる作品はなかなかないだろうと思います。


キャストですが、何と言っても主人公:ホームズを演じるロバート・ダウニーJr.!
彼の存在ってのはハリウッド映画で唯一無二だと思いますね。
基本的にオジさんなんだけど、ダンディでコミカルな2.5枚目。
肉的的な強さと知性を兼ね備えた素晴らしい演技でした!

そのホームズの相棒:ワトソンを演じるジュード・ロウ!
ホームズに振り回されながらも、決して彼を裏切らない優秀な彼氏w
謎の女性:アイリーンを演じるレイチェル・マクアダムスの大きな瞳も魅力的でした♪


製作当初からシリーズ化を前提として作られてきただけあって、そのしっかりとしたクラシカルな世界観とアクション性と謎解きを兼ね備えたスタイリッシュな映像は、ほぼ完璧!

早く続編の製作が待ち望まれる作品でした!

2010年6月7日月曜日

ゲン@ 劇場:『武士道シックスティーン』

ゲンです。
青春モノが楽しめるようになるのは、三十路超えてからだ!と知人から言われましたw

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『武士道シックスティーン』
@テアトル新宿(5/8鑑賞)

照的な二人の女子高生が、剣道を通して成長していく姿を描く。
かたや剣道一筋、かたや剣道をエンジョイする女子高生をそれぞれ演じるのは、『罪とか罰とか』の成海璃子と『ハルフウェイ』の北乃きい。

主演の二人がそれぞれ好きなので、共演ってことでそこそこ楽しみに劇場に観に行って来ました。

キラキラして爽やかだけど、もう一押し欲しかった!

シンプルなスポーツ青春モノらしくて良い作品ではあったけど、いまいちパンチに欠けてたのが残念だなぁ・・・

ストーリーはというと・・・
幼いころより剣道に打ち込み、ある無名選手に負けたことを根にもっている香織(成海璃子)は、入学した高校で再会したライバル・早苗(北乃きい)に再会するも、彼女はとても練習熱心とは言えない選手だった。
最初は香織の気迫に押され気味の早苗だったが、次第に真剣勝負の醍醐味にハマっていく・・・というお話。


見所は主演二人のギャップ。
武士道一直線の成海璃子に対し、楽しむことに一生懸命な北乃きい。
お互いのキャラクタが上手く表現されていて、絡んだ時に発せられる空気が可笑しくって思わず笑ってしまうのと同時に、爽やかにスポーツしちゃってる二人がとても輝いてました。

成海璃子はストイックさの中に、どこかヌケっぽいトコがあるのが良いですね。
キリッとした眉もカッコイイし。
いや、『罪とか罰とか』のヌケきってる感じも好きだけど!
腕と足のたくましさも、今回は役に活かされてて良かったんじゃないかとw

で、それに対する北乃きいの爽やかさたるや、そりゃもーお腹いっぱい♪
『ラブファイト』で彼女にハマったけど、がむしゃらに頑張ってる姿が似合いますなー♪
変な意味じゃなく、出来る限り彼女には制服を着ててもらいたいです。
変な意味じゃなく。


そんな感じでキャスト的には文句無いんですが、脚本的にはちょっと残念。
前半はコミカルに、後半でスポーツモノとしての展開を出してくるんですが、クライマックス前で話を深くするために脚本を落としこむんだけど、前フリが全然効いてなくて浅い所でしか話が進んでないのがガッカリ・・・

前半でキャラ設定にこだわり過ぎて、二人の関係を単なるキャラだけで面白おかしく説明しちゃってるんで、後半にどんなにいい話をしようとしても、感情移入が全く出来ない。

多分、あの二人だったら余計な演出とかしないでも、地のキャラで関係を表現できるはずだから、変にコミカルなトコまで持ってかないでもいいのになぁ・・・


キャストも素晴らしいし、題材も面白いだけに、変にドラマを付けようとして脚本で失敗してるのが勿体無い。

この二人の共演は、また違った形で観てみたいですね。

2010年6月6日日曜日

ゲン@ 劇場:『プリンセスと魔法のキス』

ゲンです。
やっぱりディズニーの手描きアニメは最高ですね!

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『プリンセスと魔法のキス』
@丸の内ピカデリー(3/8鑑賞)

アメリカ・ニューオーリンズを舞台に、ひたむきに夢を追う女性とカエルの姿に変えられた王子とのラブ・ストーリーを描くロマンチックなミュージカル・アニメ。

久々の本格ディズニー・プリンセス!ってのに加えて、6年ぶりの手描きアニメ!ってことで、すんごく期待しておりました!

これぞ王道ディズニー・プリンセス! 本家本元の実力復活!

いやーホントに良かった! スゲー楽しかった!
ディズニーの2Dアニメで心の底から楽しい!って思ったのって何年振りだろう?

最近ではピクサーに押され、3DCGアニメの波にも飲まれ、実写作品の『パイレーツ~』『魔法にかけられて』では評価を残してきましたが、完全に衰退していたディズニーの2Dアニメ。
一時は完全撤退してしまいましたが、この作品でいよいよその力を取り戻しましたね!

今回はファンタジックなディズニー・プリンセスでいて、かなりのミュージカル作品。
舞台になってるのがアメリカのニューオリンズってことで、ジャズを基調としたノリの良い黒人音楽がベースになってて、聞いていてとっても気持ちが良かったです。
ちなみに音楽を手がけたのは『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』でも作曲のアカデミー賞常連のランディ・ニューマン、流石です♪


そしてそれ以上に圧倒されるのが、やはり手描きディズニーの底力!
ニューオリンズが港町ってこともあり、水や船、夕日と言ったモノまでロケーションも完璧で美しかったです。

人間の表情や動き、背景の美しさ、光と魔法の表現力・・・
CGでは決して描けない、温かさと緻密さが感じられます!

その中でも今回注目したいのは、「影」の表現力!
ディズニーではおなじみの「悪い魔法使い」が今作でも登場するのですが、そのキャラクタが操る「影」がホントに凄い!
映像的にも演出的にも、もうマジでヤバ過ぎ!
あまりに素晴らしくて、ちょっと寒気がしました!


また映像だけでなく、脚本的にもかなり優れていると思いました。
製作総指揮にピクサーを立ち上げ『トイ・ストーリー』を作り上げた大天才:ジョン・ラセターを迎えていますが、彼の素晴らしいのはストーリーの落とし込み。
去年公開されたディズニーのCGアニメ『ボルト』でも製作総指揮を務め、その手腕を発揮していましたが、今回もまた大活躍。
「夢と魔法」で終わってしまいがちなファンタジーに、少し寂しくなるような現実的なエッセンスを加えることで、ストーリーが一気に深みを増してより素晴らしい作品になっています!

元々はディズニーのアニメーターで、ディズニーから除け者にされて会社を飛び出したラセターですが、今ではディズニーの手がける2D・3Dアニメ全ての企画に携わり、なくてはならない存在になりました。
彼が製作賞指揮を執り続ける限り、ディズニーのアニメは安泰でしょう♪
夏の『トイ・ストーリー3』にも激しく期待しております!


CG?・・・3D?・・・笑わせるな!

21世紀も「手描きディズニー」は健在じゃい!!!!


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やっぱり手描きディズニーは最強だよ・・・うんうん・・・
『魔法にかけられて』の冒頭で、ディズニーの手描きアニメを十数年ぶりに観たけど、あの数分でちょっと泣きそうだったもの・・・
今回の本格的に描き込まれた作品は、本当に嬉しいです♪

2010年6月5日土曜日

ゲン@ 劇場:『月に囚われた男』

ゲンです。

昨年の「勝手に映画コラボCOCKTAIL」フェアでもお世話になりました、
お友達のみぃさんがやっている「東京カフェブログ」で、ウチのブログを紹介して頂きました!

自分もお店に行く時に参考にさせてもらっておりますので、
良かったらのぞいて見て下さい♪
(掲載記事)

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『月に囚われた男』
@恵比寿ガーデンシネマ(5/14鑑賞)


地球に必要不可欠なエネルギー源を採掘するため月の基地に滞在中の男が奇妙な出来事の数々に遭遇するSFスリラー。
デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズが初監督に挑み、男の悲しく恐ろしい運命を描く。
主演は『フロスト×ニクソン』のサム・ロックウェル。

予告編が気になっていた所、低予算ながらかなりの高評価だったので、劇場まで観に行って来ました。

秀逸なSFスリラー! サム・ロックウェルの演技の幅に圧倒される!

半分はサム・ロックウェル目当てで観に行ったようなものだったので、正直ここまで面白い作品だとは予想外でした。

ストーリーはというと・・・
月の裏側で新たなエネルギー資源の採掘する任務を就く男:サム(サム・ロックウェル)は、3年の勤務期間の終わりを2週間後に控え、たった一人で働き続けていた。
そんなある日、故障した採掘機の中で「ありえないモノ」を発見する。
それは自分と全く同じ姿形をした男だった・・・

イキナリですが、以下ネタバレでレポを書きます。

知りたくない人はスルーをお願いします。

~~~~~~以下、ネタバレ~~~~~~

予告編を観た段階で大体の展開は予想できてましたが、まさにその通りでした。
たった一人で月で働くを男を派遣した会社は、そんな辺鄙な場所に何度も人員を送るのは勿体無いと、最初からその男のクローンを大量に作って月に保管しておき、3年の任期毎に「地球に帰す」と偽って男を消去。
新たにクローンを目覚めさせ、偽りの記憶を書き込んで3年の任務に就かせる・・・というオチ。

で、この大まかな流れは初めから予想できていたのですが、それ以上に惹かれたのがクローンの人間性。
本人に自分がクローンであると感づかれてはいけないので、同時に2体以上の男が月に存在してはいけないはずが、ある手違いで二人が顔を会わせてしまう。
当然初めは戸惑いますが、徐々に任務に疑問を感じ始め、自分達がクローンであることを察します。
しかし、同じ姿形をしているのにも関わらず、素直だったり荒っぽかったり性格が全く違うのに、元は同じ人間だからなのか最終的には上手くまとまります。

クローンを扱った作品は今までいくつか観てきましたが、どれもがオリジナルに対する苦悩を描いた作品が多い中で、単純にその方向だけではな部分で脚本の落としこみをしてくる辺りに独創性を感じて、後半はかなり面白い展開でした。

また、主人公のサムを演じるサム・ロックウェルは、常に一人だけで画面に登場し、後半からは何役もこなしているのですが、キチンと人物によって全く違う性格を演じ分け、その演技の幅に圧倒されました。
サム・ロックウェルって「ノリの良い兄ちゃん」っていうイメージが強かったので、ここまで幅のある演技が出来るものかと驚かれてました。


低予算で取られたにも拘らず、秀逸な脚本と俳優の素晴らしい演技力によって覚醒した良作のSFスリラー♪

劇場で観て、損はなかったです!

2010年6月4日金曜日

ゲン@ 劇場:『ハート・ロッカー』

ゲンです。
ムシムシしますね。

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『ハート・ロッカー』
@TOHOシネマズ みゆき座(3/8鑑賞)


イラクに駐留するアメリカ軍の中でも、最大の危険を伴う爆発物処理班の兵士を描き、2009年の賞レースを席巻した戦争アクション。
命知らずの兵士と仲間との確執と友情を軸に、緊張感あふれる爆発物処理の現場をリアルに映し出す。

昨年度アカデミー賞で多くの賞にノミネートされ、見事作品賞を獲得した作品ですが、念のため強調しておくと「発表当日の朝」に観に行きました!
お昼に観終わり、劇場出てしばらくしたら賞獲得のニュースが入ってきたので、ギリギリ間に合いました!
まぁ、前評判はなかなか良かったので期待はしてましたけど、タイミング良過ぎw

圧倒的な迫力とリアルな緊張感! ハラハラして胃が痛くなる!

まぁードッキドキでしたわー
戦争映画って言うと戦争自体の正当性だとか、非情さとかを訴えかける作品が多いですが、こういった切り口で描いた作品は初めてだったので非情に興味深くもありました。

ストーリーはというと、イラク駐在米軍に派遣された「爆弾処理班」のある軍曹の任務明けまでの38日間を追った作品ですが、まるでドキュメンタリーでも観ているかのような構成で、入口としては映画を観ている感覚では無かったように感じました。

真夏の中東、灼熱と砂の地獄のような環境で、ほんの少しのミスが「死」へと直結する任務。
テロの爆弾処理という仕事は、ミサイルでも打ち込んで無理やり爆破してるものだと思っていました。
実際そういった場面もあるようですが、周囲への被害も考えて、ほとんどの場合は兵士が自らの手で解体を行っているそうですね。

そんな過酷な任務にも拘らず、果敢に爆弾へと近づいて解体していく男達。
何なんだろか・・・あの迫力は・・・


それとは別に感じたのは、戦場の兵士の心理描写が生々しいなぁと。
最近でもよく誤爆のニュースが報道されますが、長く戦場にいる兵士の心理状態というのは、かなり滅入っていると聞きます。
まぁ、毎日リアルに生死の瀬戸際を感じているのですから、当然と言えば当然ですが、誤爆の報道ばかりが先走り、兵士の心理状態まではあまり注目されません。

街中の市民が全員敵に見えてくる・・・
ビデオカメラですら、ロケット砲に見えてくる・・・

そんな状況の中で行われる「爆弾の解体」というセンシティブの極みの様な作業。
何なんだろか・・・あの緊張感は・・・


さらに驚くのは、これだけガッツリした作品を女性監督が撮ったということですね。
勿論、戦争映画ですから血が出るシーンはありますが、印象としてはかなり控え目で、それ以上に映像的にも面白いカットが幾つかあって、リアルさを感じる作品でありながら、映画的な演出効果も面白いという、なかなか美味しい作品だと思いました。

2010年6月3日木曜日

ゲン@ 劇場:『タイタンの戦い(3D字幕版)』

ゲンです。
今週末からまた期待作の公開ラッシュ!
上半期最後の追い込みですねw

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『タイタンの戦い(3D字幕版)』
@TOHOシネマズ 六本木(5/14鑑賞)


ギリシャ神話をベースに、神々の王ゼウスの息子として生まれながらも人間として育った青年ペルセウスが活躍するアクション・アドベンチャー超大作。
監督は『トランスポーター』のルイ・レテリエ、主演は『アバター』のサム・ワーシントン。

『トラポ』のルイ・レテリエが久々にガッツリしたアクションをやってくれるので、結構期待して観に行って来ました。

『トラポ』1作目以来の傑作アクション!

いやー、やっとこれで「ルイ・レテリエ復活!」って言えるわw
『インクレディブル・ハルク』はそこそこだったからなぁー

一応81年に公開された同タイトルのリメイク作品ですが、大元の元ネタは「特撮の父」と呼ばれるレイ・ハリーハウゼンの作品。
ストップモーションと実写の合成を多用した特撮映画のですが、今回は3D上映されているにも関わらず、実は撮影は通常のカメラで行われました。
で、それを編集の段階で立体的にする「アフターコンバート」と呼ばれる手法だったので、3Dで観ることを懸念していたので通常上映で観る予定だったのですが、スケジュールの関係で泣く泣く3Dで観ることに・・・
どんだけなんだろうかと不安でしたが、思ったよりも普通に立体的でした。

ほとんどのアクションシーンでCGを多用していて、実写のみのシーンがあんまり無いので、そこまで問題無かったのかもw
まぁ、無理やりぼやかしてるのが目立つ場面もいくつかありましたが、言われなければ気づかない程度だと思うので、気にならないかもです。


そんなことより、やはりルイ・レテリエはアクションの才能が素晴らしい監督だと改めて確認できました。
激しいカット割りと早いカメラワークで、今回もやたらと挑戦的な編集。
そしてカットを早くした分、犠牲になってしまいがちな迫力を、主演のサム・ワーシントンの力強い肉体で補強w
まさに理想的なタッグです!w


3Dでアクションなので目は疲れましたが、劇場で観れて良かったと思えた作品。

サム・ワーシントン以上に、ルイ・レテリエには今後も頑張って頂きたいです!


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ホントに3Dが不安だったけど、そこまで違和感は感じませんでした。
モチロン、普通の3DやIMAX3Dと比べたら遥かに見劣りしますけど・・・

でも、まだまだアフターコンバートは不安だなぁ・・・
『バイオハザード4』も当初は通常上映の予定だったけど、3Dブームに乗るべく、同じくアフターコンバートで3D上映が決定されました。

確か予算ギリギリのはずなので、下手すりゃ大赤字になるんだろうが・・・

色々不安なんだが、1作目以来のポール・W・S・アンダーソンが監督に復帰するので、普通に観れれば楽しめるんだろうけど、やっぱり心配だなぁー

梅太@ 予告編:『Scott Pilgrim vs the World』 その2

この記事は 世界と戦う男 梅太 の名の下にお送りいたします

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 以前コチラで特報をご紹介した『Scott Pilgrim vs the World』の、正式な予告編が解禁になったのでご紹介します。

↓ ↓↓予告編↓↓↓



 もうこの時点で、大爆笑必須の予感・・・


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 なんというか、マイケル・セラに萌える。
 一途な青春ボーイを演じさせたらこの人の右に出るものは、今はまず、いない。
 そして平然とこんなバカをやって、嫌味にならないところも不思議だ。

 マイケル・セラは、本作でメアリー・エリザベス・ウィンステット、『キミに逢えたら』でカット・デニングスなど、僕の好きな女優さんとことごとく共演しているけれど、セラなら許す。

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 本作は、「ゾンビ退治にQueenを!」(ショーン・オブ・ザ・デッド)や、「ジジババ相手にショットガン!」(ホット・ファズ)という、この世の常識を笑いと共に覆してきたエドガー・ライト監督の最新作です。

 『ショーン・オブ・ザ・デッド』では、往年のゾンビ映画。
 『ホット・ファズ』では、往年のハリウッド大作アクション映画にオマージュを捧げ、その映画オタクぶりを見せ付けたライト監督ですが、彼のオタクの触手は、映画だけには止まっていなかった!

 本作では、予告編中の「It's on like a donkey kong」 からも分かるように、ビット時代のゲーム、『マリオ』や『ドンキーコング』にオマージュを捧げ、かつ『ストリート・ファイター』(初期)のような格ゲーの要素を取り入れていますね。
 またゲームに止まらず、効果音が文字になって画面に出てくるところや画面構成なんかは、まんまコミックですね。

 この人はどれだけオタクなんだろう。
 そしてこの人はどれだけオタク心を擽るのがウマいのだろう。

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 ストーリーは、以前にも紹介しましたが、主人公:スコット(マイケル・セラ)がパーティー会場で一目惚れした女の子(メアリー・エリザベス・ウィンステット)に声をかけるが、彼女をゲットするには、彼女の元カレ7人をコテンパンにやっつけないといけないのであった・・・というもの。
 
「ねぇ、キミ!」

しかし相手にされず・・・
彼女は一体誰なんだ?
友人に聞いてみると・・・
 
「あの子はね、amazonの配達員をやってるのよ」

「注文しちゃうぜ」

「ひたすら待つぜ」(この背中に萌える)

来た!「あのさ、今晩空いてる?」
「俺の演奏でイイトコ魅せるぜ」
しかし・・・
「ちょっと待てぃ!」
そう、元カレ登場。
「彼女が欲しいなら、俺達(+ワタシ)を倒してからにしな!」

・・・・・というのが大まかな筋。



↓の様な、”TVゲーム要素”満載で、笑いを誘います。

COMBO!!

Getting a life ! 「1-upだぜ!」











 あぁぁ、観たい。これは観たいぞ!
 という本作は、本国イギリスで2010年8月公開。
 う~ん、また署名運動かな?


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 僕も、ウィンステットの為なら世界と戦うけどね。
 ちなみにウィンステットの主演作『メイク・イット・ハプン』は、明日6/4にDVDが発売する。
 未公開、DVDスルーです。

 そういえば↓この描写、ウォシャウスキーの特権だと思ってたんだが・・・

↓2008年の超”評価されない意味がまったくわからない”大傑作『スピードレーサー』のラスト。

2010年6月2日水曜日

ゲン@ 劇場:『しあわせの隠れ場所』

ゲンです。
連日更新してますが、まだまだ貯めてたレポがいっぱいあるので、しばらくお付き合い下さい。

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『しあわせの隠れ場所』
@渋谷東急(3/2鑑賞)

ホームレス同然の生活からアメリカン・フットボールのプロ選手になった少年の実話を映画化した感動的な人間ドラマ。
裕福な家族と黒人少年との、偶然の出会いと深いきずなを丁寧につづる。

実話を元にした作品ですが、主演のサンドラ・ブロックがアカデミー賞にノミネートされたというので注目しておりました。

「感動の実話」に偽りなし! 家族の強さを教えてくれるドラマ!

評判通り、非常に素晴らしい作品でした。
実話を元にしたスポーツモノっていうと、これを観る前に観たクリント・イーストウッド監督の『インビクタス』が思い浮かびますが、コチラの作品のほうが人物描写が遥かに丁寧で、完成度が高い作品のように思いました。

ストーリーはというと、スラムで育った少年:マイケルが、裕福な家庭:テューイ家に迎え入れられ、その才能を開花させてアメフトのプロ選手になるまでを描いた作品ですが、あらすじだけ追うとちょっと嫌味にも感じてしまうかも。

実際自分も、そんなの金持ちの偽善じゃん!と、観る前は若干引き気味だったのですが、実際に観てみたらそんなことは全く感じませんでした。

確かに「お金の余裕は心の余裕」ってのはあるかも知れないけど、この少年を受け入れた家族はホントに人間が出来ている。
スラムで育ち、金も学もない彼を差別せずに受け入れますが、金持ちセレブ仲間からも偏見の目で見られます。
しかしそんな事には気にも留めず、彼が立派な人間になるように心から愛し、遂には本当の家族とするべく養子として迎え入れます。

それもこれも、このマイケルが迎えてくれた家族に負けないくらいに素晴らしい人物だからだと。
貧しい家庭で生まれ、幼い頃からよその家庭を転々としていた彼ですが、とても優しい心を持ち、誰にも迷惑はかけたくないと思い続けています。
その結果、預かってくれた家庭を自ら飛び出してしまうのですが、偶然出会ったテューイ家で初めて本当の家族の温かさを知る。
彼を家族に迎えることを決めたテューイ家の母親:リー・アンが、「私が彼を変えてるんじゃない。彼が私を変えているの」と語るように、お互いがお互いを必要とした奇跡のめぐり合わせだったのではないかと感じました。


キャストですが、何と言っても主演のサンドラ・ブロック!
アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされておりますが、その前哨戦でもあるゴールデングローブ賞ではドラマ部門女優賞を早くも獲得しております。
とても気が強いイメージがありますが、今回の役はそれに加えて家族としての温かさ、特に母親としての子どもを見つめる愛情の深さが見事に表現されていたと思います。

またその家族に迎えられる少年:マイケルを演じたクイントン・アーロンも、大きな体格の中に繊細な心を持った優しい少年を熱演しておりました。


歯の浮きがちな感動実話ドラマですが、丁寧な人物描写とユニークなセリフのおかげで、非常に心に残る作品になっています!

多くの人に観てもらいたい作品です!

2010年6月1日火曜日

ゲン@ 劇場:『パリより愛をこめて』

ゲンです。
今日から6月、そろそろ上半期のまとめを始めないといけませんね・・・

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『パリより愛をこめて』
@TOHOシネマズ 錦糸町(5/20鑑賞)

フランスを舞台に諜報員が、爆弾テロリストと戦うスタイリッシュなアクションムービー。
アメリカ政府の要人を狙う暗殺計画を知った二人が、フランス・パリを舞台に激しい銃撃戦やカー・アクションを繰り広げる。
製作はリュック・ベッソン、監督は『96時間』のピエール・モレル。
出演はジョン・トラボルタと『M:i:III』のジョナサン・リス・マイヤーズ。

前作『96時間』があまりにも面白かったので、製作&監督のコンビは今回もまたやってくれるだろうと期待して観に行って来ました。

やり過ぎ&殺り過ぎ! パリは大乱闘するのに最高の街だ!

あーもー最高だった!
『96時間』を超える衝撃を体感できるなんて夢のようだ!

ストーリーはというと、フランスのアメリカ大使館で働く新米の諜報員と、アメリカから任務でやってきたCIAの超凄腕諜報員のコンビが、爆弾テロリストを追ってパリを大暴走するっつーお話なのですが、正直ストーリーなんてどうでもイイ!
暴れる理由さえあれば!
(『トランスフォーマー:リベンジ』より学んだこと)

『96時間』では誘拐された娘を取り戻すため、父親がパリで問答無用に大暴れするお話でしたが、今回もその流れを受け継いで、これでもかと大暴走!
任務を遂行するためには、邪魔な要因はとにかくブチのめす!
街中で爆弾やロケットランチャーなんて当たり前!
任務とは言え、その暴れっぷりたるやハンパなもんじゃなく、もの凄く回りに迷惑をかけてるワケなんですよね。
ただその分、何としても犯人を捕まえてやろう!っつー凄く強い筋が一本通った気持ち良さってのが、観ていてホントにスカッとします!

特に今回、キモになってるのはジョン・トラボルタ演じるCIAの超凄腕諜報員!
スキンヘッドにタップリの口ひげで、見た目からして非常にゴツくて最初に写真を観たときは絶対に犯人役だと思ってましたw
で、このトラボルタが超大暴れするワケなんですが、大雑把で乱暴のように見えるけど、実はもの凄く合理的で任務遂行の最短距離で突き進んでるプロフェッショナルであるという設定が本当に魅力的♪
見た目の印象と全く違って、非常に繊細な部分を持ってるっていうのは、ストーリー的にも良いクッションになっていて、単にドカバカするだけのアクションで終わらないのが素晴らしいです。

また彼の相棒を演じるジョナサン・リース・マイヤーズも、初任務でなれない戦闘をこなしながらも、クレバーで冷静な一面を見せ、動と静を兼ね備えた良いキャラクタでした。


『トランスポーター』『TAXi』で誕生したフレンチアクションも、ここ数年は低迷した作品が続いて諦めモードでしたが、『96時間』とこの作品が続いて公開され、ベッソン製作のアクション映画はコメディを排除して新たな領域に入ったと思います!

オススメです♪