2009年11月26日木曜日

ゲン@ 劇場:『脳内ニューヨーク』

ゲンです。
今週は頑張って更新します!

『脳内ニューヨーク』@渋谷 シネマライズ(11/22鑑賞)

『マルコヴィッチの穴』の脚本家、チャーリー・カウフマンが監督デビューを果たすエンターテインメント・ムービー。
人生に行き詰った人気劇作家が、自分の人生を再生するため、壮大な芸術プロジェクトの構想を思いつく。
主演はフィリップ・シーモア・ホフマン。

異色な世界観を毎回書き上げる奇才脚本家:チャーリー・カウフマンが、いよいよ監督デビュー!
しかも主演がP.S.ホフマンってことで楽しみにしてました。

カウフマンらしいパラレルなヒューマンドラマ♪

いやーなかなか良かったです!
カウフマンの作品って、設定からして異質なので、今まで観た作品でもそこでまず衝撃を受けて、そこから先には深く入れない自分がいたのですが、今回の作品は非常にゆったりとしたテンポでその世界観に引き込まれていったので、最終的にはどっぷりとハマってました。


ストーリーはというと・・・
人気劇作家のケイデン(P.S.ホフマン)は世間から高い評価を受けながらも、自分の作る作品に個性を見出せず、妻との関係も溝が出来てしまい、公私共に落ち込んでいた。
そんな彼の元に、ある日突然「天才賞」を受賞したとの知らせが届き、莫大な賞金を手にする。
自分の人生に行き詰まりを感じていた彼は、その賞金の全てをつぎ込んだ、前代未聞の壮大なプロジェクトを立ち上げる。
それは巨大なスタジオの中に、「もうひとつのニューヨーク」を作ってしまい、その中に生活する全ての人々にセリフや演出をつけ、舞台作品として作り上げる事だった・・・


と、ストーリーをざっと書いただけでもパラレルで複雑なんですが、これが映像になるとさらに複雑ですw
要は主人公の周りの人物たちに、それぞれ俳優を当てて、ホンモノのそっくりの緻密に作られたセットに入れてセリフや演出をつけ、演劇としてしまおうというお話。

主人公のケイデンは、上手く行かない私生活を、リアルな演劇で理想を叶えようと奮闘するのですが、そちらでも上手く行かずに悶々とします。
そればかりか、役の中でも微妙ないざこざがあったりして思うように進まず、ただ時間だけが過ぎていきます。

自分の身の回りを演劇にしているだけに、遂には「自分の役も必要だ!」と、自分自身の存在にすら俳優を当て、他の出演者に演出を着けている“自分”に、自分で演出をつけたりとドンドン複雑にw

ココまで来ると、ちょっとコメディが強く感じてしまうんですが、よくよく考えると、

その人に別の役を当てるって何?

自分じゃない誰かを演じるって何?


とか、そんなようなメッセージが随所に散りばめられているのに気づいて、すんごい深い部分を突いて来てるなぁとハッとしました。


主演のフィリップ・シーモア・ホフマンですが、また今回も彼の天才的な演技力が爆発しておりました。
観る映画観る映画で毎回驚かされます・・・ホントにこの人の演技力は恐ろしいです。


複雑で緻密、しかしそれを優しく包み込む温かさがあるのが素晴らしい!

でも完全には理解できない部分もあったので、DVDでもう一度観たい作品ですね。

面白いです!

2009年11月25日水曜日

ゲン@ 劇場:『クリスマス・キャロル』[IMAX 3D]

ゲンです。
本日11/25は相方:梅太くんの誕生日です。
おめでとう!

『クリスマス・キャロル』[IMAX 3D]@109シネマズ 川崎(11/21鑑賞)

金銭欲を満たすために生きる男が、クリスマス・イブの夜の不思議な体験を経て、本当の幸福の意味を悟る奇跡と感動のファンタジー。
不朽の名作を『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督が映像化。
ケチな主人公をはじめ、7役を演じるのはジム・キャリー。

『ポーラ・エクスプレス』『ベオウルフ』とリアルなCGでの劇場作品を撮り上げてきたゼメキス監督が、いよいよディズニー製作で、しかも主演がジム・キャリーってことで楽しみにしておりました。

トラウマ映画! 子どもが観たら泣くぜ?!w

まぁ、面白いことは面白かったんですが、完全にトラウマ作品でしたねw
そもそもチャールズ・ディケンズ原作をよく知らない人間ですが、「傲慢なジイさんが、クリスマスに改心する話」ってだけは知ったかしてました。

クリスマスが舞台になっているとは言え、主人公の性格のおかげで明るい話題はほとんど出ず、映像的にも暗く寒々とした表現が多かったので、テンションはかなり下がり気味でしたw

登場人物が急に白骨化したり、死神みたいのに追われたり、どん底の極みw
「ディズニーの夢のようなクリスマス♪」みたいな予告編を垂れ流しといて、アレはないわなぁ・・・


ただ声を当ててるのが名優:ジム・キャリーだけあって、その表現力は流石!
ホントは吹き替え俳優の顔が浮かぶってのはあまり名誉なことではないのかも知れませんが、今回は主人公:スクルージの外見も彼そっくりに作られてますから、問題ないでしょうw
冒頭の嫌味ったらしい声に始まり、謎の精霊に怯える声、そして自分の過去を振り返って過ちに気づいた時の悲しげな声、その表現の幅はコメディ俳優の頂点を極めた彼にしか出来ない演技だと思います。
しかも、主人公だけでなく、声色を変えて同じ場面に登場する別の人物の声も演じているっていうんだから、さらに驚きです!
どんだけ凄いんだよ!

そしてジムに負けないくらいに素晴らしいのが、ゲイリー・オールドマン!
彼もまた複数の役を演じているのですが、ジムとは逆に外見がゲイリーとはとても似つかない役が多く、あとからクレジットを観て驚きました。

またコリン・ファースの声も味があって、とても良かったですね。


子どもへの夢というよりも、大人への教訓みたいな作品だと思うので、ディズニーらしくはない作品のような気がしました。

それでも冬に観るには丁度いい、なかなかの作品でした!

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そんな感じですが、「IMAX 3D」ですよ、奥さん!

この作品は全国で公開されている作品ですが、そのほとんどが吹き替えの3D上映になっています。
字幕(オリジナルの音声)で上映してるスクリーンもありますが、そのほとんどは3D上映には対応していません。
3D上映は2つの映像を重ねる為、それに字幕を合わせる事が難しいからです。

その「字幕で3D上映」をしているのが、日本で3館しかないIMAXシアターなので、今回も当然のように川崎まで行って来ました!w

オリジナルの俳優の声で楽しめる上に、3Dで映像にも奥行きが出て世界観が一層広がり、映画というモノを超えて、一つのアトラクションのような感覚ですね。

「字幕で3D上映」というとイメージがつかみ難いかも知れませんが、普通の3D映像の一番手前に字幕が飛び出してる感じです。
初めはちょっと不思議な感じがして、ちょっと面白いですよ♪

技術的には可能なようですが、まだまだ普及するのには時間がかかりそうなので、まだしばらくは川崎に通うことになりそうですw



それと、IMAX 3Dは予告編も3Dなのですが、来年公開のティム・バートンの『不思議の国のアリス』の予告編も3Dで観れました!

チシャ猫が登場するシーンとか、興奮した!

あー早く観たい!!!!

2009年11月24日火曜日

ゲン@ 劇場:『イングロリアス・バスターズ』

ゲンです。
本日11/24を持ちまして、26歳になりました。
ありがとうございます、ありがとうございます。
これからも僕と「映画好きの二人」をヨロシクお願いします。

ちなみに明日11/25は相方:梅太くんの誕生日です。
これからも梅太くんと「映画好きの二人」をヨロシクお願いします。

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『イングロリアス・バスターズ』@TOHOシネマズ 錦糸町(11/20鑑賞)

※先に書いた梅太くんの感想はコチラ

クエンティン・タランティーノ監督とブラッド・ピットがタッグを組んだ最強のアクション大作。
ナチス占領下のフランスを舞台に、それぞれに事情を抱えたクセのある登場人物たちの暴走をユーモアたっぷりに描く。

僕らのタラちゃん最新作は、ブラピ主演で何とナチス戦争モノ!って話を聞いたときから信じられませんでしたが、まぁどっちに転んでも面白くなるだろうと楽しみにしてました!

タラちゃん最高! 痛快?エンタメ復讐劇!

タランティーノ作品全てに言えることですが、相変わらず万人に勧められる作品ではありませんでしたが、僕は最高に面白かったです!とw


ストーリーはと言うと・・・
ナチス占領下のフランス、ユダヤ人の生き残り:ショシャナ(メラニー・ロラン)は、ナチスのランダ大佐率いる隊により、家族を惨殺されてしまう。
間一髪、逃れることができたショシャナは、家族を殺したナチスへの復讐を誓う。
 
それからしばらく経ったフランスで、ナチスへの攻撃準備を密かに進める部隊があった。
アルド中尉(ブラット・ピット)率いるユダヤ系アメリカ人で発足されたナチス惨殺部隊「バスターズ」は、順調にナチスを嬲り殺していき、遂にナチスの幹部を一掃できるチャンスがやってくる。

違う時間、違う場所でナチスへの復讐を誓った二人の二つの物語が、クライマックスへ向けて絡み合っていく・・・


タランティーノ作品というと、過激な暴力描写やぶっ飛んだ演出のアクションなんかのイメージが強いかと思われます。
確かに血生臭く、時にグロテスクな暴力描写も面白いのですが、僕が思うにタランティーノ作品の魅力は「会話シーン」であると思っています。

会話と言うと、物語の情報源は大きく分けて「セリフ」「表情」の2つの要素により成り立ってるワケですが、タランティーノ作品の会話シーンはこの2つの要素を絶妙に活かして、観客側に無限の想像をさせられる情報を与えてくれます。

今回特にこれが現れていたと思うのは冒頭で、ユダヤ人の生き残り:ショシャナをかくまう農夫の家に、「ユダヤ・ハンター」のランダ大佐がやってくるシーン。
農夫と大佐の会話は、最初は「ミルクが美味しい」だとか「娘さんが可愛い」だとか、ホントにどうでもいい内容なんですが、二人の表情のカット割りやセリフの微妙な間によって、床下に隠れているショシャナの非常に張り詰めた緊張感が見事に伝わってきます。

また会話シーンの手法として、「話し手」「聞き手」のどちらを映すのかという選択がありますが、これが有効に活かされていたのが中盤の、生き延びて成長したショシャナがレストランで大佐と再会してしまうシーン。
今まで何でもない表情で会話をしていた彼女の、背後から急にやってきた大佐。
大佐は彼女の正体に全く気づきませんが、彼女は顔を確認せずとも声を聞いただけであの大佐だと気づき、その表情は一瞬で凍りつきます。
このカットが凄いのは、大佐の登場前から彼女の表情だけをずっと追っているトコロです。
普通の作品なら、大佐の登場とともに「ババン!」とアップでもやってしまいそうですが、そんなことを一切せず、顔を見せずに声だけで存在を気づかせることで、その恐怖は一層大きなものになります。


と、会話シーンだけでも十分に盛り上がれるんですが、当然やり過ぎな暴力描写も満載で、めさくさ面白かったです。
『キル・ビル』ほどでは無いにしろ、血飛沫や腕とか頭とかはバンバン飛びますし、生々しい&痛々しい流血のシーンも盛り沢山なので、苦手な人は苦手でしょうなー
僕は全然許容範囲内でしたがw

ただ会話シーンや暴力シーンが面白いのも、ストーリーがあってこそ!
今回の作品は「ナチス」をテーマにしていますが、設定だけを借りただけで内容は全くのフィクション。
しかもタラちゃんのお得意の復讐劇!
ですので、歴史的な事実が一切通用しないので、展開が全然読めずにずっとハラハラドキドキしてました!


主演のブラッド・ピットですが、ぶっ飛んでる演技はコーエン兄弟の『バーン・アフター・リーディング』で観たばかりでしたが、今回もまた違った方向にぶっ飛んでて良かったです♪
ナチスに対しては血も涙も無いのに、どこかコミカルで笑える演技は最高です。

ユダヤ・ハンター:ランダ大佐を演じるクリストフ・ヴァルツの嫌味ったらしいネチっこい演技も素晴らしい。

ですが、この作品の本当の主役は、ユダヤ人の生き残りで最も強い復讐心を持つショシャナを演じるメラニー・ロランでしょう!
容姿端麗な女性なのですが、ナチスに対する復讐心は誰よりも強く、表で見せる優雅な表情と、恐怖を超えた腹の中での煮えくり返るような怒りが見事に表現されていて、見事な演技でした。
ラストの展開も切なくて・・・最高でした!



タランティーノ作品の面白い要素がふんだんに盛り込まれた傑作ですが、冒頭でも言ったように初心者お断りの作品であるのに変わりはありませんね。

まぁ、これを観て「面白い!」って言える人は、さらにディープな映画の世界にハマれると思いますがw
『キル・ビル』みたいなノリを期待して行くと、ちょっと驚くかも・・・

あと映画オタクのタラちゃんなので、今回も様々な古い映画へのリスペクトが捧げられてるようですが、元ネタが分からなくても何となくで想像できちゃうから凄いですね。

色んな要素があって、全てひっくるめて面白いです!

「バスターズ」ニ ヤラレチマイナー!


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そんな感じですが、初日に観に行けて良かったです。

タラちゃんにはずっと、こういう作品を撮り続けてもらいたいですね!

ただ今回のように「ブラピが主演!」とか分かりやすく規模が大きくなっちゃうと、万人にウケそうな宣伝をされちゃうので、結果的に評価を集めた時に下がってしまうので、ちょっと残念ですが・・・

「面白くなかったら返金キャンペーン」とかやってますが、よりによってタランティーノ作品にそれをやるのはどうかと思うよ・・・

とにかく、ある程度の覚悟は必要ですねw

2009年11月23日月曜日

梅太@ 予告編:『NINE』 その2

この記事は いやぁ、もう待ちきれん・・・ 梅太 の名の下にお送りいたします

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 先日コチラの記事でもお送りいたしました、ロブ・マーシャル監督最新ミュージカル映画『NINE』の予告編。

 第二弾が、先日公開されました。

 

 いやぁ、もう待てませんよ!

 最近はネットでの予告編配信が当たり前になってきたので、一つの作品が公開されるまで、実に多用な予告編が世に出ます。
 オープニングの○○分間を丸々公開!なんてのもありますし。
 シーンクリップなんてものは、このままいくと本編全て公開されてしまうのでは?と思うほど多いですね。
 
 話を戻しまして。
 今回の予告編は、ケイト・ハドソン演じるステファニーのダンスナンバーに、劇中のシーンを散りばめたものになっています。

 やはりロブ様は、ダンスナンバーの演出が凄まじい。
 ミュージカルの持つ力強さというものを、うまくスクリーンに映し出しているように思います。
 その辺の詳しいことは、公開時までとっておくことにしましょうか。


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 実は先日、この映画の元となる、フェリーニの『8 1/2』を何と劇場で観る機会に恵まれました。
 こんな機会、もう、そうそうないだろうな・・・

 ラスト、楽しげなシーンではあるのですが、少し悲しさを漂わせる子供のソロ演奏が印象的でした。
 「人生はお祭りだ・・・」で締めくくられた『8 1/2』ですが、この『NINE』はどうやって締めくくられるのか、非常に楽しみであります。


 まぁ、ニコール・キッドマン始め、これだけの女性陣に囲まれてたら、そりゃお祭りでしょうなぁ・・・


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 前回お送りしたときは、11/25公開となっていましたが、どうやら変更したみたいです。
 12/25公開。
 最高のクリスマスプレゼントですね!(アメリカでは)
 日本では2010年3月公開のようです。
 きっと、アカデミー賞を考慮したのでしょうね。


 なんにせよ早くみたい!!

2009年11月21日土曜日

梅太@ 劇場:『イングロリアス・バスターズ』

この記事は 映画に生き、映画に死ぬ人生もいいのかも・・・な 梅太 の名の下にお送りいたします

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●映画は剣よりも強し:『イングロリアス・バスダーズ
監督はクエンティン・タランティーノ。
主演にメラニー・ロラン、ブラット・ピット他。

 クエンティン・タランティーノ最新作。
 最っ高に楽しかった。
 最初から最後までずっと楽しかった。

 賞賛の言葉として、面白いとか素晴らしいとかいろいろあるけれど、これはとにかく”楽しかった”。

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 ストーリーは。
 昔々、ナチ占領下のフランスで、ショシャナ(メラニー・ロラン)は、ナチ軍のランダ大佐とその一味に、家族を惨殺されてしまう。
 何とかショシャナだけは逃れることができたが、その日から彼女は、ナチへの復讐を誓う。
 時と場所を別にして、ナチへの攻撃準備を密かに進める軍があった。アメリカ軍アルド中尉(ブラット・ピット)率いる「バスターズ」だ。順調にナチを嬲り殺していき、ついに、彼らを一掃する好機が訪れる。
 違う時間、違う場所でナチへの復讐を誓った二人の二つの物語が、クライマックスへ向けて絡み合っていく。
 そして迎える結末は・・・・


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 『レザボア・ドッグス』が公開されたのが92年、『パルプ・フィクション』が94年。しかし僕が観たのは比較的最近である。
 この2本を見たとき思ったのは、この面白さをうまく言葉にはできないのだが、もうとにかく面白いとしか言えない!ということだった。
 正直度肝を抜かれたというか、映画の見方が変わったというか。
 だから、それ以降色々と映画の勉強はしてきたが、未だにタランティーノの映画を人に勧めるときは「とりあえず見て」の一言であったりする。

 なぜって、だって、ただただ会話が続くだけなのだ。
 でもその会話の中、徐々に芽を現してくる緊張感、その緊張をあっさりと裏切ってくれるスカし感、でもやっぱり訪れるバイオレンス感。たまらなく楽しい。

 映画には色々の要素があり、それがうまく絡み合って芸術となっていくとはコチラの記事で書いたばかりであるが、彼の作品を観ると、大事なのはやはり脚本と役者であるのだと感じてしまう。(加えて、作者が楽しんでいるかどうか・・・かな)

 脚本と言うと、やはり一番最初に思い浮かぶのはストーリーラインであるが、登場人物の設定というのも、脚本に含まれる。実際に文字や会話としてスクリーンに登場しなくとも、人物のバックボーンがしっかりしていて、且つ役者がそれをしっかりと把握していれば、その役者をカメラに収めただけで、キャラクターのバックボーンが画面からにじみ出てくる。
 それこそが本当の意味で完成された脚本であるではないかと思う。

 そして役者。
 タランティーノ映画を何度も観て飽きないのは、タラちゃん自身が楽しんで作っていることがにじみ出ている部分と、役者が相当楽しんで、ノリノリで演じている部分である。
 今回はもう、ノリノリのブラピが最高であった。
 2章の演説は素晴らしかったし、「ボンジョルノ!」「グラッツェ」とかもう、大爆笑だ。
 
 完成された脚本と、完成された演技。
 そこにカメラを回すだけで、映画と言うのはできるものなのだと、タラちゃんの作品を観ていると、思う。
 (いや、それだけではないことはわかってはいるのですけれど・・・)


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 今作は、恐らく誰もが口にするであろうが、第一章のシークエンスが素晴らしすぎる。
 家宅捜索に来たナチ大佐と農夫の何気ない会話でおよそ20分は続くのであるが(加えて、大佐は「あ~、牛乳おいしいな♪」みたいな感じである)、終始漂っているあの緊迫感といったら。
 観ていて緊張すると同時に、たまらない高揚感で胸が一杯になったのも事実である。
 「こんなん撮れるのか!!!」みたいな。

 このシークエンスは、『パルプ・フィクション』の「Hamburger!!」のシークエンスに似ている。映画界きってのHanburger野郎:サミュエル・L・ジャクソン演じるジュールスが、取立てにやってくるシーンだ。
 僕はこのシーンがものすごく好きなのである。会話の持つ緊張感もそうだし、なんていってもノリノリで演じている

 そしてジュールズ以来の強烈なキャラクターが、今回誕生したわけだ。
 それがランド大佐(クリストフ・ヴァルツ)である。
 一見ふざけていて、親しみやすくて世間話も普通にできる男なのであるが、内にくすぶっている狡猾さが、外面ににじみ出ている。
 オープニングシークエンスで、僕達観客は、農夫がウソをついているのがわかっているから、ランド大佐の一言一言にビクビクさせられる。この先絶対にバイオレンスが待っていると僕達はわかっているのに、大佐は糸を張りつめ緩め、僕達を揺さぶる。
 こんなキャラクターがまだいたのかと、ただただ嬉しくなるばかりだ。


 そして一気に飛んでラストの章、第5章であるが、これもまた素晴らしかった。
 映画は剣よりも強し。
 映画が世界を救う。
  

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 さて、ここでやはり触れておかなければいけないのが、コチラの記事でオススメしていたフランス女優:メラニー・ロランである。
 本作の本当の主人公:ショシャナを演じた、それはもう麗しき女性である。
 今回も反則的に素敵であった。
 その美しさはついに全国区へ・・・

 
 で、このショシャナにまとわりついてきやがるナチの兵士:ツォラーの野郎がうざったらしいのなんの。いや、そのうざったらしい感じを出せたダニエル・ブリュールの演技は素晴らしいけれど、キャラクターが素晴らしくうざったらしかったな。
 最後まで死なないもんなぁ・・・(ってこれネタバレか、失敬)


 あと、今回ロランのスタント役で、タラ映画ではおなじみゾーイ・ベルが出ていたらしい。
 でも今回、ゾーイが活躍するようなスタントシーンってあったかしら。
 次に観にいったときは良く見てみよう。


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 映画と言うのは、やはり安全牌ではいけないのだ。
 「これからどうなるんだ」とか、「一瞬写ったあの人のあの表情はなんだったんだろうな」とか、「あの時の会話には意味があったのかな」とか。
 作る側はどう見せるかを試行錯誤し、見る側もそれを貪欲に浴びる。

 常に驚きと感動と興奮と楽しさと怒りと悲しさと愛しさと切なさと心強さに溢れている。
 それが映画なのだと、つくづく感じさせられる作品であった。


 長くなりましたが最後に。

 『SCREEN』の12月号のタラちゃんのインタビューがすごく印象に残っている。

 「映画を観てはギャーギャー叫んでる”大人ガキ”のままで、僕は満足だよ。」

 僕も満足だ。


 

2009年11月8日日曜日

企画 記事一覧

このブログで、ゲンと梅太(時に外部)の二人で企画したイベントの一覧です。

(更新 10/1/17)


勝手に映画コラボcocktailフェア ※企画終了(09/11/5) 

渋谷の『BAR NOI』さんとのコラボ企画。

開催期間:09/10/15~09/11/5

企画紹介
感想と作品解説 (by 梅太) 

あのシーンが良いんだよ!合戦

作中の好きなシーンをお互い持ち寄って、あ~だこ~だ言う企画。

企画記事(音声アリ)

梅太@ [勝手に映画コラボcocktail] 感想と作品解説

この記事は 最近お酒が楽しくなってきた 梅太 の名の下にお送りいたします

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 先月宣伝させてもらった、『BAR NOI』さんとの企画
 企画者として、最終日11/5に、NOIさんへ行ってきました。

 その感想を書きたいと思います。

 あと、奇跡的にこの企画に興味を持ってくれて、奇跡的に「あ、この作品どういうのだろう?」とか思ってくれた人の為に、僕がチョイスした『パリ、ジュテーム』『イル・ポスティーノ』のちょっとした作品解説をしたいと思います。

---------------感想-----------------

 昨日11/5で最終日を迎えた本企画。
 僕がチョイスした『イル・ポスティーノ』が上映されていました。

 注文したお酒は、この作品に合わせてマスターが考えた『リーバリーバ』というカクテル。
 チナールという名の“アーティチョーク”のイタリア産ハーブリキュールを用いたものだそうです。
 柑橘系の爽やかな酸味と苦味が、口当たりがよく、とても飲みやすかったです。
 マスターが、ソフトに作ってくれたというのもあるのですけれど。
 (僕はいつも、アルコール少なめのものを注文するので) 


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 映画を見るときは、映画館へ行くか家で見るかの2択であった僕にとって、「飲みながらチラチラと見る」というのはかなり新鮮な体験でした。
 一応、そういうコンセプトで作品を選んではいたのですが、やはり実際に体験してみないとわからないですね。

 そして、自分で言うのもなんですが、このチョイスは素晴らしかった。

 特にストーリーを追わなくても、雰囲気を楽しめる作品。
 イタリアの孤島の素敵な風景と、まったり流れる時間。
 なんだかすごくいい気分でしたよ。
  

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 一応、この企画は終了となります。
 でも機会があったら、またやりたいです。

 この企画の為に、9月は映画漬けで少し大変ではありました。
 「誰かに作品をオススメする」ということの難しさを改めて感じましたが、相手の求めるものをキチンと提供できたときの嬉しさも、改めて感じました。

 企画がこうやって形になってみると、やってよかったなと思っています。



 ・・・えと、誤解しないで頂きたいのが、というよりだれも誤解してないと思いますが、大変ではありましたが苦では無かったですね。
 そして「9月は映画漬け」とか書いていますが、だいたいいつも映画漬けです。


 企画は終了ですが、NOIさんはいつでも営業中(そりゃそうだ)。
 今後もちょくちょく訪れますので、暇が合えば、どなたかご一緒しましょう。

 『BAR NOI』 http://www.bar-noi.com/



---------------作品解説-----------------

 解説と言うほどのことでもないですが、ちょこっとだけ紹介したいと思います。
 宣伝用に書いた文句も、合わせてご紹介。

●『パリ、ジュテーム

宣伝用文句:
様々なパリの顔、様々なパリの人。
幾多とある都市の中でこれほどまでに世界中の人々を惹きつけるパリの魅力とは。
その答えが少しだけわかるかもしれない。

解説:
 この作品は、各国の映画監督が「パリ」を題材に数分の短編を取り、それを持ち寄ったオムニバス作品となっています。
 観光地として知られる有名な場所、日常的な風景、様々なパリの姿を堪能できます。

 町で起こったちょっとしたラブストーリーを切り取ったり、ヴァンパイアが出てくるファンタジックなものもあり。
 収録作はかなり多いですが(確か18くらい)、テーマも様々で、あっというまに2時間が過ぎてしまいます。

 僕が特に気に入っているのは、最後から2番目の『カルチェタラン』という短編。
 離婚した老人が、パリのレストランで久々に会うという設定。
 最初はお互いの近況報告なんかをしているのですが、そのうちに、過去の情熱が蘇ってきます。

 「また、駆け落ちしないか?」

 という、おじいさんの台詞がたまらなく好き。
 年をとってもこういうことをさらりと言えるようになりたいなと、心底思いますね。

 全部の作品を一気に観るも良し、一作品ずつ分けてゆっくり見るもよし。
 お好きな楽しみ方でどうぞ。


●『イル・ポスティーノ

宣伝用文句:
イタリアの小さな島に訪れた詩人と青年の交流を描く。
詩とは何だろう。詩を書くとは何だろう。
言葉一つで世界は美しく見えるということを教えてくれる作品。

解説:
 僕は最近、言葉の持つ有限性と無限性というものについて考えていたりいなかったり。
 スティーブン・キングやサリンジャーは、言葉の限界を謳っています。

 寺田寅彦の『柿の種』には、こういう記述があります。

 「恋の句を書くという事は、恋をするということ」

 何の体験も無く、詩を書くという事は不可能である。
 また、自分にとってかけがえの無い体験であったとしても、その重要性のすべてを読んだ人に伝えることは難しい。

 だから詩というのは、直接的に書くのではなく、隠喩を用いて読む人に想像させるのだと思う。

 しかしそれでも、恋をしたことが無い人は、恋の句のすべてを理解することは不可能なのだと思う。
 詩から想像したものを、自分の恋愛に結びつけることで初めて、作者の言葉の裏にある気持ちを読み取ることができるのだと思う。

 詩を理解する過程で、国語の授業みたいに解析することは、確かに必要な作業かもしれない。
 しかし解析をした後は、言葉の裏にある何かを想像してほしい。

 作中登場する、フェリーニのこんな言葉がある。

 「話すことをやめて、静寂に身をゆだねれば、私達は何か、理解できるかもしれない」

 情報化社会と言われる昨今、色々な情報を入手することは必要である。
 でも手に入れたら、それをちょっと吟味して、その裏にある真実を見つけることが大切なのかなと思います。



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 以上、感想と作品解説でした。

 

2009年11月7日土曜日

梅太@ 劇場:『スペル』

この記事は ホラー映画で感動を覚えるとは・・・な 梅太 の名の下にお送りいたします

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 みなさん、お久しぶりです。
 そろそろ存在を忘れられている頃かと思います。

 実は私、この度引越しをいたしまして、しばらくネットが使えない状況にありました。
 やっと繋がったので、これからはバンバン更新していく所存でございます。

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●小さな誤解が、人生を破滅させる:『スペル
 監督はサム・ライミ。
 主演にアリソン・ローマンと、ジャスティン・ロング。そして忘れてはいけないローナ・レイヴァーの強烈さ。


 ホラー映画で感動するとは思わなかった。
 素晴らしく良くできている。
 脚本と、そして人を怖がらせることしか考えていないような徹底した演出。
 思い出しても、未だに鳥肌が立ってしまう。

 怖いといえば怖い。
 でも、「面白かった」と素直にいえてしまう娯楽性もある。

 なんともすっごいホラー映画に出会ったものだ・・・

※以下、若干のネタバレを含んでいますので、鑑賞後に読んでいただくのが良いかと

 
 ストーリーは。
 銀行で融資を担当する女性:クリスティン(ローマン)の元に、ある日一人の老婆(レイヴァー)が訪れる。その老婆は、家を差し押さえられ、支払い延期を頼みに来ていた。しかし昇進を考えていたクリスティンは、「冷静な決断を」がモットーである上司に気に入られるため、延期を断ってしまう。
 その夜、帰り道で老婆に襲われる。
 クリスティンのコートのボタンを引きちぎった老婆は、そのボタンを介してクリスティンに呪いをかけるのであった。
 クリスティンは呪いを解くことができるのか。人生最悪の3日間の幕が上がる・・・

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 人を怖がらせるのに一番良い方法は、”想像させる”ことだ。
 まずは、人間の想像力をこれでもかと刺激する、影についての話をしたいと思う。

 影と言うものは昔から、恐怖を煽ったりするのに使われているが、それはなぜかといえば、ホラーテラーは人間の想像の力を信じきっているからだと思う。

 この作品に出てくるラミアという悪魔は、その全体像をあらわすことは無い。
 影として、幾度か登場する程度である。
 しかしその影から、僕達はとてつもなく恐ろしいものを想像してしまうのだ。

 何を隠そう僕は影の描写フェチなのであるが、この作品の影は、満足度100%の描写であった。

 次に、怖いものを見せることではなくて「怖がっている演者の表情を見せる」こと。
 この作品は、アリソン・ローマンのクロース・アップがこれでもかと登場する。

 ローマンファンとしては、これ以上に嬉しいことはない。
 いや、話が逸れた。

 やはり誰かが怖がっている表情を見ると「その視線の先に何があるの?」と思ってしまう。
 それが、怖さを倍増させる。

 想像力を刺激し、恐怖心を煽りに煽った上で訪れるホラーシーン。
 怖いと思うと同時に、見事とさえ思ってしまう。


 そして、これは僕が勝手に思っているだけなのだが、ホラー映画にはちょっとした笑いが必要だ。
 それはコメディ的な笑いではなく、何だか常軌を逸しすぎていて、もう笑うしかない!というタイプの笑い。
 その点において最大の見せ場は、終盤のラミア降霊シーン。
 霊媒師の助手に乗り移ったラミアの、動きの滑稽さ(なんだかこの世に下りてきたことをすごく楽しんでいるような感じ)と、恐ろしくも綺麗で楽しげな旋律。
 あれ、これホラー映画なんだけど?と自分に突っ込みを入れつつも、最高に楽しめたシーンだ。

 もっともラミアが登場しなくとも、ホーンテット・マンションを思わせる大広間や、ゴシックな霊が出てくる場面など、かなり僕のツボをついている。

 また、古いスプラッター映画を髣髴とさせるシーンも好きだ。
 ちゃっちい故に笑えてしまう。
 

 さて、そんなエンターテインメント性・・・失礼、ホラー性を遺憾なく発揮している本作で、やはり最大の見せ場はラストシーンであろう。
 救いからどん底まで、一気に叩きつけられるラストは、富士急ハイランドも足元に及ばない絶叫だ。
 そしてそのラストから思い返される脚本の見事さ。

 僕の中では、ホラー映画No.1。

 沈まない太陽も、想像すると何だか怖いけど、やはり太陽が沈んだ後の方が怖い。
 怖くて楽しくて素晴らしくお見事なホラー映画です。
 是非、しり込みせずに劇場へ。

▼▼▼▼▼▼

 そうそう、この映画の原題は『Drag me to hell』である。
 直訳すると、「私を地獄に連れて行って」となる。
 朝倉南だって、そんなことは言わないであろう。

 ただ、ラストシーンで、どうあっても呪いから逃れられないクリスティンの運命を思うと、何だかとても考えさせられる題名だ。


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 ホラー映画を見て、心の隅まで満足してしまう僕は、きっと変態なんだ。

 変態ついでに言わせてもらえば、僕が一番悶えたシーンは、アリソン・ローマンが墓穴の中で、老婆の死体に”あるもの”を手渡し、冷酷に見下しながら「GOOD BYE!」と言ってのけるシーンだ。

 最高だった。
 何故最高だったかは、僕にも分からない。
 それこそが一番の恐怖か。

2009年11月4日水曜日

Blogtitle更新:『Reservoir Dogs』(ブログ一周年記念)


 タイトル部画像、更新しました。
 09年9月をもってブログ開設一周年ということで、開設時から大分風変わりしたこのブログで、唯一変わらなかった『管理人の関係』画像へ敬意を表し、『Reservoir Dogs』の画像を使わせていただきました。

 これからもあ~だこ~だ言っていきますが、どうかよろしくお願いいたします。

 

ゲン@ 劇場:『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』[IMAX版]

ゲンです。
後回しにしてる「積みDVD」が凄い量になってます・・・

『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』[IMAX版]@109シネマズ 川崎(11/1鑑賞)

2009年6月に急逝したマイケル・ジャクソンによって、死の数日前まで行われていたコンサート・リハーサルを収録したドキュメンタリー。
何百時間にも及ぶリハーサルを一本の映画にまとめあげたのは、『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』の監督兼振付師で、予定されていたロンドン公演のクリエーティブ・パートナーでもあったケニー・オルテガ。

世界中が待っていた映画が、遂に公開になりました!
初日には観に行けませんでしたが、やはり観るならIMAX!っつーことで、ちゃんとチケット発売日の夜中に取りました!

This is "King of Pop"! Michael Jackson Forever! 

前評判通り、最高でした!
文句無しに今年6本目の満点作品です!

そもそも自分とマイケルとの出会いは、小学生の頃だったと思います。
ペプシの景品で「BRACK OR WHITE」とか「HEAL THE WORLD」とかが入ったコンピレーションCDが当たったので、よく聴いてました。
思えば、初めて聴いた洋楽だったのだと思います。
で、ガキながらバカみたいに「カッコイイなぁー♪」と感じてた記憶がありました。

で、その後がグンと飛びますが、「マイケル・ジャクソンの真実」みたいなマイケルの奇行が取り上げられた時期に、全盛期のPVをいろいろ見て、天才的なリズム感の音楽性やダンスのキレとかに圧倒されてしまい、それ以降は「ファン」の領域に入っていたと思います。

つーワケで、年代的にはバッチリ当てはまってるワケじゃないんですが、彼が亡くなった時はショックという感じじゃなく、なんか不思議な気分でした。
「へぇー、マイケル・ジャクソンって死ぬんだ・・・」みたいな。
そんくらい常人とはかけ離れた存在のような気がしてました。



まぁ、前置きはそんくらいにして、映画としての内容ですが、そんなあくまでファン目線なんですが、とてつもなく面白かったです。
リハーサルで撮られた映像の他、スタッフのインタビューやコンサートで流すはずだった新しいPVの撮影風景なども含めて編集され、非常に見応えのある内容でした。

その歌うはずだった曲というのも「最後のコンサート」と銘打っていただけあって、気合の入り方が並大抵のモノではありませんでした。
「THRILLER」「BILLLIE JEAN」などなど有名曲はベスト版の如くあるワケですが、驚いたのは「I WANT YOU BACK」「I'LL BE THERE」「THE LOVE YOU SAVE」といったジャクソン5の曲も歌うつもりだったんですね・・・
大人になったマイケルが「I WANT YOU BACK」歌ってるのはじめて聴きましたよ・・・

で、リハーサルのはずなんですが、歌う1曲1曲が凄く丁寧で、ほとんど本域のテンションで歌とダンスをしてるんですよね。
歌唱力は勿論、ダンスのキレが全く衰えてないんですよ・・・
頭のてっぺんから、つま先まで、完全に「マイケル・ジャクソン」!
50歳ですよ・・・信じられない・・・

しかもさらに凄いのが、それぞれ曲ごとに完璧な演出をつけてるんですよ!
舞台上の演出もなんですが、驚いたのが新たにPVを撮影してたんですね。
「THRILLER」の新しいPVを撮ってたのは知ってたんですが、まさか3Dメガネをかけて飛び出す映像にしようとしてたのには驚きました・・・
あと「SOMOOTH CRIMINAL」も白ジャケットのマイケルで、新たにストーリー仕立てのPVを撮ってたりとか、信じられないくらいに恐ろしいことをやるつもりだったようです・・・


ただ曲の練習を見せるだけでなく、一つ一つに細かい演出をつけるマイケルの映像もいっぱい入れられていました。
ほんの数秒の違いなんだけど「曲の余韻を残したいから」と、フェードアウトのタイミングの細かい指示を何度も出していたり、完ぺき主義者であるマイケルの様子が何度も垣間見れました。

印象的だったのが、リードギターの女性に対してある曲のギターソロで、
「ここはキミが一番目立つ所なんだから、もっと高音で長く弾きなよ!」
と言ってるトコ。
自分のコンサート何だから、別にギターが目立たなくたっていいのに「もっともっと!」と自分以外に脇で支えてくれる出演者にも、ちゃんと観客の目が届くような気遣いを忘れていないのが、とてもマイケルらしいなぁと思いました。

このリードギターの女性はまだ24歳とまだ若い方なんですが、テクニックがもの凄くて、「BEAT IT」の間奏のギターソロが恐ろしくカッコ良かったです。


スタッフや出演者のインタビューも沢山入れられてるんですが、特出すべきなのは、どのインタビューもマイケルが亡くなる前に撮られていたという事です。
マイケルの最後のコンサートに出演する為、世界中のダンサーやミュージシャンがオーディションにやってきます。
何百人という中から勝ち上がった数人の出演者の喜びは、計り知れません。
しかしひと目見ただけで分かるのは、彼らの目の輝きでした。
「マイケルのダンスを見て、自分もダンスを始めたんだ!そんな彼のコンサートに自分が出演できるなんて!」と、涙を流して喜ぶ彼らの目は、とてつもなくキラキラしていて、とても素敵な顔をしていました。

マイケルが亡くなった今、彼らはどんな気持ちなんでしょうか・・・


エンディングで語られる、マイケルの言葉。
ホントに彼は、心の底から平和を望んでたんですね・・・

誰かが亡くなって、神的な崇拝をするのはあまり好きではないんですが、マイケルだけはそれを認められる気がします。

いろんな事を抜きにして、曲の構成や演出面だけを見ても、想像以上に高い超完璧な完成度のコンサートになっていたのは間違いないと思います。

出来ることなら、ナマで観たかったです・・・


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そんな感じですが、ホントに素晴らしかったです。
大ファンって言えるほどでもない「マイケル好き」程度の自分でしたが、改めて彼の魅力を再認識でき、さらにハマってしまう本当に面白い作品でした。

重ねて言いますが、これをナマで見たらヤバいでしょうね・・・
失禁すると思うw

マイケルの曲の中で個人的には「SMOOTH CRIMINAL」が大好きなんですが、新しいPVもリハーサルのダンスもメチャクチャカッコ良くて、ちょっと泣きそうでした。

上映が終わり、会場が明るくなると、自然と拍手が起きました。
初日もでもないですが、自分も思わず拍手してしまいました。
いや、最高です。
ちなみに折角なんで、マイケルのTシャツを着ていきました。

コンサートのグッズとして販売する予定だったモノをネットで売っておりますが、同じモノを木村カエラちゃんが着てたので、迷わず買いましたw

気になる方はコチラでどうぞ!
http://michaeljacksonstore.jp/


当初、2週間限定公開の予定でしたが、あまりに好評なので延長されちゃいましたねw
うーん、出来ることならもう1回劇場に観に行きたいなぁ・・・

ゲン@ 劇場:『カールじいさんの空飛ぶ家』

ゲンです。
いよいよ寒いですね。

■第22回東京国際映画祭 特別招待作品『カールじいさんの空飛ぶ家』@TOHOシネマズ 六本木(10/25鑑賞)

『モンスターズ・インク』のピート・ドクターと『ファインディング・ニモ』の脚本家ボブ・ピーターソンが共同で監督を務める3Dアニメ。
冒険家への夢をあきらめ切れずにいる78歳の老人に、驚きの出来事が巻き起こる冒険ロード・ムービー。

ピクサー最新作は初の3D映画。
12月の一般公開を前に、今年もTIFFで観れるのを楽しみにしてました!

どうしたピクサー! これがあなた達の実力じゃないはず!

「面白い・つまらない」の2択で言えば、「面白い」の評価に入るのですが、ハッキリ言って微妙でした。
前作『ウォーリー』があまりに完璧な作品だったので、今回はそれを超えるのは至難だとは思っておりましたが、あまりの力の無さにガッカリ・・・


ストーリーはと言うと、少年時代に出会ったカールとエリーは、ともに冒険好きで意気投合し結婚、子どもには恵まれなかったものの幸せな夫婦生活を送ってきたが、エリーは病に倒れ亡くなってしまい、78歳のカールはひとりぼっちになってしまう。
しかし彼には幼い頃に2人で誓った「冒険の夢」があった。
愛する妻を亡くし、家まで奪われそうになった彼は遂に決意し、2人の思い出が詰まった家に無数の風船をつけ、空高く飛び上がっていった・・・


序盤はとにかく素晴らしかったです。
幼い頃の2人の出会いから結婚、幸せな日々を描き、妻が亡くなるまでをダイジェストで見せていく映像は、セリフを一切いれずに多くの感情を語っており、これはまさにピクサーのなせる演出でした。

途方に暮れたカールじいさんが決心をし、唯一の財産である家に風船を結びつけ、空へと飛び立っていく様子は、ストーリー的にも映像的にも暗かった場面から、一気に夢が広がっていき、あまりの素晴らしさに思わず泣いてしまいました。


しかし中盤、冒険の旅の佳境に入った辺りから、新しいキャラクターがいっぱい登場するのですが、どうもそれが世界観に合っていませんでした。
で、登場するキャラが増えたことで、達成しなければいけない目的も増えてしまい、結果として本来の目的であったはずの場所に辿り着くという大きな軸がブレてしまい、物語の印象がかなり散漫で薄い内容に感じられてしまいました。

過去の作品で例に挙げるならば、『ウォーリー』が「手を繋ぐこと」、『ニモ』が「親子の再会」だったように、キャラクタやサイドストーリーが増えてしまっても、具体的でシンプルな目的があれば、話の面白さは絶対に揺らぎません。

今回は「冒険」という漠然としたタイトルに囚われてしまったおかげで、「目的の地」というような具体的なポイントがあるにも関わらず、そこに辿り着いても話が終わらない気持ち悪さを感じてしまいました。


またキャラクタでいうと、主人公を人間にしてしまったのが、やはり大きかったように思います。
ピクサーといえば、『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』、『モンスターズ・インク』などのように「人間の世界と別の世界の繋がり」を描いた作品が中心です。
『カーズ』に至っては、人間すら登場させず、キャラクタだけで作られた世界を描いていました。

しかしどの作品も、「可愛らしいキャラクタ」というだけでは終わらず、キッチリとした世界観の中で繰り広げられるドラマがありました。
ピクサーに限らず、普通のアニメや絵本などでもそうですが、「人間以外に語らせる」というのは、ドラマとしてかなり有力な手法です。

人間が言ってしまえば、クサ過ぎたり、説教じみた言葉になってしまいがちなセリフでも、個性が外見に表れているようなキャラクタが言うことで、よりストレートに抵抗なく伝わってきます。

ところが人間が吐くセリフというのは、人間でしかないワケですよ。
今作でも心に響くようなセリフがいっぱいあったのですが、いくら素敵でためになる事を言っても、どこかに生活観のある人間が言ってしまうと、一気に冷めてしまいました。

ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、中心となる登場人物が人間に偏ってしまい、後半で登場する人間以外のキャラクタの個性も活かされていないコトが、かなり致命的であったと思います。


ただ評価すべきポイントというのはもちろんありました。
やはり映像力としては大変素晴らしかったです。

今までCG映像のパイオニアだったピクサーが、3Dメガネをかけて飛び出す映像に進化したのは、当然のことだと思いますが、スクリーンにより広がりが感じられる素晴らしい映像だったと思います。



ストーリーだけを見れば、決して悪くない、むしろ感動できる良い話なのは確かなんですが、果たしてこれをピクサーがやるべき内容なのかと考えると、全くピクサーらしくない・・・
ピクサーがやるべきストーリーでは無かったと思います。

例え同じ設定で人間を主人公にするにしても、具体的な目標をしぼり、登場人物の数も抑え、そこに専念するシンプルなストーリーであれば、もっと違った作品になったのではないかと思います。

ピクサーが大好きな人間なので「失敗作」とは言いたくないですが、2度3度劇場に通い、その度に「最高だ!」とは言えない作品です。

非常に残念です・・・

2009年11月1日日曜日

ゲン@ 劇場:『パイレーツ・ロック』

ゲンです。
来週も結婚パーティーだったりするんですが、同じ仲間内なのでほぼ同じメンバーが揃いそうです。
いやいや、あやかりたい・・・

『パイレーツ・ロック』@TOHOシネマズ みゆき座(10/24)

1966年のイギリスを舞台に、24時間ロックを流し続ける海賊ラジオ局と、ロックを規制しようとする政府の攻防を描いた痛快ストーリー。
監督は『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス、主演は『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマン。

ノリの良い60年代ロックと、P・S・ホフマンのハイテンションな様子を観て、絶対に劇場で観なくてはと楽しみにしておりました!

心も躍る気持ち良さ! 誰にもロックは止められない! 

うーん、楽しかった♪
最後までノリノリでウキウキしながら観れました!

1966年のイギリス、ロックやポップミュージックの人気は最高潮に達していたが、法律によりラジオでの音楽放送は1日45分と規制されていた。
「もっと聴きたい!もっと聴かせたい!」・・・そんなニーズから生まれたのが、法律の適用されない領海外に停泊した船から電波を飛ばして放送する海の上の「海賊ラジオ局」だった。
24時間ロックをかけ続けたこの放送のリスナーは、イギリスの全人口の半数以上にも及んでいたが、これをよく思わない政府は何としてでも彼らを追い詰めていった・・・


昔はロックが悪とされていたっていうのは、色んな映画で登場する設定ですが、実際にここまで規制されている時に、「海賊ラジオ局」まで立ち上げた人達がいて、しかもイギリス国民の半分以上が聴いていたなんていうのは、初めて知ったので驚きました。

「聴きたいだろ?だったら聴かせてやるよ!」と、ロックを流す為だけに海の上に滞在し、ひたすら放送を続けるなんて、まさにロックじゃないですか?!

よく「ロックは生き様だ!」なんてコトを言いますが、まさにこの映画はそれを表していると思います。
24時間交代で放送を続けるDJは皆、一癖も二癖もある人間達ばかり。
伝説的なカリスマや、破天荒なアニキ肌、ちょっとウザいバカなど、様々な人間の集まり。
ですが、全員に共通するのはとにかくロックが大好きで、どんなに辛く悲しいことがあっても、絶対にロックを流し続けるという恐ろしいDJ根性!
「例え政府を敵に回したとしても、国民が聴きたいなら、流し続けてやるぜ!」と言わんばかりのロックな生き様に圧倒されました。


キャストですが、まず何と言ってもP・S・ホフマンの熱演でしょう!
超演技派で数多くの賞を受賞している名優で、落ち着いた頭脳派や感情のふり幅の大きい役を演じることが多かっただけに、今回のファンキーなアニキってのはあまりイメージになく、とても楽しみにしていたのですが、とにかく「見事!」の一言に尽きますね!
やっぱりこの人は恐ろしい俳優ですよ・・・

そしてもう一人の名優ビル・ナイもカッコイイ!
基本悪人顔で悪者の役を演じる作品が多い印象があったのですが、今回のノリノリで燻し銀な演技は、のっそい素敵でした!
特にエンドロールで音楽に乗ってツイストしてるシーンは、スゲー良かったです♪

あとサイモン・ペッグのお友達のおデブさん:ニック・フロストが嫌味ったらしくも面白かったり、『イエスマン』で上司を演じていたリス・ダービーが相変わらずウザったかったのが最高でした!


また劇中はThe Rolling StonesThe Whoなど、60年代のロックやポップスが常に流れていて、その年代に直接思い入れのない自分ですらノリの良さに思わずウキウキしていたのですが、青春時代に聞いていたオジサマたちが聞いたら、さらに楽しいだろうなぁとも思いました。


ロックを愛し、ロックを流すことに全てを捧げた最高の男達!

これぞロック魂!

ゲン@ 劇場:『きみがぼくを見つけた日』

ゲンです。
友人の結婚パーティーへ行って来ました。
2人が出会う前からそれぞれを知ってる自分としては、
なんだか不思議な気分でしたが、とっても素敵なパーティーでした♪

『きみがぼくを見つけた日』@TOHOシネマズ 錦糸町(10/24)

異なる次元に引き裂かれる恋人たちの切ない運命を描き、アメリカで大ベストセラーとなった純愛小説を映画化。
脚本は『ゴースト/ニューヨークの幻』のブルース・ジョエル・ルービン。

「SF×ラブストーリー」ですが設定が珍しかったので、公開を楽しみにしておりました。

至極の脚本! タイムトラベルがこんなにも切ないだなんて!

いや、めさくさ面白かったです!
とにかく設定が良く出来てたと思います。


主人公:ヘンリーは、自分の意思とは関係なく、過去や未来へタイムトラベルしてしまう。
幼い頃、母を交通事故で亡くす瞬間に時間を飛んで以来、場所も滞在する時間も、自分ではコントロールすることが出来ない。
ある日、過去にタイムトラベルした彼は、6歳の少女:クレアと出会う。
純粋無垢な彼女は、「未来から来た」と言う彼をタイムトラベラーと信じ、「いつか同じ時空で会えるときが来る」と心に誓う。

大人になった彼女は、偶然“再会”したヘンリーに思いを伝えるが、当のヘンリーは彼女に全く覚えがない。
幼い頃に彼女が会った彼は、現在の彼よりも歳をとった未来の彼だった・・・


と、あらすじを文字で書こうとすると混乱してしまいそうですが、普通の時間軸で生きている女性と、自分で制御できない能力のおかげで、時間軸がバラバラになってしまっている男性のすれ違いが、本当に切なく感動できました。

何かトラブルがあると、彼女から「未来の貴方は、以前こんなことを言っていた」と言われ、自分の行動を咎められたり、逆に今の自分が起こした問題を未来の自分が解決してくれたり、コミカルに描きつつも脚本のプロットが丁寧で、かなり高い完成度を感じました。

場所や滞在時間も制御できないばかりか、タイムトラベルをすると裸になってしまい、洋服も現地で調達しなければいけないという「ターミネーター方式」が採用されているのも、話を面白くする要因になっている気がしますw


主演のエリック・バナレイチェル・マクアダムスの2人ですが、幅広い年代を演じながらも、お互い変わらない愛情を持ち続け、ずっと繋がり続けている様子は、とても微笑ましくラストシーンでも思わず泣きそうになりました。


「タイムトラベル」を扱った作品はやり尽くされた感がありましたが、それをキーワードにしてラブストーリーを上手く展開させると、ここまで魅力的で面白い作品になるのかと驚きました。

とにかく脚本がよく出来てると思います! オススメです!