2011年4月24日日曜日

梅太@ コラボでシネマ:How do you mesure a year?

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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 昨年『ラブリー・ボーン』や『オー・マイ・ゴースト』(日本未公開の超大傑作オススメ映画)を観て、生者と死者の関係というものを、見つめる機会が多くなった。
 勿論現実問題として、死を迎えれば、当人はその時点でこの世と決別するから、その関係がどうこうなんてものはないのだけれど、フィクションとして置き換えたとき、それを考えることが出来るし、それは今後の生き方すら変えるかもしれない、それが物語というものの力だと思うわけで。
 考え方は人それぞれでいいと思うけれど、考えることは大事だと思う。

 さて、今回鑑賞した『THE GREATEST』という映画。

 この作品のストーリーは、ローズ(今世界でもっともGREATESTな女優:キャリー・マリガン)とベネット(今もっともKICK-ASSな俳優:アーロン・ジョンソン)は、ドライブ中に交通事故に遭う。ベネットは死に、ローズは幸い軽傷で済んだ。
 ベネットの死に嘆く父:アレン(元スパイ、ピアース・ブロスナン)と、母:グレイス(王座を奪われたくないスーザン・サランドン)の元を訪ねたローズは、二人にある事実を伝えるのだが・・・


 さて。
 『ラブリー・ボーン』では、死者の存在を忘れてもらうこと、それが残された者の呪縛を解き放つことになる。
 『オー・マイ・ゴースト』では、死者をこの世に縛っているのは、死者の未練でなく、生者の死者に対する未練である。
 その点を、個人的には読みとっている。作品自体に似通った点があったのか、僕が繋ぎ合わせただけなのか。何にせよ、この二作品は僕に死生観というものを考えさせるきっかけになった。

 さて。
 ここまで言っておいてなんだが、別にアーロン・ジョンソンがゴーストになってNYで恋をするわけでもない。彼は死んだままだ。が、突然の死というのは、生きている者をその事実に縛り付ける。
 事故に遭い、病院に運ばれたベネットは死ぬ前に17分間だけ意識を取り戻していた。特に両親を縛り付けているものは、「その17分の間、側にいてやれなかった」こと。きっと助けを求めていたに違いない、不安だったに違いない、そんな場面に、親なのに立ち会ってやれなかった・・・ある種の責任感のような者が、アレンとグレイスを縛り付け、ストレスを与えていた。
 ここに、先に挙げた2作と共通する部分があるように感じた。
 Dead man tell no tail.死人に口無しというけれど、何も語ってくれない故、生者の思いは肥大化していき、まるで呪いのようにふりかかる。

 本作のキーパーソンは、ベネットの最後に立ち会った人物だ。彼の車とベネットの車が衝突したことが事故の発端で、彼もまた、怪我の治療の為病院に運ばれたが、ベネットの最後を看取った時から昏睡状態となっていた。
 グレイスは何とか、ベネットの死の全貌について聞き出そうと足蹴く病院へ運び、やっと、意識が戻った彼から聞き出した、ある事実。

 その男が言った言葉は、大したことではない。
 「確かに彼は痛がっていたかもしれない」
 「不安を感じてたかもしれない」
 そして、
 「最後に、少女の名前を呼んでいた、彼女の安否を確認したがっていた」
 それを聞いた瞬間、グレイスを縛っていたものは静かに崩れていった。また、家族を纏めなければいけないと常に気を張っていたアレンも、それを聞いた瞬間に糸が緩み、泣き崩れた。
 ベネットが死の間際、必死に求めたのは親の救いではなかった。
 親としては、救いを求める子の元へ飛んで”いかねば”ならない・・・その観念が両親を縛っていたが、実際ベネットが求めていたのは我々ではなかったんだ。

 その結論に至った二人は、ローズと、そしてベネットの子を、優しく迎える決意をする。

 生者と死者の関係。
 本作を含め、僕が昨年から観てきた作品群には、何か共通する部分があった。
 その考えを通じて、僕がこれからどう生きていくかというのは、また別の話。

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 と、こんな風に書くとなんだか重い作品の様に響いてしまうが、そうではない。
 この作品はとてもニクく、ウマい演出で幕を閉じ、爽やかな印象の残る素晴らしい作品であった。
 昨年観賞したものでいうと、『ナイト・ビフォア・ウェディング』を観たときと似たような、「やられた!」という快感、そして嬉しくなる涙。
 たまらなかった。

 ここで効いてくるのが、劇中に出てくるアレンのparty trick:宴会芸だ。
 アレンは数字に強く、ある物事が積み重ねてきた時間を、様々な単位で一瞬で計算できるという技を持っている。
 たとえば君が18歳で、~年~月~日に生まれたとしたら、それから今日まで~日、~時間、~分過ごしたことになる・・・。
 僕はこの手の言い換えが好きだ。
 こんな歌がどこかであったなと振り返ると、ミュージカル映画『RENT』の『SEASONS OF LOVE』だ。

 
 
 How do you mesure a year?
 Daylights? Sunset? Midnight's cup of coffee?
 (夜明け、日没、深夜のコーヒーの数、どういう風に、一年を数えますか?)

 一年、と言われると、始まったときは長そうで、でも終わってみると短くて、そんな感じで年をとっていく。
 あっという間に過ぎる年月を、積み重ねてきた年月を、例えば分単位で数えてみると、~万という単位になる。同じ意味なのだけれど、とても長い時間を過ごしてきたのだなと思える。そう思えると、自分が生きてきた時間の重みが感じられる。

 アレンのこの宴会芸は、確かに物語のオマケ、それこそグリコのおまけ並に、さりげなく登場するだけなのだが、ラストシーンと、それを観たあとでの劇中の数シーンを繋ぎ会わせていくと、この芸はものすごく重要であることに気づかされた。
 
 ラストシーンの爽やかさと、映画的演出の素晴らしさ、劇場で観ていたら泣いていたと思う。


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 輸入版ということで、ツイッターでは調子に乗って英語で感想をつぶやいてみたが、結局のところキャリー・マリガンのことにしか触れていなかったので、ここではある程度真面目に書いてみましたが、言ってしまえば極論キャリー・マリガンということで、本作でも魅力抜群でした。

 特に面白かった事実としては、彼女は出演作品では必ずどこかで泣いているということ。それがまた似合うこと。
 永遠の、涙のヒロインです。

 とてもオススメしたいですが、日本未公開・未販売で、現状輸入版しか手に入りません。
 それでも観たい方へは、是非ともオススメしたいです。

 ↓『THE GREATEST』予告編↓




●この記事で紹介したもの

・映画:『THE GREATEST』
・映画:『ラブリー・ボーン』
・映画:『オー・マイ・ゴースト!』(オススメ!)
・映画:『キック・アス』
・映画:『007』シリーズ
・映画:『魔法にかけられて』
・映画:『RENT』


 

2011年4月18日月曜日

梅太@ 雑記:応援リンク

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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 我々のブログの右の欄に、ひっそりと存在している外部HPのリンクですが、本日一つ、増えました。

 私、梅太が少し前に知り合いました、ゆきリンダさんという方のHPです。

 リンダさんは介護の現場で働きつつ、絵本作家も目指しているパワフルマンです。
 それは自然と、心身共のケアへと繋がっていて。
 それはきっと、リンダさんの根本の部分なのではないかなと、ちょっと思っています。

 まだ一度しか、直接お会いしたことはありませんし、
 まだ一度しか、リンダさんの本を手に取ったことはありません。

 でもツイッター(@yuki_rinda)などで、ご活躍はいつも拝見させております。
 そしてこの度、応援リンクとして、右の欄にこれまたひっそりと付け加えさせて頂きました。

 これからも応援しています。

 僕が作った短歌に、リンダさんが絵をつけてくれました。
 『桃色の絨毯の上を軽快に走る七色のランドセル
 僕の素敵な思い出の一つになりました。
 どうもありがとうございます!