2010年5月25日火曜日

ゲン@ 劇場:『かいじゅうたちのいるところ』

ゲンです。
先日DVDが発売になりましたが、劇場鑑賞レポを今更上げてみます。
一周回って、ある意味タイムリーw

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『かいじゅうたちのいるところ』
@TOHOシネマズ 錦糸町(1/16鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ

世界中で愛されている絵本「かいじゅうたちのいるところ」を実写化したファンタジー・アドベンチャー。
原作者モーリス・センダックたっての希望により、『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』のスパイク・ジョーンズがメガホンを取る。

実写化の企画の話を聞いた時からワクワクしてましたが、公開された予告編を観て大興奮!
奇才:スパイク・ジョーンズの趣味が爆発していて、もの凄く楽しみでした!

かつて少年だった全ての大人に贈る、男の子のファンタジー♪

まず断っておきますが、世間的には酷評を受けまくってますが、個人的にめさくさツボにハマりましたので、完全擁護でお送りいたします。
そりゃもう、一昨年の『スピードレーサー』ばりに守るさ!w

いや、ホントにマジで素晴らしかったです。
公開前から期待しすぎて、原作の絵本まで買っちゃったけど、その期待をさらに越えての大傑作!

上映時間101分の間、あそこまでずっと鼻水を垂れ流して泣きじゃくった映画は思い浮かびません。
ストーリーが悲しいとか感動したとかじゃなく、心臓と共鳴して泣いてしまったような感覚でした。



ストーリーはというと・・・

主人公:マックスは8歳の男の子。
両親は離婚していて、今はお母さんとお姉ちゃんと暮らしている。
でも、お姉ちゃんは友達ばかりと仲良くして、弟のマックスはのけ者扱い。
お母さんは普段は優しいけれど、仕事も忙しくてあんまり構ってもらえない。
それにお母さんは新しい恋人を見つけたみたいで、マックスが話しかけても上の空。
学校の授業じゃ、「太陽もいつか消えてなくなる」なんて話を聞かされてしまい、とっても憂鬱・・・

そんなマックスの唯一の不満の爆発方法は、オオカミの着ぐるみを着て暴れること。
お姉ちゃんの部屋もメチャクチャにして、夕飯の支度をするお母さんのそばではテーブルに乗って大暴れ。

ついに家を飛び出したマックスは、気づけば見知らぬ浜辺。
目の前にあったボートに乗り込んで、荒れ狂う並みを潜り抜けて辿り着いたのは、かいじゅうたちの住む見知らぬ島だった・・・

初めて人間の子どもを見たかいじゅうたちは、マックスを食べようとする。
とっさに作り話をするマックス。

「僕を食べちゃダメだ! 僕は王様なんだから!」

その話を信じ込んで、マックスを王様として迎えるかいじゅうたち。
マックスの命令で、かいじゅうたちは大きな城を作り始めるが・・・



原作はほんの十数ページの絵本ですから、こんなに深いバックグラウンドがあるワケではないのですが、ワガママな少年:マックスがかいじゅうたちの住む島にやってくるというのは同じです。

しかし、このバックグラウンドが抜群に素晴らしい。
マックスが雪の積もった庭で一人ぼっちで遊ぶファーストカットだけで泣き始めましたw
お姉ちゃんに冷たくされたのは分かるけど、暴れすぎたせいでお母さんにもキツく怒られ、踏んだり蹴ったり・・・

可哀想すぎるぞ・・・不憫すぎるぞ・・・マックス・・・

確かに主人公のマックスは「聞き分けの無い悪い子」なのかも知れないけど、そんなもんじゃないですか、8歳って?
しかも言葉で言えば「悪い子」だけど、その中には「自信」であったり「不安」であったり、「憂鬱」「疑い」「甘え」とか、幼いなりに複雑に詰まってると思うんですよ。
だからこその不満とかイライラだし、それが爆発した時に止まらなくっちゃうと思うの。

でもさ、それって表現の強弱はあれど、誰もが持ってた気持ちじゃないのかな?

そんなマックスが逃げてきて辿り着いたのは、かいじゅうたちの住む島。
かいじゅうたちは見た目は恐ろしいし、なにやら自分を食べようとしてるみたい・・・

とっさに

「僕は王様だ!」

とウソをつくマックス。

それを信じ込むかいじゅうたち。
一安心したマックスはかいじゅうたちと遊びはじめる。
仲良くなって話してみるととってもイイヤツばかり。

だけど、何かの拍子でそれぞれの個性が出てきちゃう。
あるヤツは根拠の無い自信があったり、あるヤツは理由の無い不安に怯えてたり・・・
楽しんでたはずが急に落ち込んだり、仲間に疑いの目を向けたり・・・

そう、それはマックスが持ってたあらゆる感情が、それぞれ強調されて出てきてるかいじゅうばかり。
そんなかいじゅうたちに、最初は仲良く遊んでたマックスも段々とイラ立ちはじめ、必死にまとめようとする。

「僕は王様だぞ! 言うことをきけ!」

恐らく、マックスにとって「王様」というのは、そういう面倒くさい感情を超越したモノだと信じていたんだろう。
漠然とした自信や不安、憂鬱なんかの全てを打ち消す、魔法のようなモノ。
それがあると、あるはずだと、無ければ大人になれないと思っていたんだろう。

ところがかいじゅうたちは、

「王様だったら何とかしてみろ!」

といい始め、どんどん険悪になる一方。
ついには仲の良かったはずのかいじゅうたちは、バラバラになってしまう。


今までの楽しさがウソのように、一気に暗くなるマックス。
そして一匹のかいじゅうにつぶやくように話しかける。

「本当は僕、王様なんかじゃないんだ」

そう告げると、再びボートに乗り込み島を出て行こうと決める。


多分ね、8歳の少年にとって、自分のついたウソを認めるって、とんでもなく勇気がいることで、もの凄い恐怖だと思うのよ。
しかも、「王様じゃない」というのはウソでもあるし、同時に自分が「ある」と信じてたモノを否定することにもなるわけだから、自分の存在が消えてなくなっちゃうくらいの怖さだと思うの。

こんなに辛いことってあるかい?


島を出て、海を渡り、気づけばまた家のそばに戻ってきたマックス。
何日も旅をしてたはずのなのに、家を出てからは不思議と時間が経っていないようで、心配していたお母さんもマックスの姿を見て優しく迎えてくれる。

お母さんの作った温かいスープを飲み、マックスは笑顔になる。



ハッキリ言ってね、こんなの子どもが観ても絶対に楽しくないですよ。
日本語吹き替えとかでバンバン上映してますけどね、意味が分からないでしょ、子どもがこれ観ても。
そもそもかいじゅうたちもビジュアル的に可愛い要素ゼロだしw

まー分かんないんですけど、これは女性も理解できないかもと・・・
色んな感情が入り混じった様子ってのは男女問わず、幼い頃に経験してきてるだろうけど、それを何か超越した「王様」っていう存在があると思ってるのは男子だけなんじゃいかな?
(違ってたらゴメンナサイ)


序盤にマックスが学校の先生から「太陽はいつか消えてなくなる」って教わるんだけど、これってもの凄い恐怖だと思うんですよ。
大人になると「想像できる怖さ」の方が怖いけど、子どもの時って「想像できない怖さ」の方が遥かに怖いと感じてました。
「太陽が消えてなくなる」なんて、大人でもなかなか想像できないけど、8歳の少年からしたらとんでもなく恐ろしいくて不安なことだと思う。

それが「王様」ってモノが無い怖さとかに繋がってくるんじゃないかと。


あとラストの話をすると、別れ方が完璧じゃないんですよね。
みんなとちゃんと仲直りして、別れられないんですよ。
「そこがダメ!」っていう意見も結構あるみたいだけど、実際に経験する別れってそんなもんじゃないですか?
お互いに分かってたり、許してるつもりでも、実際に綺麗にさっぱり別れられる事ってそうそう無いと思う。
子どものように感情が先行する年代はなお更だし、男の子ってさらに複雑ですよ、プライドとかもあるからw



とにかく、そういうありとあらゆる面でツボにハマりまくってしまい、上映時間中はずっと鼻水垂れ流しで号泣でした。
泣きすぎて隣の人に迷惑かけたかもしれないって久しぶりに思ったw

ま、あくまで僕の読み解きなんで、監督は全然違うこと思って作ったのかも・・・

それでも充分に拾える作品ではあると思います。


少なくとも僕の中では超大傑作!

今年の3本目ですが、通年でベスト3を争うのは確実な作品です!


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そんな感じなんですが、またこれも書くのに時間がかかったレポでしたなw

先日書いた『(500)日のサマー』同様、普段はどんなに面白い映画を観ても、そこまで鑑賞後の生活に支障をきたす事はないのですが、あまりにツボにハマってしまうと全然レポが書けなくなってしまいます。

しかも世間的には全く評価が良くないので、それを打ち消せるように自分なりにテンション上げて臨むため、余計に時間がかかってしまうのね・・・

まぁ、別に「号泣」とまでは言わないまでも、この作品を観て同じような拾い方をしてくれた人とは朝まで飲み明かせる気がするわ♪

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