2009年4月30日木曜日

ゲン@ 劇場:『グラン・トリノ』

ゲンです。
またとんでもなく素晴らしい作品に出会えました!

『グラン・トリノ』@丸の内ピカデリー(4/29鑑賞)

『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を務めた人間ドラマ。
朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい主人公が、近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、自身の偏見に直面し葛藤(かっとう)する姿を描く。

数多くの作品に出演し、長い間アメリカ映画界の重鎮として活躍してきたクリント・イーストウッドが、今回を最後に俳優業を引退し、製作側に専念すると公言していたので注目してましたが、公開されるないなや非常に高評価で非常に楽しみにしておりました。

素晴らしい! 最後の超大傑作! これ以上の引き際がありますか!?

初めに言っておきますが、今年1月公開の『ヘルボーイ2』を抜きまして、今年鑑賞してきた全47作品中で暫定1位で御座います!
完璧です! 非の打ち所が無い!

クリント・イーストウッドの作品を全て観てきたワケではないので、大きな口を叩ける人間じゃないんですが、彼が映画界で長年活躍し続けてきて、78歳を迎えた今でさえ熱心な製作活動を続け、観客と批評家の両方から受け入れられているコトは十分に分かっています。
そんな彼が、俳優業を引退すると言った今だからこそ、むしろ今しか出来ない、とてつもない強いメッセージとエネルギーを感じる作品でした。

奥さんを亡くし、他人とのつながりを極端に嫌い、世間に対して偏見に満ちた目で物事を見る偏屈な老人と、隣に越してきたアジア系移民の家族との交流を描いた作品ですが、とにかくとにかく震えました。

クリント・イースドウッドというと、映画の中でも西部劇で活躍してきたアメリカを代表するアメリカ人の英雄的な映画俳優という印象が強かったんですが、そんな彼がまさに2009年(米国公開は2008年)に78歳だからこそ表現できる全てが詰め込まれた、まさに集大成のような作品なのではないでしょうか。

傍から見ると厄介で頑固で偏屈な老人ではありますが、戦争を経験し、自分なりに「生と死」というモノをしっかりと捉え、現在のアメリカが失ったモノ、そして受け入れなければいけないモノを誰よりも深く理解している、非常に人間味の溢れる役柄であったと思います。

現在の始まったことではないですが、アメリカって混沌としてるじゃないですか?
迷走してるじゃないですか?
クリント・イーストウッド自身もそんなアメリカに生まれ、アメリカを好きになり、アメリカに失望してたと思うんですが、でもやっぱり、そんなアメリカが好きなんだ!というようなメッセージを強く感じました。
変化すること・受け入れることは、過去を否定するかも知れないことだから、辛いだろうし苦しいだろけども、でもそれを認めて前に進むべきなんじゃないか・・・
そして若い世代に進むべき道を作ってあげるべきなんじゃないか・・・

そんな風に僕は受け取れました。


何度も言ってますが、これで俳優業引退っていうのが、悲しくもありますが、この作品の、そしてクリント・イーストウッドというアメリカを代表するの俳優が伝えるメッセージ・・・
言い方は悪いかもしれませんが、遺書のようなモノであると思いました。

クリント・イーストウッド監督作は、今年先に公開された『チェンジリング』でも十分にキテたんですが、それを軽々と超える大きな衝撃を受けました・・・
このまま行けば上半期は1位、通年でもトップ3には入る作品ですね。

とてつもなく重く、とてつもなく強く、とてつもなく優しいメッセージ。

エンドロールのあと、劇場が明るくなってもしばらく動けませんでした。

2009年4月28日火曜日

ゲン@ 劇場:『レイチェルの結婚』

ゲンです。
世間様はGWだとはしゃいでますが、僕は1日だけしか休めません・・・

『レイチェルの結婚』@Bunkamura ル・シネマ(4/23鑑賞)

ある一家の結婚式を中心に、優等生の姉と問題児の妹の抱える問題や、彼女たちを取り巻く人々の微妙な関係を包み隠さず映しだす。
監督は『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ、主演は『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ。

本年度アカデミー賞でアン・ハサウェイが主演女優賞でノミネートされた作品だったので、期待して観に行ってきました。

一皮向けたアン・ハサウェイの演技力! 悲しみは癒えないが、乗り越えられる!

いやー想像以上に良かったです・・・泣きそうでした・・・
とにかくアン・ハサウェイの過去に例の無い演技力に脱帽です。

姉:レイチェルの結婚式を直前に控えたある日、問題児の妹:キムが更生施設から戻ってくる。
暖かく迎えてくれる家族だったが、相変わらずのキムの言動により、徐々に明らかになる家族の溝と影。

崩壊していた家族の再生というと、『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』などのウェス・アンダーソン監督作品が思い浮かびましたが、この作品はもっとリアルに生々しく描いていました。
全編ハンディカムで撮影されてるせいか、非常に細かいカメラワークで、まるで出演者の隣にいるかのような空気感を常に感じたのが印象的でした。

破天荒な問題児のキムのおかげで、一向にまとまらない家族。
キムの過去が明らかになり、家族全員が忘れられない辛い思い出が蘇り、崩壊寸前までいってしまう。
それでも近づいてくる姉の結婚式。
そんなバラバラな状態で、一体どうなるのかと思いましたが、これが不思議と何事も無かったかのように、笑顔の溢れる結婚式になります。
他人同士の親兄弟・友人を、あっという間に同じ家族・知り合いにまでの仲にしてしまう「結婚式」というのものが、いかに無償の愛情に満ちたコトなのかと言うのが、非常に上手く描かれているのにとても驚きました。


問題児の妹:キムを演じる主演のアン・ハサウェイですが、かつてのお嬢様・優等生のイメージを振り払うような役だけに、どんな風になるのかと思ってましたが、ホントに素晴らしいですね。
生意気で我が強いながらも、どこかに影を感じさせ、誰よりも愛情を欲してるという難しい役でしたが、今回のキャラで彼女の魅力がさらに大きくなったと思います。
暗い色のショーカットの髪も可愛いし♪
次回作の親友同士が互いの結婚式の邪魔をするコメディ『ブライド・ウォーズ』も楽しみにしてます!


地味ながらリアルなアメリカを描いた、意外なほどに素晴らしい秀作!

アン・ハサウェイの演技と共に、脚本にも拍手を贈りたいです!

2009年4月27日月曜日

ゲン@ 劇場:『スラムドッグ$ミリオネア』

ゲンです。
GWを前に春の新作ラッシュ、大変です・・・

『スラムドッグ$ミリオネア』@TOHOシネマズ シャンテ(4/23鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ

『トレインスポッティング』『28日後…』など多彩なジャンルで観客を魅了する、鬼才ダニー・ボイルの最高傑作といわれる感動的なヒューマン・ドラマ。
インドを舞台に、テレビのクイズ番組に出演して注目を集めたある少年が、たどってきた生い立ちと運命の恋をボリウッド風の持ち味を生かしながらつづっていく。

当初は劇場公開すら予定されずにビデオスルーしかけた作品が、あまりの評判で劇場公開、徐々に話題が広がり、ついには本年度アカデミー賞の作品賞をはじめ最多の8部門を獲得してしまった、まさに大成功の作品。
嫌でも期待が高まります。

スラムドッグがつかんだ、夢と希望が溢れる秀作! 

インドのスラム街で育った青年:ジャマールは、世界最大のクイズショー「ミリオネア」で、ラスト1問まで辿り着く。
無学なはずの彼は、何故そこまで辿り着けたのか?
 A:インチキした
 B:ラッキーだった
 C:天才だった
 D:運命だった

どんなに難しい問題も難なく答え、順調に進んでいく青年:ジャマール。
最後の1問を残し生放送は終了、最後の1問は翌日に持ち越されるが番組を終えた直後、無学なはずの彼がインチキをしたのではないかと警察へと連行され、取調べを受ける。
そこで徐々に明らかになっていく、スラム街で育った厳しく辛い過去。
しかし、その人生の経験全てが、クイズの答えを導いていた・・・


言ってしまえば、非常に都合が良いです。
自分の人生の経験が、全てクイズの答えになっているなんて。
まずそこを認められるかどうかで、この作品の評価が変わってくるかと思いますが、僕は気にしてません。
だって、映画ですからねw

で、それを踏まえた上で、徐々に明らかになっていく彼の過去ってのが、本当に不憫で苦しく辛い・・・
普通、クイズをどんどん答えて進んでいけば、嫌でもテンションが上がって笑顔になっていくはず。
しかし彼にとっては、答える度に辛かった過去がフラッシュバックされので、観ているコチラも苦しくなっていきました。
両親との別れ、人売りからの逃亡・・・
クイズが進むにつれて上がる賞金と反比例するように、彼の辛い経験は積み重なります。

でも、そんな苦境に陥りながらも、彼が決してめげなかったのは、幼少期に分かれた幼なじみを何とかして見つけたかったから。
彼女を見つけたい、彼女を救いたい一心で生き抜いてきた人生の経験全てが、クイズの答えになり、彼を億万長者へと導きます。

非常にハリウッド的な展開ではありますが、ほとんどのシーンがインドロケ、カメラも手持ちのような生々しい映像が多く、音楽や画面の色使いもインド色の強いオリエンタルな空気で、外国(米国以外)の作品のような印象が強かったです。


とてもいい話ですし、夢と希望が溢れる素晴らしい作品だと思いましたが、文句無しの満点か?・・・と問われると、言いたいコトが幾つか・・・

まず一番気になるのは、やはりラスト。
結果から言うと彼は全問正解するのですが、最後は正解しなかった方が良いんじゃないのかと・・・
結局彼の目的は賞金では無かったのだし、そこまで勝ち進んだことで本当に手に入れたかったモノはつかんだワケだし、「全問正解=人生の成功」みたいな分かりやすい形にする必要はなかったのでは無いかと・・・

あとそういった流れでどうしても気になるのが、アメリカ的な目線。
米国人監督が撮ってるので仕方ないと言えば、仕方ないんでしょうが、全体から受ける印象がどうしてもインドを上から見てるような気がしたのが、どうしても気になりました。
いくらスラム街出身の青年だからと言って、TV番組の司会者や警察が過剰に偏見に満ちた目で描くのは、本国の人が見たら気持ち良い思いはしないんじゃないのかなぁ・・・
これが自国で作られた作品だっていうのなら、ある意味で自虐的というか、理解を踏まえた上で作られてると思うのですが、米国が作ることで意図的な悪要素が入れられてるんじゃないのかという疑心暗鬼に陥ってしまたのが、ちょっと残念でした。


なので、封切り前から大騒ぎしてた自分としては、非常に申し訳ないですが、非常に素晴らしいとは思いつつも、この作品には文句無しの5点満点はつけられないですね・・・

確かに数多くの映画祭で評価される理由は理解できますが、アカデミー賞の作品賞まで取ってしまうと、やっぱりアメリカ主義の作品なんじゃないのかさえ、思ってしまう自分が悔しい・・・

アカデミー賞にノミネートもされず、単館系でひっそりと公開されてたら、間違いなく5点満点だとは思うのですが・・・

うーん・・・ちょっと話題が大きくなり過ぎたかも・・・・

ゲン@ 劇場:『ミルク』

ゲンです。
暑くなったり涼しくなったり、忙しいですね。

『ミルク』@シネカノン有楽町2丁目(4/22鑑賞)

1970年代のアメリカで、同性愛者であることを公表して公職に就いたアメリカ初の政治家ハーヴェイ・ミルクの生き様を描く伝記ドラマ。
監督は『エレファント』のガス・ヴァン・サント、主演はショーン・ペン。

本年度アカデミー賞で作品賞他8部門にノミネートされ、主演男優賞と脚本賞を受賞した作品ということで、注目しておりました。

素晴らしい! ショーン・ペンの熱演に泣いた!

まー良かったですわー
社会的弱者である人々の為に立ち上がり、自らゲイであることを公表して、市民の理解を得て初めて公職に就いた政治家の実話に基づく作品ですが、とても衝撃的でした。

初めは単に同性愛者を社会的に撤廃するような法案に立ち向かう為に、政治活動を始めたミルクでしたが、仲間が増えるにつれ、高齢者や労働者など社会的弱者からの多くの指示を受け、見事に市政執行委員への当選を果たしますが、成功に至るまでには数多くの危険や苦労があり、当然簡単な事ではありませんでした。
執拗な嫌がらせや暗殺予告など、命の危険を感じながらも活動を続け、その希望を広げていきます。

就任後、同性愛者の教師は解雇できるという法案の住民投票が全米で行われ、この法案の反対行動を展開します。
万が一、この法案が通ってしまえば、同性愛者は教師に限らず、様々な職業分野に波及するばかりか、今度は障害者や人種など、マイリティの人々全体にも影響が及ぶであろうと考え、ミルクは精力的に活動を続け、結果的にアメリカ全土の賛同を得て、否決を勝ち取ります。


自分たち(ゲイ)の為に始めた活動が、やがて大きな輪になり、波になり、社会全体にまで広がっていく。
この「希望」がしっかりと大きくなり、伝わっていく様子ってのは、本当に素晴らしいことですね。
出身や経歴に囚われない、信念で社会を動かすってのが本来の政治なんだろうなと改めて思いました。

しかし、ミルクは就任後、1年も経たないうちに、凶弾に倒れてしまいます。
しかも彼を暗殺したのは、反同性愛者の活動家なんかではなく、同じく市政執行委員に当選したダン・ホワイト。
ミルクの華々しいくも強引な政治手腕に違和感とストレスを感じていた彼は、政治的にライバルだった相手を逆恨んで射殺されてしまいます。

こんなにも実力的で活動が期待されていたミルクが、同僚に殺されてしまうっていうのが、凄く悲劇的で残念な最後だなぁと・・・


主人公のミルクを演じているショーン・ペンですが、同性愛者である事をさらけ出し、偏見にも負けない明るく愛嬌のあるキャラクタを見事に演じきっておりました。
ゲイの役なので、男性とのキスシーンやベットシーンも多くあったのですが、その辺もリアルにしっかりと演じておりました。

ミルクのボーイフレンド役には、『スパイダーマン』シリーズで主人公:ピーター・パーカーの親友:ハリーを演じていたジェームズ・フランコが出演しておりますが、彼もまた濃厚なゲイシーンをリアルに演じておりました。

そして、彼の政治活動をサポートする若者には、エミール・ハーシュ
彼はショーン・ペンが監督した『イントゥ・ザ・ワイルド』で主演していたので、きっとショーン・ペンのお気に入りなのでしょうw
今回の難しい役どころも見事に演じきっておりました。

また『ハイスクール・ミュージカル』シリーズで、お騒がせ姉弟の弟:ライアンを演じていたルーカス・グラビールもスタッフ役で出演しておりましたが、言われて見れば彼もちょっとゲイっぽいかもですねw


作品が作品なので、生々しいシーンもあるので、苦手な人にはちょっと辛いのかも知れませんが、それを役者さんが演じてるって考えると、凄い人々が集まったなぁと思いました。

「大作」と言ってしまっていい規模だとは思いますが、凄く丁寧に自分物を描いていますし、実話であるので、感じる衝撃と言うのは大きいと思います。

彼がもしまだ生きてたら・・・と考えると、アメリカはもう少しいい国になっていたのかも知れないですねぇ・・・

2009年4月18日土曜日

梅太@ 劇場:『トワイライト』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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●吸血鬼と少女の禁断の恋:『トワイライト
 監督はキャサリン・ハードウィック。
 主演にクリステン・スチュワートとロバート・パティンソン。

 僕は、ヴァンパイアとかそういうの大好きなのですよ。
 フランケンシュタインとかの怪物もの大好きなのですよ。
 オカルト最高。

 で、この作品はヴァンパイア・・・・を設定のみに使った学園ラブストーリーだった!
 いや、話には聞いていたのですが。
 でもここまで学園色が高いものだとは思ってませんでした。

 ・少年と少女出会う
 ・少女は少年のことがちょっと気になる(好きというわけではない)
 ・少年は無反応
 ・数日後、二人は会話をする:ちょっと距離が縮まる
 ・少年が少女を助ける。少女は少年の秘密を知る:急接近
 ・食堂にて、少女が落としそうになった食材を、少年が超絶反射神経でキャッチ:スパイダーマン
 ・なんだかんだで二人の距離が離れる
 ・なんだかんだでまた縮まる:ラブラブモード発動
 ・少女、敵に襲われる
 ・少年、敵を八つ裂きにして燃やす
 ・ハッピーエンド 

 
 ほらね、王道中の王道。
 若干違いますか。

 オカルト大好き人間からすると、そっち方面では物足りない気もしますが、学園ラブストーリーという視点で見ると、それはそれで中々楽しいものであったのかなと思います。

 なんといっても、ヴァンパイアに野球をやらせる!なんてそんなこと、誰が思いつきますか。
 会場大爆笑ですよ。
 いや、僕だけかな。

 劇場では、やはり女性の客が大半を占めていました。
 年齢は様々でしたが。
 男だけ・・・の人も、それなりにいた感じがします。

 でも、クリステンが出てくるたびに「クリステン良いなぁ」とか思っている変態は、僕くらいだったでしょうね。
 で、物語の大半はクリステンの視点から描かれるので、上映時間の大半は「クリステン良いなぁ」と思ってたことになりますね。
 つまり変態ですね。

 クリステンの次回作『ADVENTURELAND』は、見事にDVDスルーされた『スーパーバッド』の監督の最新作ですが、是非公開して欲しいです。



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 さて、実はもう続編が決まっていて、『トワイライトサーガ』というプロジェクトとして動いているそうです。
 第二弾はなんと、ダコたん、ことダコタ・ファニングが出演するそうで。
 まず女優の抑え方という点では、このプロジェクトチームは良い仕事していると思います。

梅太@ 劇場:『スラムドッグ・ミリオネア』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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問題:
 スラム育ちの無学の少年が、なぜ最後までクイズに正解できたのだろうか。

 A:インチキした
 B:ラッキーだった
 C:天才だった
 D:運命だった


●スラム育ちの少年が一夜にしてミリオネアに:『スラムドッグ・ミリオネア
 監督はダニー・ボイル。


 上に記した問題は、開幕後、暗転の中、白字で浮かび上がるもの。これがストーリーの核。
 もうこの出だしの演出から若干鳥肌モノだった。

 順調に問題に正解していく主人公、しかし無学の少年が答えられるわけが無いと疑いがかけられる。
 しかし問題の答えは、彼の人生の1コマ1コマに書き込まれていたのだ。
 彼は答えを知っていたのだ。不正をしていたわけではないのだ。

 そして最後の問題は、彼の人生の原点とも言える問題。

 最後の問題が出題された瞬間から、僕はもう涙してしまって。
 「そこでそう来るか! ウマすぎだろ!!」と。

 ラスト。もういちど提示される問題:「スラム育ちの無学の少年が、なぜ最後までクイズに正解できたのだろうか」
 そして正解が提示される。

 ここで気付く。
 最初に出題された問題は、ストーリーの核の紹介というだけでなく、僕たち観客に出された問題でもあったのだ。

 終盤の絶妙な運び方。そしてオチ。

 この映画すごい。

 そしてどうでもいいかもしれないけれど、「D:運命だった」が「It is Destiny」でなく「It is written」なのがすごく良い。

 間違いなく今年のmyTOP5には入ると思います。

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 映画っていうのは素晴らしい。
 僕は素晴らしい映画に出会ったとき時、「映画があれば何もいらない」と思うことがある。
 いやもちろん、衣食住がなければ人間生きていけないわけだが、そういう揚げ足とりはここでは抜き。

 本当に素晴らしい作品でした。

 隣の席に座っていた人、後半騒がしくてごめんなさい。
 テンション上がりすぎてしまって。

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 余談。

 今日はTOHO錦糸町で鑑賞しました。
 しかし購入しておいた前売り券が、シャンテ専用。

 つまりは今回、前売り券は未使用。
 もう一回観てきます。

 さてここで問題。

「僕は何故、錦糸町で鑑賞したのでしょうか」

A:久しぶりに錦糸町に行きたかった
B:前日の飲み会で飲みすぎて、遠出したくなかった
C:他の用事との兼ね合い
D:運命だった





 正解はD以外。
 

2009年4月14日火曜日

ゲン@ 劇場:『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』

ゲンです。
今日からは平年並みの気温に下がるようですね。

『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』
@ヒューマントラストシネマ・渋谷 文化村通り(4/10鑑賞)

※先に観た梅太君の感想はコチラ

有名私立高校を退学処分になった金持ち高校生チャーリー・バートレットが、転校先のハイスクールで新たな騒動を巻き起こす青春ストーリー。
監督は『40歳の童貞男』の製作総指揮、ジョン・ポール。

米国でティーンズ向けラブストーリー以上に、強さ発揮するのがティーンズコメディ!
おバカなストーリーでも決して揺るがないドラマ感を楽しみにしておりました。

コメディだけど、グッと来る! 若者の悩みは、若者にしか分からない!

もーねーまたおバカコメディ観て、泣きそうになっちまいましたw

金持ち高校生の主人公:チャーリーは、明晰な頭脳を持っていながら、有名な私立学校を次々と退学させられる。
何故なら、生徒相手に偽造免許証を売りさばくなど、ついつい学校でリスキーなビジネスをしてしまうから。
そんな彼が最後に辿り着いたのは、地元の寂れた公立高校。
大人しく過ごせばいいものを、かかりつけの精神科医から処方された薬の副作用でハイになれることを知った彼は、悩み多き不良学生をカウンセリング。
その症状を方々の医者に“自分の症状”として診察してもらい、処方された薬を学生に売りさばくビジネスを始める。

と、ストーリーだけ追うとぶっ飛んだ話のようですが、実は現代の若者が抱える問題がもの凄く詰まってる作品であるように思いました。
ヤバい薬なんてモノは勿論ですが、親にも打ち明けられない悩みをかかえた若者というのも常に問題になるコト。
それに加え、症状を言われた医者がスグに「それは○○症だ!」と、薬を出してしまうのが一番のミソなんじゃないかと思いました。
確かに、実際に病気として立証されてるようなコトなんでしょうが、何にでもそれらしい理由をつけて「病気」として片付け、薬で解決しようなんてコトは、ホントに正しいコトじゃないと思うんですよね。
薬の作用で症状は軽くなるかもしれませんが、それは悩んだ末の結果を処理してるだけで、悩みの根本は全く解決してないですよ。

で、この話が凄いのは、そういった部分までもキチンと伝えてくれてるトコロ。
噂が噂を呼び、彼の元には薬目当てに多くの生徒が相談に来ます。
しかし、薬の売買がバレてしまい、もう薬を売ることは出来なくなったと患者?wに伝えるのですが、それでも相談だけで構わないと、彼の元に来る人数は全く減りません。
そして、彼と相談することで、それぞれの生徒が抱える問題が、少しずつ解決していくんですよ。

ホントにおバカなとんでもない話なんですが、こういう“キモ”になるような部分をちゃんと押さえてくれる作品ってのは、凄く好きなんですよねぇ!
特に一番グッと来たのが、主人公が最初に精神科医にかかる理由になった、転校初日にケンカをふっかけてきた不良少年の悩み。
実は気になる女子がいるんだけど、その娘は「誰とでも寝る」と言われるような軽い女子。
でも、そんな彼女が本気で好きなんだという不良は、チャーリーと相談した結果、映画に誘う為に花束を持って彼女の家の前に現れますw

チャーリーが素晴らしいのは、不良少年や素行の悪い生徒だけでなく、クラスの目立たないヤツや、変わり者で周囲から避けられているような生徒にも平等に触れ合い、気さくに話しかけ、悩みを解決していく姿。
実はその理由は「人気者になりたいから」というもの凄く単純な発想なんですが、ビジネスだったカウンセリングがキチンと実を結び、全ての生徒から愛される人間に成長していきます。
こんなに綺麗にまとまるなんて、ホントに素晴らしいなぁ・・・

主人公:チャーリーを演じるアントン・イェルチャンは、若干20歳ながら非常にシッカリとした演技力で、今後も『ターミネーター4』『スター・トレック』のリメイク版にも出演しているので、要チェックですね。
彼が転校する公立高校の校長役を、『アイアンマン』ロバート・ダウニー・Jr.が演じておりますが、校長でありながらアル中で、自分の学校の生徒である娘とも全く上手く行っていないというダメ親父の設定が、彼のイメージに合っていて、非常に良かったですw


安っぽいドラッグ問題なんかに向いてしまいがちなテーマを、コメディを介して、見事に若者へのメッセージを込めた秀作に仕上げておりました。

単館系で公開規模はかなり小さいですが、とても面白い作品です!

2009年4月12日日曜日

ゲン@ 劇場:『トワイライト~初恋~』

ゲンです。
もはや暑いですね。

『トワイライト~初恋~』@渋谷HUMAXシネマ(4/10鑑賞)

世界的ベストセラー小説を映画化したラブストーリー。
人間の女子高生ベラと美しきバンパイア、エドワードの禁断の恋の物語が展開する。

人気原作(らしい)の映画化で注目されており、全米では初登場1位となかなかの期待作でしたので、一応劇場へ観に行ってきました。

夢見る10代が好きそうな話だなぁ~w

ここ数年なんですが、米国ではティーンズ向けの映画で、それも少し大人びていて、若い子が背伸びしてみるような作品がヒットする傾向にあります。
この作品もそんなような印象だったので、そこまで期待はしていなかったのですが、「原作がベストセラー」という謳い文句が気になり、実際にそれでも面白い作品もたまにあるので、とりあえず否定する前に確かめてみようとw

確かにティーンズの恋愛モノの流れみたいなのは薄っぺらさを含みつつ、そこに“ヴァンパイア”っていうクラシカルな要素を足すことで、ストーリーにちょっと深みが出てるかなぁと感じました。
まぁ、あくまで児童小説チックなので、吸血鬼云々の細かいルールみたいなのはなくて、全ての要素が美化されてるのは気になりましたがw

木々の多い田舎町が舞台だとかそんなモノなんですが、多少なりともクラシカルな文化が根付いている設定なので、日本で言うとこの「腐女子」みたい痛さはそこまで感じませんでした。


あと個人的な男子目線で言うと、主人公:ベラを演じるクリステン・スチュワートは、幸薄系の顔つきでツボでした。
ただ、その彼女が魅かれるヴァンパイア役のロバート・パティンソンは、やたらと眼力が強すぎるのと、白過ぎる肌(恐らく、ヴァンパイアの為の化粧)が妙に違和感があって、最後まで馴染めませんでした。
でも、女子から見たらお似合いのカップルなのかも・・・


原作は3部作で、早くも続編の製作も決まっておりますが、説明部分を省ける続編の方が面白くなりそうなんで、気にはしてきます。

梅太@ DVD:『グーニーズ』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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 実家に帰ってやりたかったこと。
 それはうちのチビっ子たちと映画を観たかったということ。

 発端は、昨年公開された『崖の上のポニョ』。
 様々な感想を読んでいると「子供にはわかりづらい」とか「子供の知らないことを盛り込むな」とか、いろいろありました。
 確かにそういう部分もあったかもしれませんが、子供は子供なりに、わからないなりに楽しんでいると僕は思うのですよね。
 子供の感想を、大人のものさしで図ってはいけないと思うわけです。
 それに「わからないこと」っていいますけれど、分からないから、その映画を通じて知りえる事というのもありますよね。
 つまりはそれが勉強ということで。

 『サウスパーク』では、
 「映画館に行こう そこには真実がある 親が教えないことを教えてくれる」
 と言っているではないですか。
 (いや、実は観たこと無いけれどこの言葉だけは知っている)
 
 事実、僕は映画で、親若しくは学校で教えないことを沢山教えてもらいました。
 世の中には素敵な女性がいっぱいいる!とか。
 あ、そういえば昨日は『ある公爵夫人の生涯』で、キーラ・ナイトレイを観てきました。素敵だった。
 
 はいはい。脱線。

 要は、子供の”生の感想”というのを聞いてみたかったのです。

 そして何かこう、なんと言うのですか、その子にとって「映画を観た」ということが何かのキッカケとなればいいかなと。曖昧ですけれど。
 というのも、僕の行動源は、映画なものですから。
 僕は「あ、英語カッコイイ」と思ったから英語を勉強しているし、歴史なんかも勉強してみたり。実は読書も、映画をキッカケにという部分が多少あります。
 
 前置きが長くなりました。

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・作品:『グーニーズ』
・対象:小学4年生の男の子

 この作品は僕の映画人生の原点ともいえる作品。
 僕は小学校低学年の時に『~曜ロードショー』で観て、親が録画してくれていたので、その後浴びるように観たわけですね。
 その回は、知っている人は知っているでしょうが、幻の吹き替え版です。

 今回はDVDでの鑑賞。
 あの幻の回を、DVD化してくれないかなぁ。

 現代の小学校低学年には、この作品がどう写るのか。
 今はCGの時代ですから、チープに見えてしまったりするのだろうか。

★★★ 開始 ★★★

 久々に鑑賞してみると、冒頭部分がよくできていますね。
 フラテリ一家の脱獄、そして町中でのカーチェイスがあるわけですが、そのカーチェイスを進行させながら主要人物の人となりを紹介しきってしまう。
 う~ん、お見事。

 僕はOPテーマが流れた瞬間からハイテンションなのですが、はたしてチビっ子はどう感じるのだろうか。
  
 うん、いきなりの質問攻め。
 僕としては、徐々に頭の中で補完して欲しかったのだけれど、無反応よりは全然OK。
 特に「へぇ、刑務所ってこうなってるんだぁ」という一言からは、中々の手ごたえを感じました。

 あと、主要人物を一気に紹介する冒頭部分では「ねぇ誰が主人公なの?」という質問もありました。
 「観てれば分かるよ」で返しました。

★★★ 中盤 ★★★

 冒険部分になると、喰い付くように観ていましたね。
 「お~、すげえ」とか、すごく単純な一言なのだけれど、そのリアクションが返ってくることが何となくうれしい。

★★★ 終盤 ★★★

 冒険から無事帰還した主人公たちは、それぞれの家族と再会します。
 そこで、こんな会話があります。

 マイキー「ごめん、もう少しで宝が手に入るところだったのだけど、自分たちの命を最優先しちゃって」
 マイキー父「いいんだ。お前たちが帰ってきてくれれば。お前たちがいてくれれば、俺は町一番の大金持ちの気分さ」

 ここで、イヤミったらしいトロイ父が、

 「いやいや、町一番の金持ちは俺だし」

 というのですが、そこは置いておいて。
 この会話を聞いたチビっ子は、「おお、いい話だ」なんて呟いてしまって。


・結果と考察:

 いわゆるファミリームービーでありますし、アドベンチャーものであるから、ハズしはしないなと思っていました。
 結果、とても楽しんでもらえたのですが、何よりうれしかったのは数日後会った時に「あ~、グーニーズ面白かったね~」と言ってくれた事。

 僕みたいに映画を毎週毎週観て、良い感じの感想を書こうと日々狙っている人間にとって忘れているものを、彼は教えてくれたような気もします。
 まずは単純な「あ~すごかったね~」「あ~楽しかったね~」が大事、というより、それを大切にしていくべきなのだなと思いました。

 また彼の中ではわからない要素なんかもあったようですが、そういう部分は今後、うまく補完していってくれればいいなと考えています。
 質問するなり、調べてみるなり。


 第二弾はまだ決めていないですが、GWあたりにやろうかなと思ってます。

 

2009年4月10日金曜日

ゲン@ 劇場:『レッドクリフ Part I &II』イッキミ

ゲンです。
今日はとても暖かかったですね。

『レッドクリフ Part I&II』イッキミ@TOHOシネマズ 日劇(3/9鑑賞)

シリーズモノの新作の時にTOHOシネマズがたまに企画する、シリーズ全作を一度に上映する「イッキミ」ですが、今回初めて参加しました。
一般公開の前日の開催なのに加え、ジョン・ウー監督の舞台挨拶つきともなれば、行くしかないでしょう、丁度休みでしたしw

前作も劇場で観ていてなかなか面白かったし、今回も前売り券をかなり前に買ってたんですが、それを無駄にして行ってきましたw
でも、日劇の大きなスクリーンでシリーズを連続で観れるなら、余計にお金をかける価値は十分にあるでしょう♪

まずは11時過ぎから「Part I」の上映。
前作を観たのも去年11月の公開初日で、忘れていた部分も結構あったので、直前に劇場で復習できるってのはホントにありがたいですね。
「ずっと関羽のターン」な無双っぷり素晴らしいし、何より趙雲がイイ!

で、次回作の予告編までもバッチリ流し、20分の休憩を挟んでいよいよ「Part II」の上映!

面白ぇー!!! 前作よりもさらに面白ぇー!!!

とりあえず、今年劇場で観た作品の中で、「劇場で観て良かった!」と一番思った作品でした。
この迫力は劇場の大きなスクリーンで観ないと損ですよ、マジで。

前作の「八卦の陣」の戦闘シーンも十分に迫力がありましたが、今回の水上戦→陸上戦はそれ以上にヤバいですねぇ・・・
燃やし過ぎだろー、孔明さんw
壮絶だわー!
水上戦のシーンの撮影中に、スタントマンが事故で亡くなったそうですが、スクリーンで観る限りでもかなりのコトになってましたよ・・・
そんで散々燃やした挙句の陸上戦の凄まじさたるや、もーね、何だろね・・・圧巻ですよ・・・

僕は元々、「三国志」自体に思い入れのある人間ではないので、ストーリーも詳しくないのですが、今回の映画は原作とは少し違ってるようですね。
なのでよく分かりませんが、個人的には展開も読めず、ドキドキして楽しむことが出来たと思います。

キャラクタですが、周瑜と孔明さんを中心に話は進んでくのですが、僕の中で武将と言えば、関羽のイメージが非常に強かったんです。
実際この映画でも、かなりの猛将として活躍しておるんですが、それ以上に惹かれてしまった武将が趙雲なんですよ。
もーマジでアツいよ、趙雲!
この作品の中で、前後編に渡って最も戦場で活躍してる武将だと思います。
槍を振り回して敵を次々となぎ倒す強さは勿論、ストーリー的にも非常に良いポジションにおりまして、見せ場が多すぎました。

ネタバレになっちゃうかも知れませんが、前作の「八卦の陣」の時に、周瑜が身代わりになって、趙雲を助けてくれてたんですよ。
個人的には、もうこの時点でグッと来てたんですけどねw
だっていくら同盟を組んだとは言え、身を削ってまで趙雲を助ける義理はないワケですよ。
で、今回はその恩をバッチリと返してくれるワケですよ。
男だねぇー趙雲! 惚れるわー♪

それと女性の活躍ってのも、映画オリジナルだそうですが、周瑜の妻:小喬と孫権の妹:尚香の活躍は、非常にドラマチックで面白かったです。

あと日本人的な目線で言うと、孔明みたいな非常に重要な役を日本人が演じてるってもは素晴らしいですね。
周瑜の部下で、水軍を統率する武将:甘興を演じる中村獅童さんもとても重要な役で、見せ場もタップリありました。
劇中の音楽を担当されてる方も日本人ってのもいいですし。


前後編をまとめて一言で言うならば、ド派手なアクションと壮大な世界観で迫力満点の「まさにジョン・ウー!」な作品なんですが、全てが良い方向に転がって、非常に面白い作品になっていると思います。

公開前は不安もありましたが、フタを開けてみれば、劇場で観るべきクオリティに見事に仕上げてきたアクションの腕は、ホントに素晴らしいです。

合計すると5時間近い上映時間ですが、それだけのボリュームがあっても決して飽きない、見事な作品だと思いました。
アジア以外では、登場人物が多くて複雑なのが懸念され、2作を2時間半ほどにまとめたモノを公開する予定だそうですが、絶対それはツマらないだろうなぁ・・・
まぁ、アジアでの成績だけで十分に元が取れてるので、余計な心配ですがw

ジョン・ウーの次回作は、中国を舞台にした恋愛ドラマのようですが、そろそろ「メトロイド」の実写映画化を進めていただきたいですw

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「Part II」の上映が終わり、いよいよジョン・ウー監督の登場!
思ってたよりも小柄で、優しそうな人でしたw

インタビュアーの質問にも、もの凄く丁寧に答える監督。
ていうか、思い入れが強すぎてコメント長すぎでしたw
ハリウッドの監督だったら、直接本人のコメントで何となくは分かりますが、中国語だから通訳を通さないと全く分からないしw

でも2作まとめて“イッキミ”というのは、さすがに監督も珍しいのか、「上映時間が長くて疲れてませんか?w」と、観客の心配もしてましたw

確かに疲れてたけど、この贅沢を体感できるんだから、容易いモンですよ♪

2009年4月5日日曜日

梅太@ 劇場:『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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●みんなの人気者になりたい。男子高校生が綴る青春:『チャーリーバートレットの男子トイレ相談室
 監督は、長編初監督のジョン・ポール。
 主演は新鋭アントン・イェルチャン、カット・デニングス。

 実は昨年初頭(だったかな)に公開された予告編を観たときから楽しみで楽しみで。
 でもアメリカのティーンズムービーは、日本ではあまり優遇されないので期待しすぎず待っていたら、なんとこの度公開。
 うれしくてうれしくて。

 鑑賞は銀座シネパトスにて。
 そういえばここは『17歳の処方箋』が公開された場所だったなぁと思い出します。
 これもやはり、ティーンズの青春モノでした。

 この調子で、どんどんこの手の作品を上映していってくれることを願います。

 ~~~ 米ティーンズムービーの面白さ ~~~

 DVDスルーとなった青春モノの超傑作『スーパーバッド』。
 DVDスルーさえなかった『Accepted』。
 そして本作『チャーリー・バートレットの男子トイレ~』を観て思ったことは、アメリカのティーンズものは何でこんなにも面白いのだろうということ。
 
 これら優れた青春モノの共通点としては、「笑い」を大切にしていること、そして「ある一つの局面の終焉」を描いていることがあげられるのではないかと、最近僕は考えます。
 
 ある一つのことに集中していると、人はそれしか考えられない。
 それが全てだとさえ思ってしまう。
 青春時代ともなればまさに一直線。
 恋、友情。今が全てだろう!?とさえ思ってしまう。

 しかし人生には、この先様々な局面がある。今、「これがすべてだ」と思っていることでさえ、いつかは終焉を迎えてしまう。
 そのことに気付くのは、例えばハイスクールの卒業だったり、誰かのほんのささいな一言かもしれない。
 終焉に気付いてしまったときは寂しく思える。しかしそれは新たなスタートラインでもある。
 そしてそれに気付くことは、とても大切なことであると思う。

 『チャーリー・バートレット~』では、どのように描かれているのでしょうか。

 本作の主人公チャーリー・バートレットは、転校に転校を重ねる問題児。
 問題児といっても成績が悪いわけでなく、むしろ優秀な人材ですが、一つだけ特異な点があった。
 それは「みんなの人気物になる」ことを切に望んで、何が何でもそれを実行してしまう点。
 つまり彼の青春のすべては、「人から求められよう」ということに捧げられていた。

 前半は、チャーリーと、彼を取り巻く人たちのドタバタ騒ぎが単純に面白い。
 
 新たな土地でも人気者になったチャーリーは、しかしある出来事が原因で友人を死の直前まで追い込んでしまいます。
 そこで校長に言われた「君は人気物になることが大事だと思っているが、大事なことはその人気をどう使うかではないだろうか」という一言で、彼の青春は一つの終焉を迎えるのです。

 後半にも笑いはあるが、その中でテーマをしっかりと伝えている。

 青春とは、まぁ、かくも儚いものよのぉ・・・そういうことを教訓臭くなく、サラリとうまく描けてしまっている。
 そして”笑い”がもつ効用をしっかり理解している。(”面白かった”という記憶は、かなり根強く頭に残るものである)
 そこが米のティーンズムービーの良さであると考えます。


 ~~~ キャスト:世界は素敵であふれている(本日2回目) ~~~

 本日4/5は、『フロスト×ニクソン』も観てきました。感想はコチラに書いています。
 『フロスト×ニクソン』では、レベッカ・ホールという素晴らしく素敵な女優に出会えました。

 そして本作『チャーリー~』では、ヒロイン:スーザンを演じたカット・デニングスがなんともまぁ・・・素敵でありまして。
 今日はすごく幸せな日になったように思います。

 カット・デニングス、出演作は観たことはありません。
 が、しかしどこかで観たよなぁ・・・と調べてみたら『Nick and Norah's Infinite Playlist』の予告編で観てたのですね。
 (どうやら『キミに逢えたら!』という邦題でDVDスルー。今月発売になります。買おうっと)
 何で忘れるかね、こんな素敵な女優。


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 ちょっと眠いので、文章になっているかわかりませんが。
 ただ、米ティーンズは舐めたらアカン!ということだけは、覚えておいて欲しいです。

 『ADVENTURELAND』(コチラで紹介)も公開してくれることを祈ります。 

梅太@ 劇場:『フロスト×ニクソン』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

 お久しぶりです。社会人になりました。おめでとう、自分。
 故郷である東京に戻ってまいりまして、週末は映画ライフを満喫中。

●インタビュアーと元大統領の死闘:『フロスト×ニクソン
 監督はロン・ハワード。
 主演にマイケル・シーン、フランク・ランジェラ。

 ワーキングタイトル社の製作している作品は大体チェックしているので、予告編公開時から注目していました。

 物語の大まかな部分は、ゲンさんがかなり丁寧に書いてくれているので割愛させていただきます。
 (ゲンさん、すいません!)

 ~~~ 一瞬にこめられた情報 ~~~

 「なぜTVでなくてはいけなかったのだろうか」
 
 この作品で描かれたフロストとニクソンの対談は実際の出来事。
 フロストはニクソンから真実を引き出すため、ニクソンは名声を取り戻すために奮闘します。
 結果は、フロストの勝利、つまりニクソンが犯した一連の出来事への謝罪で幕を閉じます。

 フロストの言及により窮地に陥り、一瞬翳ったニクソンの表情
 この表情には「負けた」という思いと共に、悔恨他、様々な情報が入っていたと思います。
 しかしこの一瞬の表情を出すまでに、フロストは苦戦を強いられます。
 インタビュー期間は12日間。内11日間は、ニクソンの優位。
 全体としてみればニクソンの勝利なのでありますが、最後に見せてしまった表情が、フロスト・・・というよりTV側に勝利をもたらしてしまいました。

 インタビュー内容には、確かに興味深い言動はたくさんあった。
 しかしどんな言葉より、フロストが引き出したニクソンの表情が持つ情報量は多かったように思います。

 ここで。

 ニクソンの一瞬の表情を捉えるというのであれば、写真でも良い。
 ニクソンの言葉を伝えるというのであれば、雑誌でも良い。

 そんな中TVインタビューにしたのは、なぜだろうか。
 
 スタッフの考えは僕の知るところではなく、討論の結果から考察するしかないのですが、やはりフロストが決定打を打ち込んだときのニクソンの「間」や「息遣い」はTVでしか伝えられなかったと思う。
 ”饒舌、そして一流の策士である”ニクソンが一瞬黙った。
 一瞬翳った表情と共に、この一瞬の間を最大限に生かしたのは、やはりTVという媒体であったのだと思います。


 さて、一瞬の情報量という面で、僕がかなり気に入ったシーンをここに挙げておきましょう。

 劣勢なフロストは、チームの一員であるジャーナリストに、「ある場所へいき、ある情報を入手してきて欲しい」と頼みます。
 三日後、調査を終えたジャーナリストはフロストの部屋へ訪問します。
 ドアを開け、「収穫は?」と問うフロストにジャーナリストは「ニヤリ」とほくそ笑んで、ドアが閉まります。

 ものすごく細かくて、作品を観た人すら覚えていないであろう細かいシーンなのですが、僕は「ニヤリ」としてしまいました。

 例えばこのシーンで、ジャーナリストが「朗報だ」なんて言葉にして返答してしまうと、少し陳腐になってしまう。
 観客に少し匂わす程度の一瞬のシーン
 素晴らしく見事であったと思う。


 以上のような、”一瞬に込められた情報”に満ち溢れた作品だったと感じます。


 ~~~ キャスト:世界は素敵であふれている ~~~

 フロストがナンパし、その後一連のインタビューに巻き込まれ、そしてフロストを支えていくことになるキャロラインという女性。
 演じているのはレベッカ・ホールという英女優。

 いやぁぁ・・・・素敵。

 世界は素敵な女性であふれていますね、まったく。
 この女優を見るためにもう一回くらい劇場に行ってもいいかな。

 英女優つながりで、そういえば来週は『ある公爵夫人の生涯』公開なので、キーラ・ナイトレイが観れますね。
 イギリス万歳。


 フロスト率いるインタビューチームの一員のジャーナリスト。
 演じるのはサム・ロックウェル
 すごくどこかで聞いたことのある名前だったのですが、最後まで思い出せず。
 パンフを読んだら、「ああ!銀河ヒッチハイクガイドの大統領ね!!」と思い出しました。
 『銀河ヒッチハイクガイド』では「ハマ・カブーラ!!」とか「マグラシーア!」とかバカ丸出しのキャラクターだったのに対し、今回は熱いジャーナリスト。
 あまりの変貌振り。俳優ってすごいなぁ。


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 と、物語の確信である政治的な出来事には一切触れないでお送りいたしました。
 というのも僕はウォーターゲート事件なんて、名前しか知らない人間でしたので。

 でも僕は、こういう歴史的な事件に触れている作品を読むと、調べたくなってしまうのですよね。
 一昨年の『マリー・アントワネット』のときは、ちゃんと本を買って彼女の歴史を調べましたし。

 ニクソンの歴史を調べて、今後どう役立つのかはわかりませんが、いい機会ですし調べてみようかと思います。

 そう考えると、映画というのは下手な歴史の教科書より、よっぽど勉強意欲をわかせてくれますね。



 さて、本作鑑賞後、銀座を歩いていると、数奇屋橋交差点にて「北朝鮮ミサイル発射」の号外が配られていた。
 何か考えてしまうよなぁ。

ゲン@ 劇場:『フロスト×ニクソン』

ゲンです。
やっと暖かくなってきましたね。

『フロスト×ニクソン』@TOHOシネマズ シャンテ(4/3鑑賞)

元アメリカ大統領:リチャード・ニクソンとイギリスのインタビュー番組の司会者:デビット・フロストによって実際に行われたインタビューの裏側を描いたドラマ。
監督は『ダ・ヴィンチ・コード』のロン・ハワード。

昨年度のアカデミー賞で作品賞を始めとする主要5部門にノミネートされた話題作ですが、実際に行われた対談ってコトで非常に楽しみにしておりました。

勝てば“英雄” 負ければ“愚か者” 息を呑む緊張感!

まーのっそい面白かったです!
インタビューの裏側を描いた作品なので、画面上で特に大きな動きがあるワケでもないのに、ただならぬ緊張感とエキサイティングなセリフのやりとりで、まるで激しいボクシングの試合を観ているかのように、とんでもない迫力を感じました。

1974年8月、アメリカ合衆国大統領:リチャード・ニクソンは任期3期目にして、民主党本部に盗聴器を仕掛けるよう指示したとされる疑惑(ウォーターゲート事件)の真相を明かさぬまま、「アメリカの歴史上、自ら辞任した初の大統領」という不名誉なタイトルをまとい、政治の表舞台から去る。
ホワイトハウスからヘリで飛び立つ様子は、全世界に生中継され、4億人もの人々が目撃した。
その視聴率の高さに目をつけたイギリスのバラエティ番組の人気司会者:デビット・フロストは、無謀にもニクソンとの1対1のインタビューを申し込む。
数ヵ月後、60万ドルという法外なギャラをふっかけてきたニクソン陣営に対し、これを許諾したフロスト。
かくして、インタビューと言う名の闘いが始まった。


「ウォーターゲート事件」という名前は聞いたことがありましたが、具体的にどんな事件で、どんな経緯があったのかまでは詳しく知らなかったので、内容についていけるか不安でしたが、事件の内容以前に、そのインタビューの緊張感ってのが、ホントに恐ろしかったです。

疑惑を晴らさぬまま辞任したニクソン元大統領は、その後の裁判も免れた為、アメリカ国民からも非難の声が上がっていました。
そんな時に企画されたインタビュー。
ここで上手く弁明を謀れば、汚名返上が出来るばかりか、政界復帰も不可能ではなくなると考えます。
しかも相手はバラエティ番組の司会者、演説のプロである大統領が負ける訳が無いと思っていました。

一方のフロストは、高視聴率獲得と共に、自分の名前を世界に売ることが出来ると狙いますが、あまりの高額のギャラにスポンサーが全くつかず、自腹を切って行うことを決意します。
何とか工面したお金と、アンチ・ニクソンのジャーナリストらを味方につけたフロストですが、「インタビューで、もしもニクソンの信頼が回復するようなことになれば、最大の悪人を再び政界に戻すことになる」と厳しい助言を受けます。


とにかく、この両者のプライドのぶつかり合いが、ホントに凄まじかったです。
いくらバラエティ番組の人気司会でインタビューのプロとは言え、相手は元大統領。
ちょっとやそっとの質問や追及では、簡単に飲まれてしまいます。
実際、計3日間に渡って行われたインタビューのうち、最初の2日間は完全にニクソンのペースで、どんな厳しい質問をしてもたじろぐことなく自分のペースに引き込み、自身の政策の正当性を見事に印象づけます。

全く攻め込むことが出来ないフロストは、インタビュー2日目を終えてイースター休暇で一時中断さる間に、追い討ちをかけるように彼が司会のオーストラリアの番組が打ち切りになったと聞かされます。
失意のどん底に陥った彼に、もう1本の電話がかかってきます。

この電話の相手ってのが、ホントに驚きました。
しかし、この電話によって奮起した彼は、ニクソンを攻撃する新たなネタを手に入れ、いよいよ最後のインタビューに臨みます。

この最後のインタビューってのが、めちゃくちゃ凄い!
今までずっとペースを握っていて、大人しい口調だったニクソンが、徐々に興奮してきて、どんどんフロストのペースになっていく様子が、ホントにエキサイティング!

ただのインタビュー、言葉のやりとりのはずなのに、こんなにもドラマチックな展開で、攻守のかけひきがあり、見事な逆転劇になるなんて、想像も出来ませんでした。
本当にお互いの全てをかけた「闘い」なんですよ。
で、これが実際にあった話っつーから、余計に面白かったです。


そして、インタビューの闘いでもありながら、当然演じる側の演技合戦でもあるワケです。
フロスト演じるマイケル・シーンは、人気司会者特有の軽いノリもありつつ、キメる部分では見事に決める様子は、本当に素晴らしい演技でした。
一方のニクソンを演じるフランク・ランジェラは、この作品の原作でもある舞台版でもニクソンを演じ、トニー賞を受賞しており、その見事な役作りは流石。
セリフがない時でも、黙って睨みつける顔だけで、迫力は十分でした。


二人の男が、座って対談してるだけなのに、ありえない興奮!

全く飽きずにどんどん引き込まれる2時間でした!

ゲン@ 劇場:『アンダーワールド:ビギンズ』

ゲンです。
桜が満開ですね。

『アンダーワールド:ビギンズ』@TOHOシネマズ日劇(3/27鑑賞)

ヴァンパイアと狼男の戦いを描いたゴシック・アクション『アンダーワールド』シリーズ最新作は、戦いの発端となった事件を描くエピソード1。
監督は本シリーズのクリーチャー・デザインを手掛けてきたパトリック・タトポロス。

若干の物足りなさはあるものの、今回もエロカッコいいゴシックアクション!

3作目ってコトですが、実は『アンダーワルード』大好きですw
そんなワケで、最新作を非常に楽しみにしてたんですが、過去の話を描くってことで、前作まで主人公だった大好きなケイト・ベッキンセールが出演しないってコトでガッカリしておりました。

話としては、かつてヴァンパイア族の奴隷だったはずのライカン族(狼男)が、どうして全面戦争になってしまったのか・・・
そして、前作までの主人公:セリーンは、なぜ追われる運命になったのか・・・
を描いているのですが、多少なりとも都合のいい感じはありつつも、シリーズを観てる人間としては、それなりに楽しめる内容であったと思います。

ただ、流れとしてはヴァンパイアとライカンのロマンスや、混血の話など、前作と似たような流れを組んでいて、目新しさってのをあまり感じなかったのが残念でした。
いや、過去にそういった話があって、それが現代(1・2作目)になっても繰り返されるって意味では、興味深い部分もあったのですが、同じような話をされても、ちょっとなぁ・・・って思ってしまったので・・・

あと年代が昔に戻ってしまっていうコトで、アクションが弓矢や剣に限定されてしまったってのも、非常に残念でした。
僕がこの作品にハマったのも、「ヴァンパイア vs 狼男」といったゴシックな要素に加え、映像が非常にスタイリッシュで、現代的な銃を使ったガンアクションの要素も兼ね備えていたのが大きかったのです。
見た目のカッコいい、ガジェット的な武器も出てこず、ひたすら剣とこぶしでの殴り合いの戦闘シーンは、若干見飽きました・・・


今回の主人公:ソーニャを演じるローナ・ミトラですが、過去作での主人公:セリーンを演じたベッキンセール姉さんと瓜二つな冷酷美人w
最初に観た時にあまりに似ていたので驚いたんですが、ストーリー的にも「酷似した運命」になっているのがキーワードで、似ている女優さんをわざと起用したようですね。
ベッキンセール姉さんに負けないくらいのビッチ、そしてエロカッコいい演技でした♪

そしてソーニャの父親で、ヴァンパイア族のリーダー:ビクターを1作目から引き続きで演じてるビル・ナイ。
彼を他の作品で観るたびに、「やっぱりこの人は、ヴァンパイア顔だよなぁw」と思ってるんですが、今回もさすがの存在感で、お歳に負けない冷酷で激しいアクションが非常にカッコよかったです♪
『パイレーツ~』では、半分イカ人間こと、デイヴィ・ジョーンズを演じてた彼ですが、素顔でも怪物を演じられる素晴らしい俳優ですw


どうやって終わるのかは、1と2を観ていれば想像できるので、予想を大きく超える展開にはなりませんでしたが、『スターウォーズ』のEP3のラストのような、「ここでこうなるのかー」みたいな確認作業はなかなか面白かったです。
それとその後に繋がる非常に重要な部分、主にラスト30秒くらいが爆発的に面白くなってたので、シリーズ大好きな自分としては、何だかんだで満足して帰れましたw

時系列では最初の話ですが、1と2を観てないと意味が分からないので、シリーズを観てない人にはオススメしません。

ただ、観てる人は拾える部分も多いですし、ゴシックアクションとしては見応え十分ですので、それなりに楽しめるかと思います!

2009年4月4日土曜日

ゲン@ 劇場:『ウォッチメン』

ゲンです。
社会人6年目に突入してしまいした。

『ウォッチメン』@丸の内ルーブル(4/2鑑賞)

『ドーン・オブ・ザ・デッド』『300』のザック・スナイダー監督最新作。
映像化不可能といわれていた同名グラフィック・ノベルを映画化したミステリー超大作。
数々の歴史的事件にかかわってきたヒーローが次々と殺されていく裏で、世界を揺るがす壮大な陰謀劇が展開する。

アメコミ原作では『ダークナイト』に次ぐ、深いドラマと聞いていただけに、非常に楽しみにしておりました。

「正義」って何よ? 「平和」って何よ? ヒーローだけが味わう苦しみ!

がー!!! 重てぇー!!!
今まで自分が観たアメコミ原作の映画の中で、最も重たい作品でしたw
いや、「重たい」とは聞いてましたが、まさかここまでズッシリと、ガツンと来るとは思ってなかったので、非常に衝撃的でした。

「ヒーロー」というモノが存在する世界。
数々の歴史的な事件の裏側で活躍してきたヒーローたちは、冷戦を迎えたアメリカで、ニクソン大統領の発令した「自警活動禁止令」により、引退を余儀なくされた。
ソ連との緊張は頂点に達し、核戦争へ一触即発になったある日、かつてヒーローとして活躍していた男「コメディアン」が、何者かによって殺害される。
果たして誰が、一体何のために・・・
事件の真相を探る元ヒーロー「ロールシャッハ」は、「ヒーロー狩り」であると考え、引退したヒーローたちのもとを訪ねる。


とにかく、この作品に登場するヒーローってのは、確かに普通の人よりも優れた身体能力を持ってはいるものの、不死身なんてモノではなく、ほとんどが生々しいほどに人間です。
歳を取れば身体が衰えるし、家庭の環境も決して恵まれてるとは言えません。
それでもアメリカの「正義」「平和」のため活躍してきたのに、一方的に引退を迫られ、今ではそれぞれがバラバラの生活をしています。
それがもー不憫で不憫で・・・非常に切なかったです・・・

ヒーローがヒーローであるが故の悩みや苦しみを持っているって作品は、『X-MEN』『スパイダーマン』、最近では『ダークナイト』でこれでもかと描かれてきましたが、この作品はそれらとは比べ物にならないくらいにキツいです・・・
もうMJとの関係に悩んでたピーターの悩みなんざ、鼻で笑っちゃいますよw

で、この作品の辛いのが、全然解決しないんですよ・・・
アメコミ原作の映画を観て、こんなにモヤモヤしたのは初めてですw

『ダークナイト』でも「正義って何?」みたいな事がテーマとして扱われていましたが、アレはあくまで「ゴッサムシティ」という架空の街でことであり、絶対的な悪であるジョーカーとそれに対比するバットマンの正義ってのが、ある意味ハッキリと描かれていたので、ラストはズシンとは来てもスッキリと終わることは出来てたと思います。

ところがこの作品は、何も解決してないんですよ・・・
勿論フィクションですが、ベトナム戦争や冷戦、核戦争への緊張感ってのは実際にあったコトだし、現在でも完全に解決してるコトではありません。
じゃあそういう世界にヒーローってモノがいたとして、「正義」のために、「平和」のために、何が出来るのよ?って考えると、こんなにも息苦しいのかと滅入ります。


そういったリアルでダークな世界観と、キャラクタ設定がホントに魅力的でした。
普通、ヒーロー映画を観たら、そのヒーローになりたい!とかって思うじゃないですか?
実際、僕はスパイダーマンになりたいですよ、真面目な話w
でも、この作品を観ちゃうと、「ヒーローになりたい!」なんて、口が裂けても言えませんね・・・
どんな人間よりも息苦しい生活をしてるし、未来だって暗いですし、何より知りたくない闇の部分までも知ってしまいそうで・・・
そして一番嫌なのが、その闇を知ってしまった時に、自分が信じていた「正義」「平和」がいかに馬鹿馬鹿しかったのかと感じて、立ち直れそうも無いので・・・

ただ一人、自分の信じる正義が揺るがない男「ロールシャッハ」をメインに物語が進んでいくのですが、もうラストが・・・
あそこまでキツいコトってあるかい?
劇場で観た時はそこまで感情的にならなかったですが、観終わってからずっと今まで考えてたら、ちょっと泣きそうになりました。
もし次に観たら、号泣するかも知れないですw


この作品の監督をしているのが、『300』のザック・スナイダー。
『300』でもそうでしたが、独特なヴィジュアルワールドと過激な描写が本作でもバッチリと活かされております。
特に『300』でも多用していた、「スローモーション」「逆光」の演出にはより磨きがかかり、あまりの美しさに息を呑みます。
ストーリーを十分にズッシリと来ますが、この監督ならではの映像表現が無ければ、ここまで深い作品にはなっていなかったと思います。


ただ上映時間が2時間40分と非常に長いのですが、それでもキャラクタの細かいバックグラウンドを考えると、もっともっと詳しく描いた方がよりドラマが深くなって面白い作品になっていたと思います。
コミックは12巻で、さらに細かくエピソードを掘り下げられていて、そういった部分が評価されている作品のようで、1本の映画でここまでツメこんだのは、非常に大変だったみたいですね。

実際、監督が希望したディレクターズカット版は3時間10分もあり、さらにDVDには3時間半を収録する予定のようですw
僕としては、あんまり長すぎる映画は編集がウマいと思わないので、あまり評価をしてないんですが、この作品に関して言えば、どんなに長くなっても構わないので、より詳しい部分まで描いたモノを観たいと思いました。

しかしながら、収益的にはそこまでの大ヒットとはならず、公開直前に判明した権利問題のこともあって、結果的には失敗作となってしまいそうです・・・

映像としても、脚本的にも、非常に面白い作品なだけに勿体無いですね・・・


かつてないダークで重厚なヒーロー映画!

アメコミ原作に物足りなさを感じてる人は、絶対に観るべし!!!

ゲン@ 劇場:『フィッシュ・ストーリー』

ゲンです。
4月に入りましたね。

『フィッシュ・ストーリー』@シネ・クイント(3/27鑑賞)

『アヒルと鴨のコインロッカー』に続き、伊坂幸太郎の原作を中村義洋が監督したユーモラスでそう快な人間ドラマ。
1970年代に活動した売れないパンクバンドの一曲を中心に、とりどりの登場人物が交錯しやがて地球の滅亡をも救う、時空を超えた奇想天外なストーリー。
出演は、伊藤淳史、大森南朋、森山未來、多部未華子

確かに良かったけど、何か思ってたのと、ちょっと違ったかなぁ・・・

前作の『アヒルと~』を観たときも思ったんですが、あまりに評判が良すぎて、ハードルを上げてしまったせいで、物足りなさってのを今回も感じてしまいました。

一見すると繋がりが無いような、別々の時代のストーリーが同時進行で進み、実はどこかで繋がってた・・・って言うのは、前作でも同じでしたが、前作以上に「妙な青春クサさ」みたいなを感じてしまい、その分仕掛けとしての「繋がり」が弱く思えて、あまり高い評価はできませんでした。
そもそも一番肝心な「繋がり」が、直接的なモノではなくて、非常に間接的な気がして、そこが腑に落ちない僕は、ヒネクレ者ですか?w

恐らくこの人の原作の話は、「仕掛けモノ」として観るのではなく、「時代を超えた繋がり」みたいなのを楽しむべきなんでしょうが、どうしても映画になってしまうと仕掛けモノとして観ようとしてしまう、僕の悪いクセだと思います・・・


ただ出演者は豪華だし、個人的にも好きな俳優さんばかりだったので、嬉しかったです。
大森南朋さんは素敵だし、森山未來は動けるし、多部未華子の泣き顔は可愛いしw


別に仕掛けだけなら「仕掛けモノ」の作品で観たいし、青春を魅せたいなら、それだけに拘った作品で面白いのは沢山あるし、この作品の落ち着かんとしてる場所が、僕にはあまり分かりません。
『アヒルと~』も含め、もしかすると僕の苦手なタイプの作品なのかも・・・
つーか、活字の方が想像する面白さがあって、映像には不向きなのは確かだと思います。

「映画」として観るなら、内田けんじ監督作が最強なんだよなぁ・・・