2009年8月15日土曜日

梅太@ 劇場:『3時10分、決断のとき』

この記事は 心の奥底で何かを共有するということの素晴らしさよ・・・とつくづく思う 梅太 の名の下にお送りいたします

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●最後に魅せる、男達の決断:『3時10分、決断のとき
 監督はジェームズ・マンゴールド。
 主演にラッセル・クロウとクリスチャン・ベイル。

 クラシック西部劇のリメイク。
 この作品、実は2007年9月にはアメリカで公開された。
 作品の存在を知り、密かに楽しみにしていたが、なんやかんやで、2年も待ったのか。

 ストーリーは。
 人里離れた牧場に住むダン(ベイル)は、南北戦争の名誉兵でありながら、貧困な生活を送っていた。
 そんな彼はある日、偶然にも馬車強盗を目撃する。
 その馬車強盗のリーダーは、巷で有名なベン(クロウ)。
 二人は対峙しながらも、事なきを得る。
 数時間後、ベンは町の娼婦と過ごしているところを捕らえられてしまう。
 彼は、絞首刑を宣告され、刑務所のあるユマへと護送されることとなった。
 その現場に、またもや偶然居合わせたダンは、報酬目当てでベンの護送を引き受けることにする。
 3:10発のユマ行きの汽車に、無事に護送することが出来るのであろうか・・・
 

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 一昨年であったか、無性に西部劇を見たくなった僕は、数本の映画を観た。
 僕は当時の、町や服の配色や、まったく抑えようとしない凄まじい銃音が非常に好きだ。

 本作は、そんな僕をこれでもかと刺激する。

 銃声は体を振動させるほどであるし。
 特にベンと、ベンの右腕:チャーリーの銃裁きは惚れ惚れする。

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 以下、ネタバレを若干含みます。
 なぜかといえば、ラストこそ、この映画最大の見せ場であるから、それを書かずして、語れないわけである。


 ラッセル・クロウ演じるベンは、自分の中に一本芯を持っている男。
 敵・見方問わず、確固たる信念を持っている人には、素直に敬意を表する男である。

 なので、一見悪役と見える風貌や態度であるが、純粋にカッコよい。
 コチラがうれしくなるくらい、もう、カッコよい。

 クリスチャン・ベイル演じるダンは、今回の護送の任務に、ただならぬ決意を持って挑んでいた。
 その決意が何かは分からないが、そんな雰囲気を感じ取ってか、ベンは、敵意を示しながらも、ダンに興味を持つ。

 クライマックス。
 汽車が出る街までの護送に成功したダン一行は、汽車が来るまで、ホテルで待機することにする。
 しかしそこに、ベンの部下も駆けつける。
 「うちのリーダーを捕らえているものを殺せば、報酬をやる」
 チャーリーのこの一言で、ダン一行は町全体を敵に回すことになってしまう。
 次々に、任務をドロップアウトしていく一行であるが、ダンだけは、絶望的な状況にも関らず、この任務に固執する。

 運命の時間がやってきた。
 残る道のりは、ホテルから駅までの800m。

 ここで繰り広げられる銃撃戦の最中、ベンは、ダンが何故、ここまでこの任務に固執するかの真意を聞くことになる。
 ダンは、戦争時の負い目からくる全ての負の連鎖を払拭するため、そして何より、息子に「自分は誇りをもって生きている」ことを見せたいがために、この任務に挑んでいたのだ。

 彼は、単なる責任感から任務を引き受けたわけでない。
 男として、そして親としての生き様を示すためであった。

 そこに、ベンは、漢を観た。

 依然敵同士ではあるが、2人は心の奥底で、漢にしか分かり合えないものを共有したのであった。

 ここからの展開が、もう涙なしには観れない。

 同行していた息子:ウィリアムの協力もあり、ダンは無事、ベンを護送列車へと乗り込ませた。
 ベンは、捕まったわけではあるのだが、ダンの「誇り」獲得を、素直に喜ぶ。
 しかし。
 一瞬の安堵の内、ダンはチャーリーの手によって殺される。

 その生き様に惚れこんだ男の、死。

 心のそこから憎悪を剥き出し、ベンは部下を手にかける。
 (このときにクロウの見せる表情の、なんと恐ろしく、なんと素晴らしいことか・・・)
 (そしてこのシーンの早撃ちの、もう、涙が出るくらいのカッコよさといったら・・・)

 立ち尽くす、隙だらけのベンに、父の元へ駆け寄ったウィリアムが、銃口を向ける。
 このとき恐らく、ベンは、殺されても良いと、思ったと思う。

 しかしウィリアムは、父とベンとの間の、まだ自分には形容しがたい絆に気付いたのであろう。
 そっと、銃口を下ろす。

 護送人は全ていなくなった。自由の身になれる。
 しかし「父の誇り」に華を添えるため、ベンは自ら汽車に乗る。


 この一連の流れの、何とも素晴らしいことよ。


 あぁ、良い映画を観た。
 素直にそう思える。

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