2009年4月4日土曜日

ゲン@ 劇場:『ウォッチメン』

ゲンです。
社会人6年目に突入してしまいした。

『ウォッチメン』@丸の内ルーブル(4/2鑑賞)

『ドーン・オブ・ザ・デッド』『300』のザック・スナイダー監督最新作。
映像化不可能といわれていた同名グラフィック・ノベルを映画化したミステリー超大作。
数々の歴史的事件にかかわってきたヒーローが次々と殺されていく裏で、世界を揺るがす壮大な陰謀劇が展開する。

アメコミ原作では『ダークナイト』に次ぐ、深いドラマと聞いていただけに、非常に楽しみにしておりました。

「正義」って何よ? 「平和」って何よ? ヒーローだけが味わう苦しみ!

がー!!! 重てぇー!!!
今まで自分が観たアメコミ原作の映画の中で、最も重たい作品でしたw
いや、「重たい」とは聞いてましたが、まさかここまでズッシリと、ガツンと来るとは思ってなかったので、非常に衝撃的でした。

「ヒーロー」というモノが存在する世界。
数々の歴史的な事件の裏側で活躍してきたヒーローたちは、冷戦を迎えたアメリカで、ニクソン大統領の発令した「自警活動禁止令」により、引退を余儀なくされた。
ソ連との緊張は頂点に達し、核戦争へ一触即発になったある日、かつてヒーローとして活躍していた男「コメディアン」が、何者かによって殺害される。
果たして誰が、一体何のために・・・
事件の真相を探る元ヒーロー「ロールシャッハ」は、「ヒーロー狩り」であると考え、引退したヒーローたちのもとを訪ねる。


とにかく、この作品に登場するヒーローってのは、確かに普通の人よりも優れた身体能力を持ってはいるものの、不死身なんてモノではなく、ほとんどが生々しいほどに人間です。
歳を取れば身体が衰えるし、家庭の環境も決して恵まれてるとは言えません。
それでもアメリカの「正義」「平和」のため活躍してきたのに、一方的に引退を迫られ、今ではそれぞれがバラバラの生活をしています。
それがもー不憫で不憫で・・・非常に切なかったです・・・

ヒーローがヒーローであるが故の悩みや苦しみを持っているって作品は、『X-MEN』『スパイダーマン』、最近では『ダークナイト』でこれでもかと描かれてきましたが、この作品はそれらとは比べ物にならないくらいにキツいです・・・
もうMJとの関係に悩んでたピーターの悩みなんざ、鼻で笑っちゃいますよw

で、この作品の辛いのが、全然解決しないんですよ・・・
アメコミ原作の映画を観て、こんなにモヤモヤしたのは初めてですw

『ダークナイト』でも「正義って何?」みたいな事がテーマとして扱われていましたが、アレはあくまで「ゴッサムシティ」という架空の街でことであり、絶対的な悪であるジョーカーとそれに対比するバットマンの正義ってのが、ある意味ハッキリと描かれていたので、ラストはズシンとは来てもスッキリと終わることは出来てたと思います。

ところがこの作品は、何も解決してないんですよ・・・
勿論フィクションですが、ベトナム戦争や冷戦、核戦争への緊張感ってのは実際にあったコトだし、現在でも完全に解決してるコトではありません。
じゃあそういう世界にヒーローってモノがいたとして、「正義」のために、「平和」のために、何が出来るのよ?って考えると、こんなにも息苦しいのかと滅入ります。


そういったリアルでダークな世界観と、キャラクタ設定がホントに魅力的でした。
普通、ヒーロー映画を観たら、そのヒーローになりたい!とかって思うじゃないですか?
実際、僕はスパイダーマンになりたいですよ、真面目な話w
でも、この作品を観ちゃうと、「ヒーローになりたい!」なんて、口が裂けても言えませんね・・・
どんな人間よりも息苦しい生活をしてるし、未来だって暗いですし、何より知りたくない闇の部分までも知ってしまいそうで・・・
そして一番嫌なのが、その闇を知ってしまった時に、自分が信じていた「正義」「平和」がいかに馬鹿馬鹿しかったのかと感じて、立ち直れそうも無いので・・・

ただ一人、自分の信じる正義が揺るがない男「ロールシャッハ」をメインに物語が進んでいくのですが、もうラストが・・・
あそこまでキツいコトってあるかい?
劇場で観た時はそこまで感情的にならなかったですが、観終わってからずっと今まで考えてたら、ちょっと泣きそうになりました。
もし次に観たら、号泣するかも知れないですw


この作品の監督をしているのが、『300』のザック・スナイダー。
『300』でもそうでしたが、独特なヴィジュアルワールドと過激な描写が本作でもバッチリと活かされております。
特に『300』でも多用していた、「スローモーション」「逆光」の演出にはより磨きがかかり、あまりの美しさに息を呑みます。
ストーリーを十分にズッシリと来ますが、この監督ならではの映像表現が無ければ、ここまで深い作品にはなっていなかったと思います。


ただ上映時間が2時間40分と非常に長いのですが、それでもキャラクタの細かいバックグラウンドを考えると、もっともっと詳しく描いた方がよりドラマが深くなって面白い作品になっていたと思います。
コミックは12巻で、さらに細かくエピソードを掘り下げられていて、そういった部分が評価されている作品のようで、1本の映画でここまでツメこんだのは、非常に大変だったみたいですね。

実際、監督が希望したディレクターズカット版は3時間10分もあり、さらにDVDには3時間半を収録する予定のようですw
僕としては、あんまり長すぎる映画は編集がウマいと思わないので、あまり評価をしてないんですが、この作品に関して言えば、どんなに長くなっても構わないので、より詳しい部分まで描いたモノを観たいと思いました。

しかしながら、収益的にはそこまでの大ヒットとはならず、公開直前に判明した権利問題のこともあって、結果的には失敗作となってしまいそうです・・・

映像としても、脚本的にも、非常に面白い作品なだけに勿体無いですね・・・


かつてないダークで重厚なヒーロー映画!

アメコミ原作に物足りなさを感じてる人は、絶対に観るべし!!!

0 件のコメント: