またとんでもなく素晴らしい作品に出会えました!
■『グラン・トリノ』@丸の内ピカデリー(4/29鑑賞)
朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい主人公が、近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、自身の偏見に直面し葛藤(かっとう)する姿を描く。
数多くの作品に出演し、長い間アメリカ映画界の重鎮として活躍してきたクリント・イーストウッドが、今回を最後に俳優業を引退し、製作側に専念すると公言していたので注目してましたが、公開されるないなや非常に高評価で非常に楽しみにしておりました。
素晴らしい! 最後の超大傑作! これ以上の引き際がありますか!?
初めに言っておきますが、今年1月公開の『ヘルボーイ2』を抜きまして、今年鑑賞してきた全47作品中で暫定1位で御座います!
完璧です! 非の打ち所が無い!
クリント・イーストウッドの作品を全て観てきたワケではないので、大きな口を叩ける人間じゃないんですが、彼が映画界で長年活躍し続けてきて、78歳を迎えた今でさえ熱心な製作活動を続け、観客と批評家の両方から受け入れられているコトは十分に分かっています。
そんな彼が、俳優業を引退すると言った今だからこそ、むしろ今しか出来ない、とてつもない強いメッセージとエネルギーを感じる作品でした。
奥さんを亡くし、他人とのつながりを極端に嫌い、世間に対して偏見に満ちた目で物事を見る偏屈な老人と、隣に越してきたアジア系移民の家族との交流を描いた作品ですが、とにかくとにかく震えました。
クリント・イースドウッドというと、映画の中でも西部劇で活躍してきたアメリカを代表するアメリカ人の英雄的な映画俳優という印象が強かったんですが、そんな彼がまさに2009年(米国公開は2008年)に78歳だからこそ表現できる全てが詰め込まれた、まさに集大成のような作品なのではないでしょうか。
傍から見ると厄介で頑固で偏屈な老人ではありますが、戦争を経験し、自分なりに「生と死」というモノをしっかりと捉え、現在のアメリカが失ったモノ、そして受け入れなければいけないモノを誰よりも深く理解している、非常に人間味の溢れる役柄であったと思います。
現在の始まったことではないですが、アメリカって混沌としてるじゃないですか?
迷走してるじゃないですか?
クリント・イーストウッド自身もそんなアメリカに生まれ、アメリカを好きになり、アメリカに失望してたと思うんですが、でもやっぱり、そんなアメリカが好きなんだ!というようなメッセージを強く感じました。
変化すること・受け入れることは、過去を否定するかも知れないことだから、辛いだろうし苦しいだろけども、でもそれを認めて前に進むべきなんじゃないか・・・
そして若い世代に進むべき道を作ってあげるべきなんじゃないか・・・
そんな風に僕は受け取れました。
何度も言ってますが、これで俳優業引退っていうのが、悲しくもありますが、この作品の、そしてクリント・イーストウッドというアメリカを代表するの俳優が伝えるメッセージ・・・
言い方は悪いかもしれませんが、遺書のようなモノであると思いました。
クリント・イーストウッド監督作は、今年先に公開された『チェンジリング』でも十分にキテたんですが、それを軽々と超える大きな衝撃を受けました・・・
このまま行けば上半期は1位、通年でもトップ3には入る作品ですね。
とてつもなく重く、とてつもなく強く、とてつもなく優しいメッセージ。
エンドロールのあと、劇場が明るくなってもしばらく動けませんでした。
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