2009年4月5日日曜日

ゲン@ 劇場:『フロスト×ニクソン』

ゲンです。
やっと暖かくなってきましたね。

『フロスト×ニクソン』@TOHOシネマズ シャンテ(4/3鑑賞)

元アメリカ大統領:リチャード・ニクソンとイギリスのインタビュー番組の司会者:デビット・フロストによって実際に行われたインタビューの裏側を描いたドラマ。
監督は『ダ・ヴィンチ・コード』のロン・ハワード。

昨年度のアカデミー賞で作品賞を始めとする主要5部門にノミネートされた話題作ですが、実際に行われた対談ってコトで非常に楽しみにしておりました。

勝てば“英雄” 負ければ“愚か者” 息を呑む緊張感!

まーのっそい面白かったです!
インタビューの裏側を描いた作品なので、画面上で特に大きな動きがあるワケでもないのに、ただならぬ緊張感とエキサイティングなセリフのやりとりで、まるで激しいボクシングの試合を観ているかのように、とんでもない迫力を感じました。

1974年8月、アメリカ合衆国大統領:リチャード・ニクソンは任期3期目にして、民主党本部に盗聴器を仕掛けるよう指示したとされる疑惑(ウォーターゲート事件)の真相を明かさぬまま、「アメリカの歴史上、自ら辞任した初の大統領」という不名誉なタイトルをまとい、政治の表舞台から去る。
ホワイトハウスからヘリで飛び立つ様子は、全世界に生中継され、4億人もの人々が目撃した。
その視聴率の高さに目をつけたイギリスのバラエティ番組の人気司会者:デビット・フロストは、無謀にもニクソンとの1対1のインタビューを申し込む。
数ヵ月後、60万ドルという法外なギャラをふっかけてきたニクソン陣営に対し、これを許諾したフロスト。
かくして、インタビューと言う名の闘いが始まった。


「ウォーターゲート事件」という名前は聞いたことがありましたが、具体的にどんな事件で、どんな経緯があったのかまでは詳しく知らなかったので、内容についていけるか不安でしたが、事件の内容以前に、そのインタビューの緊張感ってのが、ホントに恐ろしかったです。

疑惑を晴らさぬまま辞任したニクソン元大統領は、その後の裁判も免れた為、アメリカ国民からも非難の声が上がっていました。
そんな時に企画されたインタビュー。
ここで上手く弁明を謀れば、汚名返上が出来るばかりか、政界復帰も不可能ではなくなると考えます。
しかも相手はバラエティ番組の司会者、演説のプロである大統領が負ける訳が無いと思っていました。

一方のフロストは、高視聴率獲得と共に、自分の名前を世界に売ることが出来ると狙いますが、あまりの高額のギャラにスポンサーが全くつかず、自腹を切って行うことを決意します。
何とか工面したお金と、アンチ・ニクソンのジャーナリストらを味方につけたフロストですが、「インタビューで、もしもニクソンの信頼が回復するようなことになれば、最大の悪人を再び政界に戻すことになる」と厳しい助言を受けます。


とにかく、この両者のプライドのぶつかり合いが、ホントに凄まじかったです。
いくらバラエティ番組の人気司会でインタビューのプロとは言え、相手は元大統領。
ちょっとやそっとの質問や追及では、簡単に飲まれてしまいます。
実際、計3日間に渡って行われたインタビューのうち、最初の2日間は完全にニクソンのペースで、どんな厳しい質問をしてもたじろぐことなく自分のペースに引き込み、自身の政策の正当性を見事に印象づけます。

全く攻め込むことが出来ないフロストは、インタビュー2日目を終えてイースター休暇で一時中断さる間に、追い討ちをかけるように彼が司会のオーストラリアの番組が打ち切りになったと聞かされます。
失意のどん底に陥った彼に、もう1本の電話がかかってきます。

この電話の相手ってのが、ホントに驚きました。
しかし、この電話によって奮起した彼は、ニクソンを攻撃する新たなネタを手に入れ、いよいよ最後のインタビューに臨みます。

この最後のインタビューってのが、めちゃくちゃ凄い!
今までずっとペースを握っていて、大人しい口調だったニクソンが、徐々に興奮してきて、どんどんフロストのペースになっていく様子が、ホントにエキサイティング!

ただのインタビュー、言葉のやりとりのはずなのに、こんなにもドラマチックな展開で、攻守のかけひきがあり、見事な逆転劇になるなんて、想像も出来ませんでした。
本当にお互いの全てをかけた「闘い」なんですよ。
で、これが実際にあった話っつーから、余計に面白かったです。


そして、インタビューの闘いでもありながら、当然演じる側の演技合戦でもあるワケです。
フロスト演じるマイケル・シーンは、人気司会者特有の軽いノリもありつつ、キメる部分では見事に決める様子は、本当に素晴らしい演技でした。
一方のニクソンを演じるフランク・ランジェラは、この作品の原作でもある舞台版でもニクソンを演じ、トニー賞を受賞しており、その見事な役作りは流石。
セリフがない時でも、黙って睨みつける顔だけで、迫力は十分でした。


二人の男が、座って対談してるだけなのに、ありえない興奮!

全く飽きずにどんどん引き込まれる2時間でした!

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