この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします
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今年、眼に涙を溜めた作品が、今のところ4作品あります。
今日ご紹介する『JUNO』が、その一つ。
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ストーリー:
ジュノは、彼氏とセックスして2ヵ月後、妊娠が発覚する。
一度は中絶を考えるが、雑誌の”養子募集”の欄を見、生んだ子供を養子に出すことを決意。
その後、雑誌に掲載されていた夫婦に会う。すべてにおいて完璧な夫婦に見えるのだが・・・
妊娠、中絶、養子、夫婦仲、永遠の愛・・・・いろいろな経験の末、ジュノが出した結論とは。
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『サンキュースモーキング』で注目を浴びたジェイソン・ライトマン監督の2作目。
脚本に、ブログ出身の新人ディアブロ・コディ、主役にエレン・ペイジを迎えての作品です。
基軸はディアブロ・コディの描く脚本の素晴らしさがあるわけですが、ジェイソン・ライトマンの演出と、エレン・ペイジの演技がそれを更に昇華させていると思う。
相乗効果という言葉は、この作品の為にあるのではないかと思ってしまう程。
~~~ ライトマン監督作品の好きなところ ~~~
二度目の鑑賞となる今回ですが、今日の記事ではこの作品の感想と言うより、ライトマン作品の良さというものに着目してみたいと思います。
ライトマン監督の前作『サンキュースモーキング』は、煙草が社会問題になっているアメリカの事情を、ユーモラスに描いた作品。
実際のところ、笑って済ませられる問題ではないのですが、コメディという体裁をとっているにも関わらず、その問題自体は決して杜撰には扱わない。
観客を笑わせておいて、実はちゃんと、伝えることは伝えている。
僕は『サンキュー~』の、深刻な問題(ストーリー)と笑いのバランスがすごく好きで、長編デビュー作にも関わらず、一気にファンになってしまった。
長編2作目となる『JUNO』では、10代の妊娠という、これまた社会的な問題に触れています。
これは脚本を務めたディアブロ・コディの実体験も含めたフィクションとなっています。つまり視点が10代。台詞回しも10代。
そしてその10代の少女を、エレン・ペイジが演じる。
これら”10代の感性”を、大人であるライトマン監督が見事に纏め上げている。
『JUNO』も前作同様、ユーモアたっぷりに描いていますが、妊娠と、そしてそれが及ぼす周囲への影響を、しっかりと描いている。
更に今回はエレン・ペイジを始めとする、10代の青少年たちの演技がリアリティ溢れるものとなっていて、説得力抜群だった。
また10代の青少年の会話や、おマセな少女ジュノと養子先の夫:マークが織り成す、映画やロックに関するコアな会話が面白い。
話の内容自体はしょうもないことだったりして、特にロックの話なんかは僕の知らないネタ満載なのだけれど、不思議と聞いてて面白いのですよね。
どこかタランティーノ作品に通ずるものを感じてしまった。
普通の会話って、しっかり描くとこんなにも面白いんだなぁ。
本作『JUNO』でも、デリケートな問題の描き方とリアリティ溢れる演技と、勿論笑いのバランスがすごく良くて、長編2作目にも関わらず、すでに僕の好きな監督の仲間入りを果たしました。
さてこの話題のまとめをしようかと思います。
社会問題を扱っているライトマン監督ですが、物語全体に漂う雰囲気は全体的に明るい。
ラストは、ハッピーエンドといっては言い過ぎかも知れませんが、前向きなエンディングとなっている。
先日購入したジョー・ライト監督作品『つぐない』の音声解説にて、ライト監督はこんなことを言っていた。
『今まで、作品をハッピーエンドにするのは、逃げだと思っていた。でもハッピーエンドにするということは、実はすごく勇気がいることなんだ。』
深刻な問題なら、深刻なトーンになったって、罪にはならないだろう。
その方が、深刻さは伝わる。
ユーモアの中に伝えたいことの本質を隠すのは、ある意味では賭けであると思う。伝わらないこともあるかもしれないから。
でも、楽しいという感覚は、頭に残りやすい。
その楽しさから辿っていって、事の本質に気付いてもらいたい。恐らくライトマン監督は、そういう志で、2つの作品を作り上げたのではないのかな。
勝手な解釈ですけど。
~~~ こういう友達がいたら・・・ ~~~
さて、話は変わって。
最初に鑑賞したときは、ジュノのような女の子が友達にいたら、きっと楽しいだろうと思った。
でも今回はジュノでなく、ジュノの親友:リア(オリヴィア・サールビー)に目がいった。
リアは、リアクションは大きいけれど、実際のところ、物事に対してあまり驚いてはいない。
ジュノが妊娠を告白しても「あら、ヤバイわね。じゃあどうするの?」といった具合。
なんとなく素っ気ない印象も受けるが、ジュノのやろうとしてることには、否定も肯定もなく、全面的に協力する。
この「あらそう」という感じ。
人が真剣な問題に直面したとき、これって結構救われる対応だったりする。
つまり、自分を客観的に見てくれる存在というものかな。
ある問題について頭がゴチャゴチャしている状態で、それを人に理解してもらおうなんて、まず無理。
なぜって自分でわかっていないから。
そういう時、”話す”ということが担う役割は、話しながら、自分の頭の中を整理することにある。
だからそういう時は、否定も肯定もなく、とりあえず最後まで聞いてくれる人という存在は、かなり救われたりする。
ちょっと話が逸れたかもしれないけれど、つまりは、このお話に出てくるリアは、親友として傍にいてもらいたいタイプだなぁということ。
まったく、この作品の登場人物は、全員が魅力的で困ってしまう。。
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ライトマン監督2作目『JUNO』は、『サンキュースモーキング』の功績があるからかなり期待していた作品だった。
そして期待通りの出来で、もう大満足。
今後も期待の新鋭でございますね。
2008年11月9日日曜日
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