この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします
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11月19日にDVDが発売となった『スピード・レーサー』
映画の公開日は7月5日で、僕は初日の初回に最寄のシネコンに行きました。
観客は・・・・なんと僕と中年のおじ様の二人のみ。
(きっとこのおじ様は『マッハGO!GO!GO!』のアニメのリアルタイム世代だろうなぁ)
本国アメリカでは興行収入が芳しくなく、日本でも早々に打ち切りという結果になってしまいました。
でも僕は、08年の最高傑作であると思っています。
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ストーリー:
レース界期待の新星スピード・レーサーは、レーサー一家が経営する個人経営の車会社:レーサー・モーターズに所属する青年。
スピードのもとには連日スカウトの電話がかかってくるが、彼はそれを拒み続ける。
そこには、過去に起こった兄:レックスの事故が関係する。
ある日、大手企業のロイヤルトン・インダストリーからオファーがかかるが、悩んだ末に、家族にとってレースとは何かを再認識したスピードはこれを拒否。
しかしそこで、レースに絡むビジネスや裏社会の事情を聞かされる。その日からスピードとレーサー一家にはレース界から多大なる重圧がかかり始め・・
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さて、この作品の魅力って、いったいどこにあるのだろう。
まず目を引くのは、やはり映像。
そして、カッコよさを超え、もやはアートとも言える流れるようなカーアクション(カンフーならぬカー・フー)。
一回目鑑賞の際は、やはりこれらに注目してもらいたいです。
二回目鑑賞の際・・・も、やはりこれらに酔いしれてほしいですね。
三回目鑑賞の際は是非、脚本家ウォシャウスキーの手腕に着目してみてください。
==========「脚本」と一口に言ってみても=========
少し本筋から逸れまして、脚本というものはいったいなんだろうかというのを考えてみたいと思います。
脚本と一口に言いましても、様々な要素があります。
・物語、テーマ性
・アイデア
・構成力
(他にもあるかもしれませんが)
まず第一に「物語、テーマ性」。
小説なり映画なり、これはやはり柱の部分ですので、一番意識されるものだと思います。
また普段良く言われる「脚本が良かった(悪かった)」というのも、「ストーリーが良かった」ということを指して使われる言葉かと思います。
次に「アイデア」。
やはり映画には、普段の生活では想像もしえないような世界観や出来事を期待してしまいます。
また、今までの作品にはなかった斬新な発想も求めるでしょう。
そして「構成力」。
上二つの要素からすると、普段は一番意識されない要素でしょう。
しかしどんなに優れた「物語」も、どんなに奇抜な「アイデア」でも、その作品に初めて接する観客にわかるように説明しないと意味がありません。
そこで重要になってくるのが、ストーリーを如何にして伝えるかという「構成力」。
時系列に従って語るもよし、回想を挿入するもよし、顛末を先に伝えてからというのもよし。
ある意味で、脚本家=ストーリーテラーの力量が一番発揮されるところではないでしょうか。
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革命とも言われた『マトリックス』は、「アイデア」に優れていました。
メガホンを置き、脚本に徹した『V for Vendetta』は、「テーマ性」に優れてしました。
そして本作『スピードレーサー』は、「構成力」が抜群に優れています。
初めて作品に触れる人にとってみれば、その作品の登場人物、舞台背景の説明は必須。
これらがきちんと行われなければ、これから展開される世界に入り込めるはずがありません。
かといってその説明を延々としていたのでは、お客さんも退屈してしまいます。
例えば小説でいえば、表紙の折込などに、以下のような紹介があったりします。
スピード・レーサー ・・・ 作品の主人公。レースの天才
トリクシー ・・・ スピードの幼馴染
パパ・レーサー ・・・ スピードの父。レーサー・モーターズの経営者
(以下略)
こういうの、みたことありませんか?
映画で言えば、これを冒頭部分で如何にして伝えきるかが重要になってきますね。
ここで発揮されるのがウォシャウスキーの「構成力」です。
現在行われているスピードのレースシーンで興奮させているうちに、スタイリッシュな場面転換と共に挿入される回想シーンで、兄に対するスピードの憧れ・尊敬(←このシーンだけで泣きそうになった)や歴史(トリクシーとの出会い、レックスの死亡事故など)といった、この作品の世界観を実はしっかりと伝えきっている・・・という、その手腕!
DVDを購入して4日が経ちますが、僕はこの冒頭部分をすでに3回は観ています。
何回見ても「う~ん・・・見事だ」と思ってしまいます。
近年、これだけ見事な冒頭部分は無かったと思いますよ。
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特典映像では、この作品の解説を行っています。それは主に、映像の作り方という観点からです。
かなり面白い手法を用いているので、CGを使用した映画が主流となっていく今後、これはきっと応用されていく技術だと思っています。
その時「あぁ、『スピード・レーサー』は実はすごい作品だったのではないか」という方向に、世間の目が向けられるといいなと切に願っています。
最後に:
この作品の、映像に関するレビューは、書くだけ無粋かなと思いました。
なので、今回は脚本家ウォシャウスキーの手腕という面から『スピード・レーサー』の素晴らしさについて紐解いてみました。
もちろんこれは、作品のほんの一要素に過ぎません。
脚本の構成力に加え、興奮を抑えきれないカッコいい映像、その他もろもろ。
初鑑賞時に、あれだけの感動を味わえたのは、やはり個々の要素の素晴らしさと、組み合わせることによる相乗効果があってこそのものだと思います。
最高にCool beans!(イカしてる!)な作品です!!
最後の最後に:
クリスティーナ・リッチがキュートすぎる。
2008年11月22日土曜日
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