2008年11月18日火曜日

梅太@ DVD:『ステイ』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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 この記事はネタバレを含んでいますのでご注意を

 全世界に先駆けイギリスで公開され、先週末に全米公開。見事一位を獲得した『007慰めの報酬』。
 007シリーズでは異例となる続編作品の監督を務めるのはマーク・フォースターです。
 そして先週、フォースター監督の『ステイ』を久々に見ました。

 『ステイ』は05年に公開され、僕は公開日に観にいったのですが、そのなんとも不思議な世界観が魅力的でした。
 ただストーリーという部分においては理解できない部分が多かったのを覚えています。
 結局は自分なりに肉付けをして、一段落させていましたね。 
 
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ストーリー:
 精神科医として確かな実績をもつサム(ユアン・マクレガー)は、ある日不思議な青年ヘンリー(ライアン・ゴズリング)に出会う。
 その日の天気は晴天であったが、ヘンリーは「今日は雹が降るね」と言い残し、サムのもとを去る。その予言はあたる。

 その日以降、ヘンリーの奇怪な行動にサムは驚くばかり。
 またそれに伴い、サムの周囲の人物にも異変がおきはじめる。
 それはヘンリーのせいなのか。ヘンリーとはいったい何者なのか。
 なぜヘンリーは、サムのもとへ訪れたのか。

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 この作品はあまりにも謎の要素が多いため、上映終了後にスクリーンに映し出されるキーワードをHPで入力すると、数々のヒントを与えてくれるという面白いことをやっていました。
 そのヒントを改めて見てみると、「なるほど!」と思うこともあれば、「いや、それはちがうんじゃ・・・」と思うこともあります。
 しかしあくまで一つの見方として、見ておくのも良いのかもしれません。

 HPはコチラ
 キーワードはさすがに公表できないですが、ヒントは「米国でもっとも古い吊り橋」です。劇中にも登場します。

 まずこの作品で魅了されるところは、マーク・フォースターの独特なカメラワークと流麗なシーン切り替えでしょう。
 フォースター監督作『ネバーランド』では、劇中登場するシアター内でのカメラワークが綺麗でした。
 この作品では綺麗というよりも、面白いと言う方が合っているように思います。
 (例えば交通事故の車の横転を、その車のタイヤの目線で捕らえたりなど)

 改めて見ると、かなり面白いことをやっているので、ストーリーのすべてが理解できなくとも観る価値は十分にあると思います。
 このカメラワークが、『007』というスパイアクションで活用されるとなると、それだけで期待してしまいますね。
 
 僕はといえば、『慰めの報酬』の予告編で「おぉ!」と思ってしまうカメラワークがあったので、ここでご紹介。
 ↓↓↓↓↓↓ 1:15くらいのところです ↓↓↓↓↓↓

 

 
 ストーリーというところで言うと、前述したように難解です。
 ですが、ある一つのキーワードをもとに場面をおさらいしていくと、案外すんなりと受け入れられる作品でもあります。
 そのキーワードは、

 「何が現実で、何が夢なのか」

 ラストを明かしてしまいますと、上映時間中の約90分間は、実は交通事故にあったヘンリーの、死に際に見た夢であることがわかります。
 また、この夢の中に出てくる人物は、その事故現場を見に来ていた人たち。
 特にサムとライラ(ナオミ・ワッツ)は、事故にあったヘンリーを介抱してくれた人物(一番近くにいた人物)ということで、ヘンリーが見る夢の中でも重要な人物として位置づけられています。

 さて、夢だから不思議なことばかりおきてたのか・・・と片付けてしまえばそれまでなのですが、ヘンリーが息を引き取り、事故現場も一段落した後、サムはある奇妙な感覚に襲われるのです。
 サムとライラは、ヘンリーの夢の中では恋人同士として描かれていますが、現実世界では事故現場に偶然居合わせただけで、初対面。
 しかしサムには、ライラを見た瞬間に、ヘンリーが見ていたはずの映像(夢)が自分の頭の中にフラッシュバックしてくるのです。

 恐らく『ステイ』で一番難解であり、一番観客を困惑させた要素は、このラストシーンであると思います。


 現実と夢の違いとは何でしょうか
 起きている間に感じているのが現実で、寝ているときに感じるのが夢。
 しかし現実というものは、結局は脳の中で都合の良いように構成されている世界で、夢というものと別段違いは無いのかもしれません。
 
 夢を見ていて、時には「これは夢だ」と認識する場合もありますが、大抵は夢だと気付きません。
 怖い夢を見ていると、本当にその体験をしているように感じてしまいます。
 いくら夢といえど、観ている最中は、それが現実と認識してしまうかもしれません。

 現実と夢。はっきりとした線引きはできません。
 その曖昧さを描いたのがこの『ステイ』であり、現実世界で生きているということを疑ったことも無いサムが見た最後のフラッシュバックは、

 「では果たして、ヘンリーが今まで見ていたのは夢だ、とはっきり言い切れますか?」

 という意味が含まれているように思います。

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 以上。

 マーク・フォースター監督が作る映画は、今まで体験したことの無いような感覚にさせてくれるものが多いですね。
 『君のためなら千回でも』は未見ですけど、『慰めの報酬』が公開される前にはチェックしておきたいです。
 
 では『ステイ』での面白いシーン切り替えについて、予告編内の一例を挙げることで、今日の締めとしたいと思います。
 ↓↓↓↓↓↓ 1:30くらいのところです ↓↓↓↓↓↓

 

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