この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします
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今日の記事ははネタバレを含みますのでご注意を。
ご紹介するのは、SFサスペンス『インベーション』。
監督は『es』のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。
主演はニコール・キッドマンとダニエル・グレイグです。
以前調べたところによると、ウォシャウスキー兄弟が関わっているという事なのでレンタルしてみましたが、あまり公には関わっていないようですね。
製作会社(ワーナー)側からの要請で、すこし絡んだ程度らしいです。
そこはさておきまして、『es』で緊張感溢れる作品を提供したオリヴァー監督らしく、上映時間99分間かなりドキドキさせられました。
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ストーリー:
NASAの打ち上げたスペースシャトルが地球へ帰還中、事故により大気圏内で爆発をおこしてしまう。
スペースシャトルの破片は散り散りになり、破片からは新種のウィルスが発見される。
精神科医のキャロル(ニコール・キッドマン)は、暴力亭主による被害を受けている患者の診察を行っていたが、その患者から「夫がまるで別人になってしまった」ということを耳にする。
その日からキャロルの身の回りの人々にも、異変がおきはじめ・・・
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いきなりネタバレですが、結局のところ、シャトルの破片に付着した新種のウィルスによって街の人々に異変がおきるわけです。
タイトルである「インヴェーション-invasion」とは「侵入」という意味で、人々の体内にこのウィルスが侵入することで、どういう影響が出てしまうのかというのが、話の筋であります。
そこは、誰でも推測できてしまうところでありまして・・・
しかし先にも書いたように、この映画は、劇中の緊張感が非常に高いのです。
感染者の特徴は、感情を出さないこと。何に関しても無関心であること。
日に日に感染者は増えていくのですが、感染者は次の感染者を常に狙っています。
主人公であるキャロルは、自分が非感染者であることを隠すため、感染者を装いますが、街を歩いていると常に感染者から監視の目が注がれます。
そんな街の描写がとても恐ろしく、緊張感を煽る演出となっています。
努力もむなしく、キャロルもウィルスに感染してしまいますが、このウィルスは感染されただけでは別段問題はなく、レム睡眠に入ることで、突如活発に動き出します。
眠らなければ、発症は防げるわけです。
その事実が判明した後、キャロルは睡魔との熾烈な闘いを繰り広げます。
寝てはいけない・・・寝てはいけない・・・・その心境もまた、緊張感を煽ります。
恋人であり、ウィルス抑制のワクチンを作成する手助けをしてくれるベン(ダニエル・グレイグ)ですが、彼もまた、終盤でウィルスに感染します。
そこで、ウィルス感染による人類への影響について、一つの見解を示します。
このウィルスに感染すると、人々は感情を表に出しません。
しかし同時に、他者との衝突、争いもおきない。
世界各地で争いがあり、無駄な死傷者を出している現在からすれば、ありがたいことではないか!怖がることはない。君も仲間に!
そう説くベンに、キャロルは必死に抵抗をします。
なんやかんやあって(適当ですいません)、結局はワクチンが生成され、世界中に配布され、ウィルスもなりを潜めます。
約90分引っ張ってきたわりに、ラストがあっけない印象を受けましたが、最後にこんなナレーションが入ります。
「争いがなくなったら、それは果たして人間と言えるのだろうか」
過去におきた世界大戦や、最近のイラク紛争。人間の歴史には、争いが耐えません。
地球上に存在する生物のなかで、こんな争いをしているのは、人間だけです。
このナレーションは、争いをしよう!それが人間たる由縁だ!と、そういうことを言っているわけではなく、人間の争いの歴史を痛烈に批判しているわけです。
なるほど、なかなかうまいことをおっしゃるね。
結局あのウィルスはなんだったのか。(意思をもってるとかなんとか前半で言ってたような・・・?)
政府に隔離された人々はどうなったのか。
キャロルに銃殺されたコンビニの店員は無駄死にじゃないか。
というよりキャロルはただの精神科医なのに、なぜそんなにも銃の扱いや車の運転がうまいんだ。
それらが頭の隅から離れませんが、最後のナレーションを頼りに紐解くと、この作品の言いたいことはわかってくるように思います。
逆に言えば、最後のナレーションがなければ、何を意味しているのかよくわからない、ただのドタバタパニックです。
というわけで、映画は最後まで観ましょうね!というのが今日のまとめです。
いえ、ウソです。
サスペンス映画というのは、時に難解すぎたり、伏線を気にしすぎて意識が散漫し、意味がわからなくなってしまうときがあります。
そんな時は劇中のある一言から読み解くと、意外にも筋が通った作品であることがわかったりします。
でもその一言を見つけるためには、意識を集中させていなければならないし、製作者側は、観客が集中を維持できるような演出をしなければならないものです。
その点、オリヴァー監督の演出は満点かな。と、思いました。
2008年11月15日土曜日
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