この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします
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なんとなく久々に観てしまった『E.T.』。
やはり、この作品は素晴らしいと思う。
スピルバーグのSFの集大成といえば、『未知との遭遇』が挙げられるでしょうが、僕は『E.T.』の方が好き。
ストーリーは、言わずもがなとは思いますが、10歳の少年エリオットが、地球に取り残されたE.T.(地球外生命体:Extra Terrestrial)に出会い、E.T.を自分の星へ返してあげるまでのお話。
では、項目に分けての感想を・・・
~~~ 少年期の表現 ~~~
『未知との遭遇』というSFの集大成のような作品に観られるように、スピルバーグの頭の中には常に”自分とは違うものとの交流”というのがテーマとしてあるのだと思います。
また、スピルバーグの初期の作品に特に観られるテーマとして”少年期の冒険”というのも、あるのだと思います。
この2つの要素を絡め合わせて、等身大の生き生きとした少年たちを描くことで、大人になった人々の冒険心を蘇らせるスピルバーグの語り口には脱帽します。
ストーリーという部分でも勿論そうですが、撮影技法も、子供心を表現するのに一役買っています。
本作『E.T.』では、カメラをローアングル、10歳の少年:エリオットと、E.T.の目線の高さに合わせています。
10歳の目線では、世界はどう移るのか。
大人を見るときは、太ももあたりしか見えない。つまり、ものすごく大きな存在なわけです。
そしてそんな大人たちは、E.T.にとっては恐怖の対象。
つまり、ローアングルで撮影することによって、大きな物体が子供に与える威圧感というものを表現しているわけです。
また大人(警察等)は、最終的にはE.T.を捕獲するため、子供たちを脅かします。
ここでは観客に、大人に対する敵意を持ってもらわないといけません。それを、目線を少年の高さに合わせることで、自然と促す。
知らぬ間に、子供の目線でものを観るようになっているわけです。
と、こういう手法を、観終わった後にいつも「巧いな~」と感嘆してしまうわけで。でも何度観ても、その手法にまんまとハマってしまうわけで。
それは技法をあざとく使用していない証拠ですね。
~~~ ロマンティック とは、なにか ~~~
さて、今日語りたい一番の項目はこれ。
「ロマンティックなシーン」というのは、何も恋愛作品に対してのみ使われる言葉ではないはずです。
尾田栄一郎氏の海賊漫画『ONE PIECE』では「海はロマンだ!」ということをとことん描いています。
この『E.T.』は、”宇宙人との交流”というテーマ自体が、非常にロマンティックではありませんか。
ロマンティックの定義みたいなものはコチラ。
僕は「言葉では表現しつくせない素晴らしさ」という意味でよく使いますね。
ではこの作品での「ロマンティックなシーン」はどこだろう。
それは勿論、スピルバーグが創設したアンブリン・エンターテインメントのロゴマークともなっているこちらのシーンでしょう。
最高に、ロマンティックだと思いませんか!?
飛ぶはずの無い人間が、宇宙人のサイコキネシス(?)によって飛び立ち、月をバックに駆け上がる。
そして誰もが知っているジョン・ウィリアムズの壮大なテーマ曲が流れるわけです。
夢とか、冒険とか、SFとか。そういうものがすべて詰まっているシーンです。
このシーンの素晴らしさを、いったいどうやって語りつくせるでしょうか。
最近のCGの発展はすごいです。どこからが本物で、どこからが作り物かがわからない時もあります。
『E.T.』が作られたのは1982年。CGうんぬんというより、合成とか、そういうレベルでの特殊効果であります。
スクリーンを見ても、どの部分が合成で・・・というのは、ハッキリとわかってしまいます。
でも、今ある技術を駆使して、最高にロマンティックなシーンを作り上げる。
『E.T.』は、その創意工夫の素晴らしさが詰まっている作品ですね。
この様な作品を観ていると、今のCGの発展は、結局何なのだろうと思うときがあります。
いくら素晴らしいCGを駆使しても、人の(というより僕の)心に響かない作品だってある。最近で言えば『ライラの冒険』とか。
CGを使って、物体を忠実に再現するのが最も良い方法ではないのでは・・・。
そんなことを思ったりします。
でも、ウォシャウスキー兄弟の作品を観ると、やはりCGはすごいなと思ってしまうわけですけどね。どっちやねんという話ですが。
~~~ 最後に & その他 ~~~
そういえば、この作品では子役時代のドリュー・バリモアを見ることができますね。
面影あります。
スピルバーグは僕が生まれたときにはすでに巨匠と呼ばれる人で、代表作をあげればキリがないです。
アドベンチャームービーの王様であり、ハリソン・フォードのご老体にムチを打って完成させた最新作が先日公開された『インディ・ジョーンズ』シリーズ。
戦争について描いている『シンドラーのリスト』や『プライベートライアン』。
でも群を抜いて、僕は『E.T.』が好きだったりします。
(製作総指揮作品を含めるならば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『グーニーズ』には適わないけれど)
こういう風に、いつまでたっても楽しめる作品に出会えるというのは、この上ない幸せですね。
2008年10月13日月曜日
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