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なんだろう、何となくこんな時って、ヴォネガットが読みたくなるのですよね。
『国のない男』- カート・ヴォネガット
二次大戦を経験し、ヴォネガットは人間の愚かさを知る。
それは彼の数々の物語の中で色濃く描かれるが、同時に彼は、人間が見出した色々の芸術を愛した。
そして芸術を通じて、色々あるけどそれでもやっぱり、人間への愛情を捨てきれない人だった、と僕は思っている。
ヴォネガットがこの本の中で語る二次大戦、それは人が相手のものである。
一方、今回の東北大地震、それは自然が相手である。
しかし相手は違えど、人に与えた、特に精神的なダメージというものは、どこか共通する部分があるように感じた。
この本で描かれた一つ一つの台詞、ユーモア。
それは大地震でダメージを受けた人、そして実被害から免れても、連日のニュースで精神的に参ってしまっている人、そんな人へ、ちょっとした薬になるのでは無いかと、思ったのです。
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・・・といって、全ての言葉を書き出すことは、いわゆる著作権法なり何なりに引っかかり、この状況下で警察の方々のお手間を増やすわけにはいかない。
なので中でも、音楽とユーモアについて、幾つかを抜粋することにする。
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ブルースは絶望を家の外に追い出すことは出来ないが、演奏すれば、その部屋の隅に追いやることは出来る。
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背景はこうだ。
アメリカの奴隷時代、つまり黒人に対する差別が酷かった時代。
白人の奴隷所有者達の自殺率は、奴隷であった黒人のそれよりも高かったらしい。
その理由は、奴隷たちが絶望の対処法を知っていたからということみたいだ。
今置かれてる現状が、そしてこの後に残る傷跡が、キレイさっぱり消えるわけでは無いけれど、それを外へ外へと追いやろうとする。
そんな術を具現化したもの、それこそがブルースという音楽・・・らしい。
負の状況下で、ポジティブに生きようとする力。
確かにブルースを聴いていると、底から持ち上げてくれるような感覚がある。
この言葉を読んだとき、色々と繋がったものがある。
なぜヴォネガットは、数多くある音楽のジャンルの中で、このブルースを取り上げたのか。
それは”ユーモア”に対する、ヴォネガットの考え方;ユーモアというのは、いってみれば恐怖に対する生理的な反応なんだと思う - に寄るのだと思う。
そういう逆境的な局面で、生まれるものがあるという事だ。
(おっと、セミコロンを使ってしまった)
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さて、普段あまり真面目に見られない僕ですが、ユーモアってなんだろうというのは、意外に真面目に考えていて、いやそもそもユーモアを眉間に皺寄せて根つめて考えたら、それって自分は面白く無いだろう、その状況、むしろ笑える・・・という、これもまた一つの小噺なのだけど、そこは置いておいて。
・・・話が逸れたけど。
こういう状況下で、笑いの力って凄く威力を発揮すると思うのだけど、いざ災害とご対面してみると、それって難しいと、心から思いました。
この状況で、お前何を言ってんだ?と言われる可能性だってあるし、ヴォネガットも「どうやってもジョークにならない素材というものがある」と言っている。
(彼の場合、大災害はジョークに出来る分類に入るみたいだけど)
今回改めてこの本を読んだとき、確かに、僕が求めるユーモアってここにある・・・と思った。
少し皮肉っぽいけど、決して攻撃的でなくやわらかい、聞くと安心するユーモア。
でも自分でやるとなると、境目というものが、わからない。
この線は超えていいのかいけないのか、わからない。
いやはや笑えるジョークは、むつかしい。
そしてジョークって、すごく勇気がいるものなのだと、思いました。
でも、週が明けて、人に会って、笑っていると、かなり救われますよね。
笑いっていうのはいいものです。
怯むなんて、僕らしくない。
だから自分としても、ここでめげないで、ユーモアについてもっと勉強したいと思いました。
いや、勿論その前に、被災者の方に、実のある支援をするのが先決ですけどね。
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さて、なにも本の紹介をしようと思って、このブログを立ち上げたわけでなく。
いやそれでも、ほんのちょっと位は、本の紹介をしたっていいじゃないかよ、とも思いつつ。
このブログは何のため?と言われれば、そうだ映画の紹介の為だと思い。
こんな時、ブルースのように、皆を元気にしてくれる映画ってなんだろう。
お察しの方もいるかと思いますが、ここでは『ブルース・ブラザース』を紹介させて頂きます。
いやはや、実に安直。
主人公兄弟が織り成すドタバタ劇は、否応なしに見るものを笑わせてくれますし、劇中歌われるブルースの数々は、吊られて自然と体が動いてしまいます。
一曲だけ、紹介。
その名も『監獄ロック』。
上に書いたブルースの歴史を聞くと、題名が皮肉っててね、いいでしょ?
『Jailhouse Rock』
↓↓↓劇中シーンはコチラで観れます↓↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=g22b9mjzQKg
ジョークと、音楽に満ちた、こんな時、抜群にオススメしたい作品。
余裕のある方は是非どうぞ。
そういえば、先日Bar NOIに行った時、外人さんとこの作品の話になりましてね。
そしてヴォネガットの本、ブルースの話。
何だか色々と、繋がってる気がする。
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最後に。 またヴォネガットの言葉で。
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唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。
ユーモアは人の心を楽にする力がある。アスピリンのようなものだ。
百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっと嬉しいと思う。
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僕は4年ほど前にこの言葉を読み、以後、物事の考え方の軸になっている。
●この記事で紹介したもの
・本:『国のない男』 - カート・ヴォネガット
・映画:『ブルース・ブラザーズ』
被災者の方、そうで無い方も、みんながんばろう。
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