2008年10月22日水曜日

ゲン@ 劇場:『その土曜日、7時58分』

ゲンです。
本数的にはそこそこ観てるんで、やはりレポを上げなければ勿体無いですねw

『その土曜日、7時58分』@恵比寿ガーデンシネマ(10/19鑑賞)

『カポーティ』『M:i:Ⅲ』の演技派フィリップ・シーモア・ホフマンと、『トレーニングデイ』『アサルト13 要塞警察』のイーサン・ホーク共演のサスペンス。
金に困った兄弟が、両親が経営する宝石店の強盗を企てるも失敗するが、その後、撃たれたのが自分の母親であったと知り、愕然とする。

意外な名優二人の共演に興味を引かれていたんですが、ストーリーも若干コーエン兄弟監督の『ファーゴ』的なニオイを感じてたんで、楽しみにしていました。

納得の配役! この二人じゃないと完成しない作品ですね!

まず驚くのがP.S.ホフマンの非常に高い演技力ですね。
これまで数々の冷酷な人間を演じてきましたが、今回もあまり感情が表に現れない落ち着いた役。
ですが、その漂う空気と言ったら、本当に恐ろしい・・・
事件の前後はあくまで冷静に、事態を収縮させようとさせているのですが、悪いことが重なり続け、いよいよ後に引けなくなった時のキレっぽりと言ったら、素晴らしい・・・
あまり大きく宣伝されてた作品ではなかっただけに、今回P.S.ホフマンが出演するのはどうなんだろうと思ってましたが、まさに彼しか演じ切れない役だったと思います。

そして彼の弟を演じるのが、イーサン・ホーク!
コチラも哀愁漂うダメな人間を演じさせたら、右に出るものはいないですね。
兄にそそのかされ、強盗の実行犯を任されるも、踏ん切りがつかず直前で他のチンピラを雇い、結果的に失敗してしまう。
自分が実行しなかったばかりに、実の母親にまで被害が及んでしまったことを知ったあとの、とてつもない後悔に押しつぶされた演技は最高でした。


ストーリーはまさに『ファーゴ』的な展開で、過ちを取り繕うとした結果、さらに大きな過ちを犯してしまい、雪ダルマ式に事態が悪化していくという、全く救いようのない地獄絵図のような展開。

ですが、『ファーゴ』のように「愚かな人間、でもそこがおもしろい」なオチではなく、人間の汚い部分をさらけ出して、ひたすらに悪い方に転がっていくだけなので、サスペンスとして観ていても結構ガッツリヘコむと思います。

ただ、親子の関係と会話が非常に秀逸で、演出的にもドキッとさせられるシーンが多かったので、特に後半はグイグイ引き込まれる展開でした。


ちなみに原題は『Before the Devil Knows You're Dead』というタイトルで、
訳すと「死んだことが悪魔に知られる前に」となります。

もっと意訳すれば「悪魔に知られる前に、お前は死んでおけ」という風にも取れます。

一見すると意味が分かりませんが、作品を観てから改めて原題の意味を考えると、恐ろしく秀逸です。
この手の作品のタイトルの名づけ方は、含みがあってセンスが素晴らしいですね。

邦題の『その土曜日、7時58分』ってのも悪くはいないですが、作品全体を捉えてるワケではないので、やはり原題の方に軍配が上がると思います。


意外に満足な秀作でした・・・ヘコむけどw

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