2008年10月24日金曜日

梅太@ DVD:『ラスベガスをぶっつぶせ』

この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします

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 世に存在する競技を描いた映画がある。
 サッカー(『GOAL』等)、テニス(『ウィンブルドン』等)などなど。
 そういう映画を魅力的に見せるには、魅力的なストーリーがないといけない。
 でもストーリーが魅力的なだけでは面白くない。
 誰だって、見るよりもやる方が楽しいわけだから、伝えることをしっかりと伝えたうえで、映画(映像と音)でしか表現できないような競技の描き方も必要になってくる。


 さて、今日ご紹介するのは『ラスベガスをぶっつぶせ』(原題:『21』)という、「おいおいヒットさせる気ゼロだろ」という安直な邦題を配給元につけられてしまった作品。
 主演はジム・スタージェス。ヒロインは、作品終盤の黒髪ボブカットが最高に魅力的ケイト・ボスワース

 ストーリーは、"21"歳になる青年がハーバード大への資金のためにブラックジャック(カードの数字を"21"に近づけるゲーム)で大儲けするという、実話を基にした作品。
 そう。それに引っ掛けて原題が『21』なのですよ。

 作中にギャンブルが出てくる作品は昔からありますが、最近で言えば『007 カジノロワイヤル』や『ラッキー・ユー』がありましたね。
 この2作品は、どちらもポーカーを題材にしています。ポーカーの中でもテキサスホールデムという種類のものです。
 テキサスホールデムはルールが少しややこしいですが、慣れてしまえばとても面白いです。
 相手との知恵比べというところでも、画として見ていて魅力的であります。

 『ラスベガスをぶっつぶせ』ではブラックジャックを題材としています。
 配られたカードの数字を21に近づける。ポーカーに比べればとても単純で、ゲーム自体もかなり速いペースで進みます。
 ですから、映像として観る場合は、ポーカーのような緊迫感はあまりありません。

 さて、その問題を打破するために、この作品では編集と特殊効果を巧く使っています。
 ブラックジャックのゲームペースをうまく利用した描き方で、お見事と思います。

 また、この作品では「カウント」と呼ばれる手法を用いて確実に大金を稼ぐ様を描いていますが、カウントのルール自体は別に覚える必要はありません。
 むしろ、カウントを使用している登場人物の眼の動き、体の動作、数字の読み上げ(ナレーション)等のテンポの良い編集に自分の眼と耳を委ねて、作品の、そしてゲームの軽快なムードに浸りましょう

 ここで、今日の記事の出だしに戻りますが、競技(ブラックジャックをそう呼べるかわからないけど)を描いている作品としては、魅力的に競技を表現しなければならない。
 この作品は、そういう意味で満点に近いと思います。



 ではストーリーに関して。お話は、

 ●主人公がゲームに勝ちまくって何もかもうまくいっている上り調子な前半
 ●親友との仲違いで集中できずに冷静さを欠き、ゲームで負け続け、
  チームから見放され、警備員に殴られ、卒業不可となり・・・・一気に転落する中盤
 
 という風に進んでいきます。
 誰かが映画化したがるほどの実話なわけですから、やはり劇的なup↑down↓はあります。ものによってはdown↓で終わるものもあります。
 でもこの作品では、

 ●自分の知恵と冷静さを取り戻し、仲間、お金、卒業と進学のすべてを取り戻す終盤

 という、最後のup↑があるからこそ、映画を観終わった後スッキリな気分になるわけです。
 劇場を出たときの爽快感は、今年観た映画の中でもトップクラス。

 予告編も秀逸です。内容をとても良く表現した予告編はコチラ↓↓
 この予告編を観ただけでもゲーム部のテンポの良さが伺えると思います。
 




 
 この作品は邦題に見放され、公開時期(この頃は世間の目は『インディ4』に向いていたでしょう)にも見放された作品のように思います。
 でも上に書いたように、競技の描き方とストーリー、両方合わせて、僕はかなり満足した作品です。
 
 「winner, winner, chicken dinner」
 この作品を観た後は、この言葉を口にしたくなるはず。




 いやそれにしても、この映画を観てカウントをやろうとは思いませんね。
 怖いおじさんにつれてかれる・・・・

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