先週、大阪に行ってきました。
■『チェンジリング』@亀有MOVIX(3/6鑑賞)
息子が行方不明になり、その5か月後に見知らぬ少年を警察に押し付けられた母親の真実の物語。
1920年代当時、堕落したロサンゼルス警察が保身のために行った数々の非道な行動が、実際にあったという事実にがく然とする。
やっぱりクリント・イーストウッドはすげぇなぁ・・・
オープニングから「この物語は実話です」なんて言われてしまうと、余計にストーリーに引き込まれてしまうのは、卑怯な気さしてしまうんですが、文句なしに面白かったです。
いや、実に悲しい事件なんで“面白い”なんて言葉は不謹慎なのかも知れませんが・・・
舞台は1920年代のLA、警察は賄賂や癒着で腐敗しきり、まともな捜査は全く行われていない酷い状況。
そんな中で起こる児童誘拐事件を利用し市民の信頼を回復すべく、偽の息子を連れてきて、「無事に探しましたよ!」と母親の前に差し出す。
母親が別人だと言い張っても「気が動転してる」と、母親を精神病院に送ってしまう始末。
その送られた精神病院には、同じように警察に訴えを起こしたばかりに、異常者扱いされた人々で溢れていた・・・
と、何とも悲痛すぎる物語ですが、実際に起こっていたと言うのだから驚きです。
警察の腐敗を描いた作品は、最近では『アメリカン・ギャングスター』のような実話モノは多くありますが、この作品も非常にリアリティに溢れる素晴らしい物語でした。
しかも、この作品が面白いのは、単に警察の腐敗を描いているだけでなく、後半から裏で起こっていた児童誘拐事件の真相を同時進行で描いてる点。
必死で息子を探そうとする母親、偽りを続けて事件を握りつぶそうとする警察、微かに生まれた正義感から暴かれる事件の真相、という3本の軸が絶妙に絡み合い、とんでもなくドラマチックなクライマックスを迎えます。
息子を探そうとしている前半よりも、事件の真相が明らかになる後半の方が、母親にとって遥かに厳しい現実が待っているという展開に愕然として、思わず泣いちゃいました・・・
主演のアンジーですが、『ウォンテッド』やら『Mr.&Mrs.スミス』の時のように“ビッチ女”を演じている時が好きなので、今回のような感動作での主演はあまり期待していなかったのですが、本年度のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされるのも納得の素晴らしい熱演。
最近では女優以外にも、母親としての顔がクローズアップされることの多い彼女だけに、今回のような役は個人的にも興味があったのではないかと思います。
ボロボロになっても毅然とした態度で息子を探そうと、真実を探ろうとする姿は本当に素晴らしかったです。
孤立無援だった彼女に手を差し伸べ、共に真実を追究していく牧師役のジョン・マルコビッチも正義感に溢れ、非常に素晴らしい演技でした。
来月公開されるコーエン兄弟監督作の『バーン・アフター・リーディング』では全く違った役で、アンジーの夫・ブラピと共演していますが、そちらも楽しみです♪
悲劇的な実話ですが、非常にバランスの取れたドラマチックな展開で描かれるストーリーが実に巧妙で素晴らしい。
重いテーマながらスッキリと、映画的にまとめる上手さは、まさにクリント・イーストウッドの手腕が爆発したと言えると思います。
面白いです。
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