この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします
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劇場へ行ってまいりました。
思えば、僕の劇場作品感想は初ですね。
●アクション映画:『WANTED』
監督は、ロシア映画『ナイトウォッチ』『デイウォッチ』のティムール・ベクマンベトフ
主演はジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー他。
『ナイトウォッチ』で主演を務めているコンスタンチン・ハペンスキーも友情出演しています。
『マトリックス』で、ウォッシャウスキー監督は、映像とアクションの見事な融合で、このジャンルに革命を起こしました。
その影響力は計り知れず、3部作が完結したあと、似たような効果を使う作品がちらほら。
僕はアクション映画(アメコミ映画含む)離れしていた時期がありました。
しかし、昨年の『グラインドハウス』のアクションはすごかった。それで目覚めた。
以来、『シューテムアップ』や『HOT FUZZ』など、アツいアクション作品群に出会えています。
さて、今回の『WANTED』。
僕はアンジェリーナ・ジョリーがあまり好きでないからという理由だけでスルーしかけましたが、予告編等が公開されるなり、「見なくては!!」と思い始めた次第です。
その理由としては、凄腕スナイパーが高層ビルの窓から猛スピードで飛び出し、向かいのビルの敵をなぎ倒すシーンがあるのですけど、そこでの窓ガラスの飛び散り様が綺麗だった。
僕はどうやら、”舞い散るもの”フェチのようです。
さて、気になる本編の感想は・・・・・?
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はい。もうお腹いっぱい胸いっぱい!
何がすごいって、それはもうアクションがすごいに決まってるわけですが、順を追って話していきましょう。
~~~ アクション:流動的で美しく、ありそうで無かったアイデア満載 ~~~
この作品も、マトリックスの類にもれず、映像とアクションの融合で観客を魅了します。
でも、最近の大作映画には無く、この『WANTED』にあるものが、他の作品との線引きをしています。
まず一つがアイデア。
腕を振りながら引き金を引けば、銃弾が曲がる。
ありえん!
助走をつければ、窓を突き破って、大型道路を飛び越え、向こうのビルまでいける。
ありえん!
タイミングを合わせれば、相手の打った銃弾に自分の銃弾を当てることができる。
ありえん!
映像技術という面では目新しいものはありません。
しかしこの作品は、使い方がウマイのです。
ありえん!と思うアクションでも、もう笑うしかない!という素晴らしいアクションに仕立て上げています。
もう一つが流れるような美しいアクション。
昔から使われている技術ではありますが、『マトリックス』のヒットによりワイヤーアクションはかなり使われるようになりました。
『マトリックス』後の大作アクションで僕が嫌いなのは、人間にあり得ない不自然な動きがどうにも眼につくところです。
ワイヤーを使ってド派手に演出するのももちろん良いのですけど、人体の不自然な静止やブレというのは、派手さでカモフラージュはできません。(僕は”動きのノイズ”と呼んでいるのですけど)
人間の目はそんなにヤワではないです。
マトリックスは、その辺がうまかったですけどね。
さて、『WANTED』では、すべての動きが流動的で、動きのノイズを見せず、武器や車さえも体の一部のように働きます。
その一連の流れの、美しいこと。
この徹底した美しさがあるからこそ、先で挙げた突飛なアクションアイデアも、なぜか現実味を帯びてしまうのです。
腕を振りながら引き金を引けば、銃弾はまが・・・・・るかもしれない!
そんな気さえ起こさせてしまう。
CGを多用したアクション映画で、ここまで説得力のあるアクションが観られるとは思いもしませんでした。
~~~ ストーリー:どこかでみたな & アクションとのバランス ~~~
普通の青年サラリーマンであるウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)が、暗殺者フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)に出会い、ある組織の内部闘争に巻き込まれる。
ウェスリーは実はその組織と意外な関係があり、自分では自覚していなかった、すごい才能があることに気付きます。
その才能を見出し、組織のボス、スローン(モーガン・フリーマン)に導かれていく。
そして最後には、誰も適わない凄腕暗殺者となる。
さて、この設定、どこかで・・・・・?
はい。もちろん『マトリックス』です!
ただ、観る人が観れば、後半のストーリー展開は『リベリオン』に近いのではないか?という事に気付くはずです。
(あ、これ言ってしまうと、ちょっとネタばれかな)
マカヴォイのラストバトルの激アツなアクションも、観る人が観れば「あ~、リベリオン(笑」となると思います。
こっちの方が、上ですけど。
ストーリーはシンプル。
やはりアクション映画と言うのは、アクションが主体ですから、ストーリーは軸がずれないようにするだけで十分だと思います。
ややこしくする必要はない。
でも、単調なのは問題ですから、この作品は終盤の一転が絶妙なスパイスとして効いてきます。
さて、この作品はストーリーとアクションのバランスが非常に良い。
然るべく場所に、然るべき長さで、然るべき派手さのアクションが配置されています。
だからストーリーによって、アクションが妨げられることもなく、アクションによってストーリーが妨げられることもありません。
バランスよく、とても観やすい構造となっている印象を受けました。
バランスと言う点でもう一つ。
ウェスリーが暗殺者になる過程での訓練では、マカヴォイ君はボコボコに殴られます。切られて刺されます。
見てるこちらとしても、同情するしかなく。いや、ウェスリーと同調しているのであれば、鬱憤すら溜まってしまうでしょうね。
で・も。
その分、マカヴォイのラストバトルの爽快感は尋常じゃありません。
溜めた鬱憤は無駄なく発散。そういう意味でも、非常にバランスが良い作品です。
~~~ まとめ & その他 ~~~
映像技術やアクションという意味ではA級の作品ですが、アクションのアイデアという意味ではB級に近い。
よく思いつくなと。バカではないかと。 (←褒め言葉です
なので、最近『グラインドハウス』や『HOT FUZZ』でアツくなった人は、多分好きだと思います。
また『ナイトウォッチ』を観ている人であれば、作品の始まり方(文章による語り)や蝿の使い方など、ベクマンベトフらしい演出もニヤリとしてしまうところ。
配役も絶妙で、やはりマカヴォイは素晴らしかった。
『ペネロピ』といい『つぐない』といい、今年はマカヴォイイヤーですね。
アンジェリーナ・ジョリーやモーガン・フリーマンの配置の仕方も見事。これがあるから、ストーリーでだまされた。
配役もそうですが、宣伝も非常に巧いように思いました。
予告編、ポスター、CMなど、それだけの情報では、ストーリーの一転は予想できません。
色々な意味で巧みな作品。
いやはや、大満足でした。
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