■『イントゥ・ザ・ワイルド』@シャンテシネ(9/8鑑賞)
裕福な家庭に育ち、有名な大学を卒業したにも関わらず、前途有望な未来を捨て、アラスカへと放浪の旅へ出た、実在した青年の心の軌跡を描いた人間ドラマ。
ノンフィクション小説「荒野へ」を原作に、アカデミー賞俳優:ショーン・ペンが監督したロードムービー。
主演が『スピード・レーサー』で主人公:スピードを演じていたエミール・ハーシュってコトも注目していたので観に行ってきました。
“イイ映画”だけど、“イイ話”では無かったかなぁ・・・
正直言って、あんまり主人公に共感できなかったです。
僕がスネカジラーで親依存なダメ人間、裏を返せば親への反抗なんて全く無かった人間だからなのかも知れませんが、そこまで頑固に突き進む意志がありませんでした。
主人公の青年は、両親への反発から、お金やモノへの執着を一切捨て去り、「ただ生きる事」だけを目指して、アラスカへと旅立ってしまいます。
しかし、誰への相談も無く出発してしまうため、両親への大きな心配をかけてしまいます。
これにはどうしても共感できなかったんですよねぇ・・・
大学卒業後の23歳って若さのせいもあるんでしょうが、意志の強さと言うよりも、「若気の至り」って感じが強くてどうも受け入れられませんでした。
結果的に彼は、両親の元へ帰郷することなく、アラスカの荒野で命を落とします。
それが自ら選んだ道であったとは言え、「自業自得」ってのが拭いきれず・・・
せっかく、滅多に出来ないいい経験を沢山しても、生きて帰らなければ意味が無いと思うので・・・ ただ、彼自身の生涯を抜きにして考えると、道中で関わる周りの人々に与えた影響ってのは大きいと思いました。
同じジプシー仲間や、偶然出会った身寄りの無い老人とのエピソードなんかは、彼が受けたのと同じくらいの影響をその人々に与えてた気がします。
そういった意味では、彼の旅の意味ってのはすでにあったのかも知れませんが。
主演のエミール・ハーシュですが、その力強い眼差しには圧巻されました。
一人で旅をする様子は当然セリフがほとんど無いのですが、主人公の心の強さが、表情によく表れていたと思います。
ヒゲを蓄え、徐々にやせ細り、過酷な状況に追い込まれた鬼気迫る演技も素晴らしいです。
『スピード・レーサー』での大抜擢で注目されましたが、これからも期待が持てる若手俳優の一人なのは間違いないですね。
主人公の行動事態の賛否、勇気なのか愚かなのかは別にして、映像としての強さ、周りに与えた影響、「生きる」とはどういう意味なのかを問う映画としては、非常に意味のある作品だと思いました。
そして何より、彼が死を目の当たりにして書き残した最後の言葉は、とんでもなく重く、説得力のある言葉に感じました。
彼は何と書き残したのか、それは劇場で確かめて下さい。
彼が荒野に生きた意味は、確かにあったと思います。
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