2010年2月21日日曜日

梅太@ 劇場:『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

この記事は 偉人もやはり”人間”だよね・・・と思う 梅太 の名の下にお送りいたします

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●ヴィクトリア女王が生涯愛した夫との出会いを描く:『ヴィクトリア女王 世紀の愛
監督はジャン=マルク・ヴァレ。
出演は、プラダを着ながらハウス・クリーニングをし、休日にはジェーン・オースティンを読んでいる、僕の大好きエミリー・ブラントがヴィクトリア女王を演じる。夫アルバート公には注目の英俳優ルパート・フレンド。

 昨年の暮れに公開されましたが、観にいけてませんでした。
 エミリー・ブラントのファンとしてはあるまじき行為でありました。ここでお詫びしておきます。
 Bunkamuraの良いところは、一作品の上映期間が長いところです。
 公開から2ヶ月経ちそうですが、まだまだやっておりました。
 Bunkamura様々です。
 作品チョイスも良いですしね。
 ビバBunkamura。
 ・・・いえ、別にBunkamuraから幾らか貰っているとかそういうわけではありませんよ。

 イギリスを最強の帝国にのし上げたヴィクトリア女王と、彼女が生涯愛した夫との出会いを描きます。
  とても良い作品でした。

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 ストーリーは。

 生まれたときから女王になることを運命付けられていたヴィクトリア。
 ”いずれ女王になる”という立場から、周りの保護が厚く、自由なことは何一つできなかった。

 成長し、現イギリス国王が亡くなった。
 彼女は女王となった。
 しかし待っていたのは、周りの陰謀であった。
 ヴィクトリアを手中に収めようと多くの輩が画策する。
 しかし周りのあの手この手も空しく、彼女は一人の真っ直ぐな青年と真実の愛を育み結婚をする。
 それは彼女が始めて、本当の意味で自立した時でもあった。

 結婚しても、止む事の無い困難の嵐。
 しかし夫の機転と彼女の強い心で、やがてイギリスは最強の王国となっていく。

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 思えば近年の”女王様系”映画は、これでもか!というくらい僕の好きな女優を起用している。
 ”女王様系”というと、何だか別の意味に聞こえなくも無いですが。

 『エリザベス』シリーズでは偉大なるケイト・ブランシェット。
 『マリー・アントワネット』は、僕の中では殿堂入り女優キルスティン・ダンスト。
 『ある公爵夫人の生涯』は、美しきキーラ・ナイトレイ。(これは女王様ではないけれど)
 そして本作ではエミリー・ブラント。

 いえ、僕の好きな女優を唯列挙しているわけではなくて。
 配役が巧いなと、いつも思うのです。

 一人の人間の生涯を映画にするとしても、”どの期間”を描くかによって、配役というのは全然違ってくると思います。
 同じヴィクトリア女王を描くにしても、本作のように、まだ女王に成り立ての期間を描くか、後年を描いていくか(ジュディ・デンチを起用した『Queen Victoria 至上の恋』 )で、配役は変わってきます。
 それは勿論、年齢という問題はありますが、それ以上に、その女優の持っている雰囲気が大きいのではないでしょうか。


 そんな中、本作ではエミリー・ブラントが起用されました。

 ヴィクトリアは、いずれは女王になる運命。だから、周りが異様に過保護になる。
 一番の良い例が、「階段の上り下りは、誰かと手を繋いで行わなければならない」という規則だ。
 厚い保護の理由は彼女自身にもわかります。
 しかし子供の持つエネルギーというのは、抑えられるものではありません。
 でも爆発させることができないこの環境。
 そこで彼女が行う少しの反抗が、「最後の一段を、ジャンプして降りる」という行動。
 とてもチャーミングな反抗です。 (僕にとっては”犯行”でもありました。カワイすぎる。)


 そんなチャーミングな一面を残しつつも、自分の意思は曲げない強い面、悪く言ってしまえば子供っぽい意地を見せるところもある。
 まさに原題の『YOUNG VICTORIA』の通り、まだ若々しく威厳が備わってない、女王になりたての一人の女性を演じるにあたっては、このエミリー・ブラントは抜群に適任であったと思います。



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 演出という面では、とにかく良い撮り方をするのだ、この映画。 


 ファーストシーンから素晴らしかった。
 一列に並ぶ兵隊を、手前から奥に、徐々にピントを合わせて映していく。
 ”列”にはこんな撮り方があるのか!と興奮してしまった。

 また特に圧巻なのがヴィクトリアの載冠式。
 ひしめく人々が彼女に注ぐ視線を、ヴィクトリアはたった二つの眼球で受け取る。
 舞台の、そして事の大きさを巧く映しこんでいて、ヴィクトリアが味わっていた緊張感を本当に体感しているようでした。
 (顧問会議の入場シーンも素晴らしかった)

 あと細かい演出ですが、母と娘の捉え方も美事でした。
 ヴィクトリアの父:ケント公爵が亡くなったあとは、ケンジントン宮殿を仕切っていたのは、母と公爵の従者であったコンロイでしたが、この二人はヴィクトリアを支配しようし、ヴィクトリアと度々衝突をします。
 ですので、母と娘の仲は、決していいものではありません。
 序盤、二人が部屋で会話をするシーンがあるのですが、二人は直接眼を合わせることはしません。
 ここでは、お互い、”鏡越しに”目線を合わせる。
 ギスギスした二人の関係を、美事に画面に映しこんでいました。



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 さて、僕が劇中、一番見事だと思ったシーンは、ヴィクトリアとアルバートがチェスをするシーンである。
 ただチェスをしているのではない。
 チェスを、自分達の人生に例えて会話をしているのだ。

 「あなたは、自分がこの駒のように、誰かに支配されてると感じたことは無い?」
 と聞くヴィクトリアに、アルバートはこう答える。
 「ならばゲームの攻略法を見つけ、勝てば良い」
 つまり、自分の置かれたその環境を、壊すのではなく巧く利用し、打破すれば良い、ということだ。

 生まれながらにして”こういう”環境で育ってきたヴィクトリアにとっては、かなり効果覿面なアドバイスであったに違いないし、その後の彼女にかなり大きな影響を与えたはずである。

 アルバートのこういう機転は、プリンスとなった後も、彼女を支えていったと思う。
 (実際こういうやりとりがあったかは別としても)
 イギリスを最強の帝国へのし上げたヴィクトリアの背後には、こんな人物がいたのか。

 上に挙げた作品群で、王様が活躍しているという作品はあまり観られなかったけれど、このヴィクトリア女王と言う人物は、夫と本当に二人三脚で、国を支えていったのですね。


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 エミリー・ブラントを褒め称えた感じの記事に仕上がりました。

 しかしそれくらい配役が美事で、特にヴィクトリアとアルバートという夫婦の前向きな姿勢が作品全体に漂い、観ていて気持ちよかった。

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