この記事は 梅太 の名の下にお送りいたします
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●”式”は過去を清算する場所:『ナイト・ビフォア・ウェディング』
監督:マシュー・コール・ウェイス
出演:エイミー・アダムス 他
これは謝るしかない。
思わず唸りました。
世界中がそのキュートさに魅了されたエイミー・アダムスの出世作『魔法にかけられて』で、当然ながら彼女の名前は全国的に知れ渡りましたが、そのネームバリューを利用してタイミング良く輸入・販売された本作。
日本未公開作品。
どうしよう、どうしようと結構悩みまして(少なくとも1年半は悩んでますね)、やっと手に取りました。
パッケージも邦題も、全然魅力的でなかったのですが、これはごめんなさい、素晴らしかったです。
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ストーリーとしては。
明日、結婚を迎えようというマイケル(アダム・ガルシア)とエリース(エイミー・アダムス)。
前夜祭ということで、学生時代の友人が二人の家に集合し、てんやわんやの大騒ぎ。
しかし、実はこの仲間達の関係は複雑で、一つ屋根の下、すんなり一夜を明かせるわけも無く・・・
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ナイト・ビフォア・ウェディング。
結婚前夜。
式の為に集まった学生時代の仲間達は、現在は各々自分の道を歩んでいるが、どこかあの時代のことを意識してしまっている。
あの時代の出来事がトラウマになってしまっている者もいる。
トラウマを与えてしまい、それがずっと気がかりであった者もいる。
あの時代の恋愛から先に勧めない者もいる。
あの時代から関係を続け、自分たちもそろそろ結婚を考える者もいる。
その結婚へしっかりした返事を出来ない者もいる。
そして、明日結婚を迎える者もいるが、二人にはまだ共有できていない秘密がある。
明日は結婚式というめでたい日であるのに、何とも慌しいメンバーであるが、式が近づくにつれ、各々過去を清算していく。
思えば人生の中で、”式”と呼ばれるものは沢山ある。
入学式、卒業式、成人式、結婚式、入社式、退社式。
人間は、あるタイミングでこれまでの過去を振り返り、一度ピリオドを打つことが必要であると思う。
経験してきた全てを常時意識するのは不可能で、縛られていては、まだまだ続くこの先の人生に100%の力で挑むことは出来ない。
だから、ある節目で、ピリオドを打つ。
あとで思い返すのは個人の自由としても、一度終わりを告げ心の整理をつけることは、必要なことであると思う。
式、というものは、それをある意味強制的に行わせてくれる行事であると思う。
精神的なところでね。
社会的な位置づけというところでは、式の意味合いは違うかもしれないけれど。
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「明日は式で、せっかく皆集まるのだから、何かしらの決着を」
として集まった仲間達が、焦り、悩む姿が描かれる中盤まではとてもコミカルで面白く、そして各々のピリオドが描かれる終盤は、意外な程にサラっと描く。
ピリオドを打った結果、それが自分にとって必ずしもハッピーエンドというわけでない人もある。
それでも、学生時代から続いた彼らの慌しい関係に、一つの節目が出来たわけだ。
ここまでも十分に面白かったのだけれど、この後、僕が唸ったラストが待っている。
そこには、御伽噺で描かれる結婚式とは別の形の素晴らしさがあった。
現実は、Happily ever after.ではないのだ。
結婚をすれば、彼らにはピリオドのその先が待っている。
仲間達にも、各々の人生が待っている。
その”始まり”を予感させるラストの描き方は、拍手したいくらいであった。
実際したけど。
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過去を清算する。そして新たな生活へ望む。
というところでは、エイミー・アダムスと、愛すべきエミリー・ブラントが共演した『サンシャイン・クリーニング』に似ているところもありますね。
ハトに、花輪を贈りたい相手の名前だけ告げれば間違いなく届けられるということを教えてくれた『魔法にかけられて』以来、エイミー・アダムスの出演作は新旧問わずチェックしています。
暫定、『ジュリー&ジュリア』が圧倒的に1位で、次点が『魔法にかけられて』であるけれど、その次に位置づけてもいいくらい、良い作品でした。
ちなみに原題は『Standing Still』。
静止状態、とか、バランスをとっている、という意味になるみたいです。
登場人物たちの関係を表していていいですね。
でも今回は『ナイト・ビフォア・ウェディング』でも、十分意味は通じる気がしました。
「色使いとか枠の描き方とか、思いっきり『魔法にかけられて』を意識してるやんけ!!」という感じのパッケージに渋っていた人は、そのお気持ちは十分お察し致しますが、是非手にとって欲しいと思います。
2010年9月26日日曜日
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