2009年4月30日木曜日

ゲン@ 劇場:『グラン・トリノ』

ゲンです。
またとんでもなく素晴らしい作品に出会えました!

『グラン・トリノ』@丸の内ピカデリー(4/29鑑賞)

『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を務めた人間ドラマ。
朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい主人公が、近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、自身の偏見に直面し葛藤(かっとう)する姿を描く。

数多くの作品に出演し、長い間アメリカ映画界の重鎮として活躍してきたクリント・イーストウッドが、今回を最後に俳優業を引退し、製作側に専念すると公言していたので注目してましたが、公開されるないなや非常に高評価で非常に楽しみにしておりました。

素晴らしい! 最後の超大傑作! これ以上の引き際がありますか!?

初めに言っておきますが、今年1月公開の『ヘルボーイ2』を抜きまして、今年鑑賞してきた全47作品中で暫定1位で御座います!
完璧です! 非の打ち所が無い!

クリント・イーストウッドの作品を全て観てきたワケではないので、大きな口を叩ける人間じゃないんですが、彼が映画界で長年活躍し続けてきて、78歳を迎えた今でさえ熱心な製作活動を続け、観客と批評家の両方から受け入れられているコトは十分に分かっています。
そんな彼が、俳優業を引退すると言った今だからこそ、むしろ今しか出来ない、とてつもない強いメッセージとエネルギーを感じる作品でした。

奥さんを亡くし、他人とのつながりを極端に嫌い、世間に対して偏見に満ちた目で物事を見る偏屈な老人と、隣に越してきたアジア系移民の家族との交流を描いた作品ですが、とにかくとにかく震えました。

クリント・イースドウッドというと、映画の中でも西部劇で活躍してきたアメリカを代表するアメリカ人の英雄的な映画俳優という印象が強かったんですが、そんな彼がまさに2009年(米国公開は2008年)に78歳だからこそ表現できる全てが詰め込まれた、まさに集大成のような作品なのではないでしょうか。

傍から見ると厄介で頑固で偏屈な老人ではありますが、戦争を経験し、自分なりに「生と死」というモノをしっかりと捉え、現在のアメリカが失ったモノ、そして受け入れなければいけないモノを誰よりも深く理解している、非常に人間味の溢れる役柄であったと思います。

現在の始まったことではないですが、アメリカって混沌としてるじゃないですか?
迷走してるじゃないですか?
クリント・イーストウッド自身もそんなアメリカに生まれ、アメリカを好きになり、アメリカに失望してたと思うんですが、でもやっぱり、そんなアメリカが好きなんだ!というようなメッセージを強く感じました。
変化すること・受け入れることは、過去を否定するかも知れないことだから、辛いだろうし苦しいだろけども、でもそれを認めて前に進むべきなんじゃないか・・・
そして若い世代に進むべき道を作ってあげるべきなんじゃないか・・・

そんな風に僕は受け取れました。


何度も言ってますが、これで俳優業引退っていうのが、悲しくもありますが、この作品の、そしてクリント・イーストウッドというアメリカを代表するの俳優が伝えるメッセージ・・・
言い方は悪いかもしれませんが、遺書のようなモノであると思いました。

クリント・イーストウッド監督作は、今年先に公開された『チェンジリング』でも十分にキテたんですが、それを軽々と超える大きな衝撃を受けました・・・
このまま行けば上半期は1位、通年でもトップ3には入る作品ですね。

とてつもなく重く、とてつもなく強く、とてつもなく優しいメッセージ。

エンドロールのあと、劇場が明るくなってもしばらく動けませんでした。

2009年4月28日火曜日

ゲン@ 劇場:『レイチェルの結婚』

ゲンです。
世間様はGWだとはしゃいでますが、僕は1日だけしか休めません・・・

『レイチェルの結婚』@Bunkamura ル・シネマ(4/23鑑賞)

ある一家の結婚式を中心に、優等生の姉と問題児の妹の抱える問題や、彼女たちを取り巻く人々の微妙な関係を包み隠さず映しだす。
監督は『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ、主演は『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ。

本年度アカデミー賞でアン・ハサウェイが主演女優賞でノミネートされた作品だったので、期待して観に行ってきました。

一皮向けたアン・ハサウェイの演技力! 悲しみは癒えないが、乗り越えられる!

いやー想像以上に良かったです・・・泣きそうでした・・・
とにかくアン・ハサウェイの過去に例の無い演技力に脱帽です。

姉:レイチェルの結婚式を直前に控えたある日、問題児の妹:キムが更生施設から戻ってくる。
暖かく迎えてくれる家族だったが、相変わらずのキムの言動により、徐々に明らかになる家族の溝と影。

崩壊していた家族の再生というと、『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』などのウェス・アンダーソン監督作品が思い浮かびましたが、この作品はもっとリアルに生々しく描いていました。
全編ハンディカムで撮影されてるせいか、非常に細かいカメラワークで、まるで出演者の隣にいるかのような空気感を常に感じたのが印象的でした。

破天荒な問題児のキムのおかげで、一向にまとまらない家族。
キムの過去が明らかになり、家族全員が忘れられない辛い思い出が蘇り、崩壊寸前までいってしまう。
それでも近づいてくる姉の結婚式。
そんなバラバラな状態で、一体どうなるのかと思いましたが、これが不思議と何事も無かったかのように、笑顔の溢れる結婚式になります。
他人同士の親兄弟・友人を、あっという間に同じ家族・知り合いにまでの仲にしてしまう「結婚式」というのものが、いかに無償の愛情に満ちたコトなのかと言うのが、非常に上手く描かれているのにとても驚きました。


問題児の妹:キムを演じる主演のアン・ハサウェイですが、かつてのお嬢様・優等生のイメージを振り払うような役だけに、どんな風になるのかと思ってましたが、ホントに素晴らしいですね。
生意気で我が強いながらも、どこかに影を感じさせ、誰よりも愛情を欲してるという難しい役でしたが、今回のキャラで彼女の魅力がさらに大きくなったと思います。
暗い色のショーカットの髪も可愛いし♪
次回作の親友同士が互いの結婚式の邪魔をするコメディ『ブライド・ウォーズ』も楽しみにしてます!


地味ながらリアルなアメリカを描いた、意外なほどに素晴らしい秀作!

アン・ハサウェイの演技と共に、脚本にも拍手を贈りたいです!

2009年4月27日月曜日

ゲン@ 劇場:『スラムドッグ$ミリオネア』

ゲンです。
GWを前に春の新作ラッシュ、大変です・・・

『スラムドッグ$ミリオネア』@TOHOシネマズ シャンテ(4/23鑑賞)

※先に観た梅太くんの感想はコチラ

『トレインスポッティング』『28日後…』など多彩なジャンルで観客を魅了する、鬼才ダニー・ボイルの最高傑作といわれる感動的なヒューマン・ドラマ。
インドを舞台に、テレビのクイズ番組に出演して注目を集めたある少年が、たどってきた生い立ちと運命の恋をボリウッド風の持ち味を生かしながらつづっていく。

当初は劇場公開すら予定されずにビデオスルーしかけた作品が、あまりの評判で劇場公開、徐々に話題が広がり、ついには本年度アカデミー賞の作品賞をはじめ最多の8部門を獲得してしまった、まさに大成功の作品。
嫌でも期待が高まります。

スラムドッグがつかんだ、夢と希望が溢れる秀作! 

インドのスラム街で育った青年:ジャマールは、世界最大のクイズショー「ミリオネア」で、ラスト1問まで辿り着く。
無学なはずの彼は、何故そこまで辿り着けたのか?
 A:インチキした
 B:ラッキーだった
 C:天才だった
 D:運命だった

どんなに難しい問題も難なく答え、順調に進んでいく青年:ジャマール。
最後の1問を残し生放送は終了、最後の1問は翌日に持ち越されるが番組を終えた直後、無学なはずの彼がインチキをしたのではないかと警察へと連行され、取調べを受ける。
そこで徐々に明らかになっていく、スラム街で育った厳しく辛い過去。
しかし、その人生の経験全てが、クイズの答えを導いていた・・・


言ってしまえば、非常に都合が良いです。
自分の人生の経験が、全てクイズの答えになっているなんて。
まずそこを認められるかどうかで、この作品の評価が変わってくるかと思いますが、僕は気にしてません。
だって、映画ですからねw

で、それを踏まえた上で、徐々に明らかになっていく彼の過去ってのが、本当に不憫で苦しく辛い・・・
普通、クイズをどんどん答えて進んでいけば、嫌でもテンションが上がって笑顔になっていくはず。
しかし彼にとっては、答える度に辛かった過去がフラッシュバックされので、観ているコチラも苦しくなっていきました。
両親との別れ、人売りからの逃亡・・・
クイズが進むにつれて上がる賞金と反比例するように、彼の辛い経験は積み重なります。

でも、そんな苦境に陥りながらも、彼が決してめげなかったのは、幼少期に分かれた幼なじみを何とかして見つけたかったから。
彼女を見つけたい、彼女を救いたい一心で生き抜いてきた人生の経験全てが、クイズの答えになり、彼を億万長者へと導きます。

非常にハリウッド的な展開ではありますが、ほとんどのシーンがインドロケ、カメラも手持ちのような生々しい映像が多く、音楽や画面の色使いもインド色の強いオリエンタルな空気で、外国(米国以外)の作品のような印象が強かったです。


とてもいい話ですし、夢と希望が溢れる素晴らしい作品だと思いましたが、文句無しの満点か?・・・と問われると、言いたいコトが幾つか・・・

まず一番気になるのは、やはりラスト。
結果から言うと彼は全問正解するのですが、最後は正解しなかった方が良いんじゃないのかと・・・
結局彼の目的は賞金では無かったのだし、そこまで勝ち進んだことで本当に手に入れたかったモノはつかんだワケだし、「全問正解=人生の成功」みたいな分かりやすい形にする必要はなかったのでは無いかと・・・

あとそういった流れでどうしても気になるのが、アメリカ的な目線。
米国人監督が撮ってるので仕方ないと言えば、仕方ないんでしょうが、全体から受ける印象がどうしてもインドを上から見てるような気がしたのが、どうしても気になりました。
いくらスラム街出身の青年だからと言って、TV番組の司会者や警察が過剰に偏見に満ちた目で描くのは、本国の人が見たら気持ち良い思いはしないんじゃないのかなぁ・・・
これが自国で作られた作品だっていうのなら、ある意味で自虐的というか、理解を踏まえた上で作られてると思うのですが、米国が作ることで意図的な悪要素が入れられてるんじゃないのかという疑心暗鬼に陥ってしまたのが、ちょっと残念でした。


なので、封切り前から大騒ぎしてた自分としては、非常に申し訳ないですが、非常に素晴らしいとは思いつつも、この作品には文句無しの5点満点はつけられないですね・・・

確かに数多くの映画祭で評価される理由は理解できますが、アカデミー賞の作品賞まで取ってしまうと、やっぱりアメリカ主義の作品なんじゃないのかさえ、思ってしまう自分が悔しい・・・

アカデミー賞にノミネートもされず、単館系でひっそりと公開されてたら、間違いなく5点満点だとは思うのですが・・・

うーん・・・ちょっと話題が大きくなり過ぎたかも・・・・